私はマラソンをするので、自分の身体を限界まで追い込むのがどういうことかわかります。まだがんばれると感じる時はもう1km余計に走りたくなったり、大きな大会の直前にはもう1回長距離を走っておきたいという欲が出たりするのがわかります。

また、深刻な燃え尽き症候群や、食事や栄養、回復が十分でないことが原因の怪我を、辛うじて避けるというのがどういうことかもわかります。

何らかの運動選手やアスリートであれば、慢性疲労状態である「オーバートレーニング」の警告を受けたことがあるのではないでしょうか。

ランナーの中には、身体が抗議して動かなくなるまで、無理し過ぎているサインに目を向けない人もいます。

米Lifehackerの健康系シニア・エディターBeth Skwareckiは、スポーツジムの常連の多くが「2日連続で筋トレをしないほうがいい、でないとオーバートレーニングになる」と言っている、と指摘します。

では、オーバートレーニングとよくある普通の疲労はどのように違うのでしょうか

「オーバートレーニング」というのは、「疲労」や「筋肉痛」のような意味だと思われているかもしれませんが、実際は「オーバートレーニング症候群」という深刻な全治数カ月の症状です(持久系のアスリートにのみ立証されています)。

今回は、オーバートレーニング症候群になるまで身体に負荷をかけるとはどういうことかを理解し学びながら、自分がオーバートレーニング症候群になった時にどうするべきかを見ていきましょう。

オーバートレーニング症候群になる原因

オーバートレーニング症候群は、適切な休息を取らず過度な運動をしたことに対する反応です。ここで、誤解や混乱が起こります。「過度な運動とは具体的にどのようなもので、「適切な休息や回復とはどのようなものなのでしょうか? 

詳しい説明の前に言えることは、ウェイトリフティングを2日連続でやったからと言って、深刻なオーバートレーニング症候群になる危険性はないということです。

週6日でも、そのトレーニングに対して身体の準備ができているアスリートであれば、適切な頻度のウェイトトレーニングになり得ます

「オーバーリーチング」対「オーバートレーニング」

何かを獲得するにはがんばる必要がありますよね? きちんと考えられた有効な方法で身体を追い込めば、深刻な弊害が出る前に、自分の限界がかなり広がります。

「オーバートレーニング(無理をすること)」と違って、「オーバーリーチング(がんばること)」とは、自分がこなせること以上のことをするという一般的な言葉です。

多くのスポーツで「機能的オーバーリーチング」の練習をするのは一般的で、以前やって回復したこと以上の負荷を意図的にかけると、数日後もしくは数週間後にその負荷が極端に減少するというものです。

アスリートが何週間も何カ月も一度にオーバーリーチングをすると、身体を壊してオーバートレーニングになる危険性があります。

もっと具体的に知りたい場合は、このリンク先の「表1(Table 1)」に、機能的オーバーリーチング(良い)と、非機能的オーバーリーチング(悪い)と、オーバートレーニング症候群(本当に悪い)の違いが載っています。

さらに専門的に説明するなら、オーバートレーニング症候群は、「相対的エネルギー不足(Relative Energy Deficiency in Sport:RED-S)」や「女性アスリートの三要素(Female Athlete Triad)」とは別物です。

相対的エネルギー不足は、現在のオーバートレーニング症候群に関する仮説よりも、栄養摂取により焦点を当てたものですが、このような条件による原因や症状や当然ながら密接に関わっています。

オーバートレーニングかを確認する方法

定期的にハードなトレーニングをして、パフォーマンスが低下していることに気づいたら、オーバードレーニングの危険性があります。

オーバートレーニング症候群の兆候

※(「HSS」と「米国立医学図書館」参照)

  • 運動後の異常な筋肉痛
  • 以前はできていたレベルのトレーニングや競技ができない
  • 強度の低い運動でも筋肉(身体)が重い
  • トレーニングからの回復が遅い
  • パフォーマンスの停滞もしくは低下
  • 憂鬱、怒り、困惑などの気分の変化
  • 睡眠の質の低下
  • エネルギーやモチベーションの欠如
  • 免疫力の低下
  • 月経周期の乱れや生理が来ない
  • 体重減少、食欲不振
  • 便秘、下痢
  • 長引く倦怠感

自分はオーバートレーニング症候群かもしれないと思う人は、スポーツ医学の専門家に診てもらい、回復する方法を相談したほうがいいでしょう。

オーバートレーニング症候群からの回復

身体が以前のようなパフォーマンスができるよう回復するには時間が必要です。できるだけ早いうちにオーバートレーニングかどうかを見極め、回避するのが1番です。

専門家と一緒にトレーニングをするのがいいですが、ほかにもトレーニングの時に心に留めておきたいことがあります。

  • 休息:大会やレースに出られなくなるとしても、運動のルーティンから少し離れる必要があるかもしれません。
  • 栄養:トレーニングを減らしても、食事や栄養補給を止めてはいけません。自分の食生活を見直し、栄養士と相談して、自分に必要な栄養を摂取するようにしましょう。
  • 頭の切り替え:そもそもトレーニングをやり過ぎてしまった原因は何なのでしょう? 文字通り、自分の身体の声に耳を傾けることが非常に重要です。

オーバートレーニングの兆候を無視していると、最終的に身体に反動が出ます。二度と運動ができなくならないようにしてください。アスリートや選手としての目標を達成するには、自分の身体を追い込むことと回復させることのバランスをうまく取らなければなりません。

Source: BuzzFeedNews, National Library of Medicine, Medicine & Science IN Sports & Exercise, BROWN, AMERICAN FAMILY PHYSICIAN, HSS