ブラウザで節約できる1秒1秒は、はかりしれないほど貴重です。
遅くてちっとも先に進まないブラウザは、とうの昔になくなりました。
たいていのウェブブラウザは満足のいく性能を備えていますが、なかにはほかよりも(明らかに)速いブラウザもあります。
Windowsでもっとも速く動作するブラウザを突き止めるミッションに乗り出しました。その結果は、ちょっと驚くものでした。
Windows最速ブラウザのテスト方法
結果を発表する前に、ブラウザの速さをどうテストしたのか、その詳細を説明しておきましょう。このテストでは、ウェブベンチマーク・ツールの『Speedometer』『JetStream』『MotionMark』を使って、どのブラウザが最速かを調べました。
Speedometerは、ウェブアプリケーション実行中にブラウザがどう反応するかを測定するツールです。JetStreamは、JavaScriptに特化したベンチマークで、コードの起動と実行が速いブラウザほど高いスコアがつきます。
MotionMarkは、グラフィックス関連のベンチマークで、複雑なウェブページを表示する性能をテストします。
最終結果では、Speedometerの比重を少しだけ大きくしました。これは、Speedometerが現実のウェブサイトとのやりとりをシミュレーションしていて、ToDoリストへのアイテム追加の所要時間などのテストが含まれているからです。
そうした操作は、ブラウザの日々の使用に影響を与えると考えられます。
すべての拡張機能を無効にしてから、新しいシークレットウィンドウを使って、各種ブラウザでベンチマークテストを実行しました。ブラウザはいずれも、テスト実施前に利用可能な最新バージョンにアップデートしました。
また、結果の一貫性を確保し、異常に高い、もしくは低いスコアがないことを確認するために、ひとつのブラウザにつきベンチマークテストを2回実施。2度目のテストでは、どのブラウザでもほぼ1度目と同じベンチマークスコアが得られました。
テストの実施にあたっては、「Windows 10 Pro」を搭載するZotacの「MAGNUS EN 1070」パソコンを使用しました。PCのRAMは8GBで、Intel Core i5 6400Tプロセッサと120GB SSDを搭載しています。
ブラウザのベンチマークテストの結果は、ハードウェアにも左右されます。
そのため、お使いのパソコンで同じテストを実施しても、違うスコアになる可能性がありますが、結果はだいたい同じになるはずです。
Google Chrome:ほとんどの人にとって最速のブラウザ
Chromeは、昔から動作の速いブラウザですが、今回のテストでも、Speedometerベンチマークテストのスコアは107.2点でトップでした。
JetStreamテストでも99.778点で僅差の2位につけました。これもすばらしいスコアです。MotionMarkテストは449.23点の3位でした。この結果は、複雑なウェブページを表示する場合には、ほかのブラウザに遅れをとることを意味しています。
Chromeは、ほとんどのブラウザテストで超高得点を叩き出します。
また、ブラウザ拡張機能のエコシステムが充実しており、さまざまな役立つ機能を追加することもできます。その反面、ChromeはGoogleの傘下にあり、Googleは、ユーザーを追跡してターゲット広告を表示するというビジネスモデルを展開しています。
プライバシーが気になる人は、別のブラウザを検討し、いくつかのChrome設定をすぐに変更するほうがいいでしょう。
Brave:広告ブロック機能を備えた高速ブラウザ
Windowsパソコンを使った最速ブラウザのテストで、僅差の2位に入ったのがBraveです。Speedometerテストでは106点で2位につけ、JetStreamテストとMotionMarkテストではChromeをも破り、それぞれ100.002点と453.29点を獲得しました。
Braveは、プライバシーに配慮したChromeの代替ブラウザを謳っていますが、それなりに異論もあります。広告ブロック機能が組み込まれた高速ブラウザであり、その一点だけでも、Chromeに代わるよい選択肢になります。
ただし、Braveをめぐる論争を見るかぎり、プライバシーをめぐる彼らの主張を、すべて鵜呑みにするのは難しいでしょう。
Microsoft Edge:負荷が重いときに最適なブラウザ
Chromium版に移行したおかげで、Edgeは非常に速くなりました。今回のテストでは総合3位で、Speedometerでは99.5点、JetStreamでは99.071点でした。ただし、MotionMarkテストでは、479.30点というすばらしいスコアで首位に輝きました。
この結果からわかるのは、グラフィックスを多用したウェブサイトや、重い負荷のかかるウェブ上での作業には、Edgeが最適だということです。
Edgeは着々と改良されていますが、信じられないほど複雑なコンテキストメニュー(ブラウザ内で右クリックすると表示されます)のせいで、必要なオプションをすぐに見つけるのは簡単ではありません。
また、プライバシーが最優先事項なら、あまり使いたいブラウザとは言えないでしょう。
Opera:最速ではないが、機能は豊富
Operaは、今回のテストでは総合4位でした。
Speedometerは90.1点、JetStreamは95.914点、MotionMarkは415.26点です。悪いスコアではありませんが、世界最速のブラウザからはかなり遅れをとっています。
ここまでに紹介したほかのブラウザと同じく、Operaも、Chromiumをベースにしています。Facebook Messenger、WhatsApp、SpotifyやApple Musicなどの音楽配信サービスとの統合をはじめ、便利な追加機能もあります。
そうした機能を備えたOperaは、選ぶ価値のあるブラウザかもしれませんが、スポンサードコンテンツが含まれることには注意してください。
そうしたコンテンツについては、無効化を検討するほうがいいでしょう。また、プライバシーへの配慮という点でも、最高のブラウザとは言えません。
Firefox:速度は遅いが、プライバシーは万全
残念ながら、Firefoxは今回のテストの総合点で最下位でした。Speedometerではわずか77.48点、JetStreamは62.475点、MotionMarkは222.78点です。
Firefoxは、今回のテスト対象になったブラウザで唯一、Chromiumベースではありません。それがこの結果のいくばくかを説明しているかもしれません。
とはいえFirefoxは、設定にいくつか調整を加えれば、安全でプライバシーの守られたブラウザになります。その点と、すぐれたアドオンのエコシステムのおかげで、目だった存在になっています。
Safariについてひとこと
SafariはMac専用のブラウザなので、このブラウザ対決に含める意味はありませんでした。少しのあいだ、M1プロセッサ搭載の「Mac Mini」を利用することができたので、そのマシンを使って、同様のベンチマークテストをSafariで実施してみました。
AppleのM1プロセッサを搭載したMac Miniは、まったく違うOSで動作する、非常に強力なマシンなので、そのスコアは、今回のテストの結果と比較することはできません。
とはいえ、Safariはこのベンチマークテストですばらしいスコアを叩き出しました。MotionMarkは1658.44点、Speedometerは256点、JetStreamは193.778点でした。
Macを使っているのなら、Safariは、スピード、機能、電力効率のバランスがとれた最高のブラウザと言えるでしょう。