2021年もいよいよ終わり。ここにきてオミクロン株の勢いが強まってきたため、不安と背中合わせになってしまいましたが、なんとか前向きな気持ちで新しい年を迎えたいものです。そして、そんなときだからこそ、本から多くの知見を得たいところでもあります。

今年も200冊以上の新刊をご紹介してきましたが、お役に立った書籍は見つかったでしょうか? いつも自分なりに「これはライフハッカーの読者に刺さりそうだな」と考えながら選書しているので、気になるところではあります。

そこで今年も改めて、「個人的に印象に残った10冊」を厳選してみました。あくまで僕のセレクトなので、ベストセラー・ランキングに選ばれるものとは傾向が違うかもしれませんが、だからこそ“掘り出し物”に出会えるのではないかとの思いも少なからずあります。

年末年始を利用して読みたい一冊を、ここから見つけ出していただければ光栄です。

印南敦史が選ぶ、印象に残った2021年の10冊

10位『深い集中を取り戻せ ―― 集中の超プロがたどり着いた、ハックより瞑想より大事なこと』(井上一鷹 著、ダイヤモンド社)

【5月10日書評】著者はJINS(ジンズ)で、JINS MEMEという集中力を測るメガネの技術開発・事業開発などを推進してきた人物。そうしたプロセスのなかで培ってきたノウハウを軸として、「深い集中」を取り戻すためのメソッドを明かしているのが本書です。「自分の集中できる時間帯」を知ることの重要性など、わかりやすいアプローチが印象的でした。

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月曜の朝はPCを開かない〜「深い集中」に入るための技術とは

月曜の朝はPCを開かない〜「深い集中」に入るための技術とは

9位『FRIDAY FORWARD フライデー・フォワード あなたの可能性を引き出す52のヒント』(ロバート・グレイザー 著、田村加代 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

【11月19日書評】マーケティング代理店の創業者兼CEOが、社員に向けて毎週金曜日に送っているニュースレターをベースにした書籍。“読む人が元気になるだけでなく、一歩突っ込んで考えさせられるエピソード”が盛り込まれており、「朝の時間を、目的意識を持って、ポジティブな心構えで過ごすために本書を活用すること」に重点が置かれています。

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充実した1日をつくる朝にするべき「6つの習慣」

充実した1日をつくる朝にするべき「6つの習慣」

8位『心と頭が軽くなる 週はじめの新習慣 月曜瞑想』(伊藤東凌 著、アスコム)

【8月23日書評】“週のはじめを気持ちよくスタートするための新習慣”として「月曜瞑想」を提案している著者は、京都にある両足院(りょうそくいん)というお寺の副住職。活動の根底には、瞑想が持つハードルの高さを打破したかったのだそうです。したがって本書も、平易でわかりやすいアプローチが魅力。すぐに取り入れられる、実践的な内容です。

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月曜を気持ちよくスタートする「カジュアル瞑想」のすすめ

月曜を気持ちよくスタートする「カジュアル瞑想」のすすめ

7位『毎日みるだけ! 自己肯定感365日BOOK』(中島輝 著、SBクリエイティブ)

【11月29日書評】心理カウンセラーである著者が、「自己肯定感を高めること、それは人生の主人公になる一番シンプルな方法でもある」という考え方に基づき、ネガティブな状況を変えていくものごとの考え方、捉え方、感情の持ち方、心理テクニックを紹介。気持ちを安定させ、積極的に行動できるようになるために、参考にしたいところです。

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自己肯定感を育み「自己有用感」高める3つの行動

自己肯定感を育み「自己有用感」高める3つの行動

6位『ビジネスエリートが身につける教養 ウイスキーの愉しみ方』(橋口孝司 著、あさ出版)

【2月19日書評】いま、世界は社会現象ともなっているほどのウイスキーブーム。だからこそ、ウイスキーについて知っておくことは、時代を読み解くことにもつながり、ビジネスの場でも大いに役立つはず。ホテルのバーテンダーを出発点として、料飲支配人、新規ホテル開業、運営などを手がけ、26年間ホテルに勤務してきた著者のことばだけに説得力を感じさせてくれました。

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「ウイスキー」をもっと愉しむための5つの作法

「ウイスキー」をもっと愉しむための5つの作法

5位『「会社がしんどい」をなくす本 いやなストレスに負けず心地よく働く処方箋』(奥田弘美 著、日経BP)

【6月14日書評】産業医である著者が、業務のなかで出会ってきたさまざまな事例を紹介しつつ、ストレスに負けず、会社で元気に働き続けるための「考え方のコツ」や「心身のケア法」を伝えている書籍。ストレスが続いているときこそ睡眠を最優先すべきだという主張など、わかりやすく実践しやすいことばかり。ストレスフルな時代に則した内容です。

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ビジネスパーソンの「心の危機」に備える、睡眠力アップ術

ビジネスパーソンの「心の危機」に備える、睡眠力アップ術

4位『人は聞き方が9割』(永松茂久 著、すばる舎)

【12月10日書評】2019年にベストセラーとなった『人は話し方が9割』の著者による、“聞き方”をテーマに掲げた新刊。人は話したい生き物であるからこそ、自分の大切な人の話を聞く時間を増やすことが大切。それこそが、会話を上達させる一番のコツなのだといいます。つまり著者は本書において、『人は話し方が9割』の考え方をさらにもう一歩進めているわけです。

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オンラインで話しやすさを生みだす「聞き方」のルール

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3位『知らなきゃ恥ずかしい! ? 日本語ドリル』(上田まりえ 著、祥伝社黄金文庫)

【8月2日書評】アナウンサーを経て、現在はタレント、ラジオパーソナリティ、ナレーターなど幅広く活躍する著者が、TikTokに投稿している“日本語に特化した教育コンテンツ動画”のなかから100本を厳選し、クイズ形式にしてまとめたもの。「肉汁」は「にくじる」ではなく「にくじゅう」と読むなど、間違えやすいトピックス満載です。

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「慮る」はなんと読む? 読み間違いしがちな6つの単語

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2位『らくがきファイナンス 人生で損しない選択をするためのお金の知識』(ティナ・ヘイ 著、川添節子 訳、翔泳社)

【7月29日書評】著者はロサンゼルス出身の起業家であり、紙ナプキンに描いたイラストで金融知識を学ぶウェブサイト「Napkin Finance」の創設者/CEO。ここでも、とかく難しい印象のあるお金や金融の知識について、わかりやすく説明しているのです。貯蓄、株式、起業の仕方、インフレ、ブロックチェーン、財務諸表、ゲーム理論などについて、軽妙な文章と豊富なイラストで解説。

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お金で損をしないために知っておきたい2つの知識

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1位『認知バイアス事典』(情報文化研究所(山﨑紗紀子/宮代こずゑ/菊池由希子)著、高橋昌一郎 監修、フォレスト出版)

【5月13日書評】偏見や先入観、固執断定や歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解などを幅広く指すことばである「認知バイアス」について、論理学・認知科学・社会心理学の3つの研究分野から、各々の専門家がアプローチした書籍。「『白黒つけろ』といわれたときは、あえてグレーゾーンを選択肢に入れよう」など、認知バイアスの全体像を無理なくつかめるような興味深い一冊でした。

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「認知バイアス」に要注意。歪んだ情報を整理して正しい選択する方法

「認知バイアス」に要注意。歪んだ情報を整理して正しい選択する方法

[番外編]

私ごとで恐縮ですが、2021年は2冊の新刊を出すことができました。また5年前の著作『遅読家のための読書術』が文庫化され、昨年の著作『それはきっと必要ない』の韓国版も発売になりました。そこで「番外編」として、それらをご紹介させていただきたいと思います。

『音楽の記憶 僕をつくったポップ・ミュージックの話』(自由国民社)

ハイレゾ音源サイト「e-onkyo music」で連載している「印南敦史の 名盤はハイレゾで聴く」に綴ってきた文章をまとめた音楽エッセイ。あくまで個人的な体験を軸としながら、さまざまな音楽についての思いを綴っています。ちなみに表紙は古い友人である漫画家/イラストレーターの江口寿史先生によるもので、僕がモデルになっているそうです。

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こんな時代もあった。ライフハッカー書評家の仕事と音楽の記憶【限定コンテンツ公開】

こんな時代もあった。ライフハッカー書評家の仕事と音楽の記憶【限定コンテンツ公開】

『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』(星海社新書)

子どもに本を読ませたいけれど、そもそも大人だって読む機会が減っている。ならば家族全員で読書をゲーム化し、楽しみながら新たな読書習慣をつけよう。そんなコンセプトをもとに書いた新書。20代のころから好きだったイラストレーター、スージー甘金さんに表紙のイラストを書き下ろしていただけたことも光栄でした。

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「読書コンプレックス」をゲーム化して解消する方法

「読書コンプレックス」をゲーム化して解消する方法

『遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)

かなり前からいただいていた文庫化のお話が、今年はやっと実現しました。ライフハッカーでの書評がきっかけとなって生まれたといっても過言ではない代表作が、より手軽に読んでいただけるようになったわけです。なお文庫版の特典として、天狼院書店店主の三浦崇典さんとの特別対談も収録されています。ぜひ手に取ってみてください。

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「フロー・リーディング」で効率的に本を読む方法

「フロー・リーディング」で効率的に本を読む方法

僕がライフハッカー [日本版]で書評を書きはじめたのは2012年8月26日のことなので、2022年は10年目ということになります。これからも多くの方に役立つ本をご紹介していきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いします。それでは、よいお年をお過ごしください。

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「毎日書評」の年内公開は本日が最終日です。年始は、1月5日〜7日に2021年人気書評ランキングTOP30を掲出、本編スタートは1月11日を予定しています。