社会人になるといずれは、仕事はできても人としては「最低な同僚や上司(Brilliant Jerk)」に悩まされる日がやってくるでしょう。

「最低な同僚や上司(Brilliant Jerk)」は、どこの職場にも存在します。

仕事ぶりが会社の上層部から高く評価される一方で、同僚たちの日々を「地獄のような場所」に変えるような人間です。

ときには、上層部が彼らのジャークぶりを知っていながら、それをよしとする場合すらあります。

あるいは、直属の上司でなければ、それに気づいていないケースもあります。

みなさんの中にもきっと、そんな人に悩まされている人がいるはず。

しかし、異動させたり、環境を変えたりできる立場にでもついていないかぎり、解決は容易ではありません。

ただし、そのための策を講じれば、彼らがもたらす害を和らげるか、取り除くことは可能です。

ジャークかどうかは主観に左右される

たしかに、誰が見ても職場に害をもたらしている人はいます。

その一方で、その人がジャークかどうかは、主観によって左右されるケースもあります。

人はみな、多かれ少なかれ最低の側面を持ち合わせています。大切なのは、さまざまな個性や流儀といったものを考慮に入れながら、その人が最低な人間かどうかを判断することです。

Difficult Decisions』の著者で、YSC Consultingの最高経営責任者(CEO)であるEric Pliner氏はこう言っています。

自分とは世界観が違うからなのか、仕事に対するアプローチのしかたが違うからなのか。

それとも、その人の仕事のスタイルには、どう考えても職場に害をもたらす要素があるのか。

どのような力関係も、相互作用によって生み出されているのです。

これは、私たちの行動がジャークの害を招いているとか、あるいは逆に、私たちにはジャークのふるまいをやめさせる力がある、ということではありません。

それよりも、状況が何らかの役割を果たしているということです。

そして、そのような人間のふるまいを野放しにしておけば、状況が改善されるのはかなり先になるでしょう。

上司にできること

あなたが、対策に乗り出せる管理職に就いている場合、大切なのは、彼らの行動が職場に与える影響をきちんと把握することです。

たとえ有能であっても、彼らが会社に悪影響を及ぼしている可能性は大きいでしょう。いくら仕事ができようが、彼らのせいでほかの社員が力を発揮できなくなったり、会社を辞めたりするようでは、その存在はマイナスだとしか言えません。

「ほかの社員の精神状態に及ぼす影響を考える際には、そのせいで、その人物の貢献度合い以上に、チームの生産性が下がっている可能性がある点を考慮に入れましょう」とPliner氏は言っています。

その人物が、組織の生産性、とくにほかの社員にもたらす悪影響に目を向けることは重要です。

労働環境も、有害な行動を許すか許さないかに、大きな違いをもたらします。

「部下が、嫌な思いや不当な扱い、倫理に反する行動に直面したときに、臆することなく声を上げられるような環境を上司であるあなたがつくっていれば、有害な行動は長続きしないことが多いでしょう」とPliner氏は言います。

もし部下が声を上げることに不安を覚え、ジャークの迷惑な行動がいつまでもまかり通っているのであれば、それを許している労働環境と、そのような労働環境をつくった張本人にも、責任の一端があると言えるでしょう。

私たちにできること

私たちのほとんどは、労働環境を変えられる立場にありません。けれども、そんな労働環境を生き延び、事態をいくらか好転させることなら可能です。

対処法のひとつは、職場の居心地をよくしてくれる同僚を自分で見つけることです。

「ジャークの行動が通用しているのは、自分たちは孤立していると感じさせられていることがひとつの原因です」とPliner氏は説明します。

ですから、前向きで、何かと勇気づけてくれる人たちと親しくするようにすれば、それだけ孤立している感覚は薄れてきます。

「ネガティブな人の言動に反応したり、彼らを避けたりするよりも、ポジティブな人と協力し合ったほうが、組織の中でいい結果を出しやすくなります」とPliner氏は話します。

そういったポジティブな同僚がいれば、状況に対処し、解決策を見つけることも容易になるでしょう。

2つ目の対策として、この状況を変えるためにどんな行動が取れるのかを考えてみてください。

たとえば、上司に相談するのもひとつの手でしょう。ただし、仕返しされるおそれもあるので、慎重に行動することが肝心です。

悪影響について上司に相談するのであれば、自分の懸念を、助けを求める要求のかたちで伝えるのがいいと、Pliner氏はアドバイスしています。

たとえば、「ほかの社員に関する苦情」ではなく、自分の仕事にどのような悪影響が出ているのかを説明することが大切です。

何よりも、「仕事ができるなら、クズ人間でもかまわない」という、間違った考えは捨て去るべき時です。

「有能になるために、最低な人間になる必要はまったくありません」とPliner氏は言います。

有能で、なおかつ思いやりがある人たちが存在することを、もっと世に知らしめるべきです。

Source: Difficult Decisions