バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOであるウォーレン・バフェットは、優れたリーダーを求める企業に向けて、採用に関する賢明なアドバイスを贈っています。

バフェットのアドバイスなら、さぞかし常識的な内容だろうと思われるかもしれません。つまりこの場合、トップリーダーを採用するうえで絶対に譲れないような条件を挙げるのだろうと。

しかし実際には、当たり前のアドバイスでないことも多いのです。彼は、こう語っています。

我々が人を雇うときには、次の3つのポイントを見ます。知性自発性やエネルギー、そして誠実さです。

もしその人にいちばん最後の誠実さが欠けていたら、最初のふたつはかえって害になるでしょう。

誠実さに欠けた人は愚かで怠け者でいてくれたほうがましだからです。

なぜ誠実さが必要なのか?

まず、みなさんに率直にお尋ねします。採用にあたって、あなたは誠実さを条件にしますか? ぜひ条件にすべきです。

その人の性格というものは、面接では見落とされがちです。けれども後々ビジネスの重要な意思決定が下される場面でそれが大きな代償につながることがあるからです。

誠実なリーダーは、真実を求めようとします。基本的に、そのような人は行動に正直さがあり変化を進んで受け入れ不正を拒み本物の成果を上げます

また、そのような人は言行が一致しています。誠実なリーダーは、自身が誓ったことを最後までやり遂げ約束を実行します

もちろん、間違いや失敗をおかすこともあります(リーダーも人間です)が、それでも彼らは、他からの影響を受けない高いレベルで責任を果たします。

誠実なリーダーは、自身の最高の姿最も嘘や偽りのない姿を示します。難しい相手や状況に対しても、どこまでも本心からの正直さと率直さで向き合います。

ここまでは、誠実さという長所を、自社のリーダーシップ文化を形成するための採用条件にすべき理由を挙げてきました。ここからは、誠実さがビジネスにもたらす3つのメリットを取り上げます。

1. 信頼を構築する

マイクロマネジメント(過干渉)に陥っている会社の多くが、社内に不安と不信の空気を作り出しています

一方、リーダーが誠実さを体現し、模範を示してチームを率いる企業文化では、従業員は信頼に値する存在です。

自分たちの行動について心配する必要はまずありません。こうした文化は、価値観の合う企業やブランドを探している人たちの目には、とても魅力的に映ります。

2. お金と時間の節約になる

不信感が支配する環境は、あまりにも多くのプロセスやシステム、ポリシーに縛られています。誠実なリーダーは、不信感という障害物を取り除くことに力を注ぎます。

その結果、会社が変化に対応・適応するスピードが上がります。要するに、誠実さはコストを下げ、業績によい効果をもたらすのです。

3. 競争力を高める

誠実さはほかにも、目に見える財務上のメリットをもたらします

たとえば、「誠実なビジネスに、たゆまず取り組む」企業を認定するEthisphereの「2021年版:世界で最も倫理的な企業」(2021 World's Most Ethical Companies)に選ばれた企業のパフォーマンスは、大型株企業の同様の指数を過去5年間で7.1パーセントポイント上回りました

リーダーが持つ誠実さは、大きな見返りを会社にもたらします。しかし、それを発揮するのは必ずしも簡単ではありません。

大きな意味でリーダーは、直接的な利害関係者に伝える内容と自身が掲げる目標・目的とが、常に一致していなければなりません

そしてもちろん組織人として、誰も見ていないところでも、常に正直な行動を取らなければならないのです。

Image: Shutterstock

Source: Fast Company(1, 2), WORLD'S MOST ETHICAL COMPANIES

Originally published by Inc.[原文

Copyright © 2021 Mansueto Ventures LLC.