ToDoリストの作成は、その日にやっておく必要のあることを把握し、1日のスケジュールを管理するのに有用な方法です。

とはいえ重要なのは、これらのリストアップしたタスクをいつやるかだと、Donna McGeorge氏は指摘します。課題を実行する時間帯によって、その質は大きく変わってくるからです。

McGeorge氏は、『The 1 Day Refund: Take Back Time, Spend it Wiselyx(1日を取り戻す:時間をコントロールし、賢く使おう)』という本の著者です。

壁にかかっている時計ではなく、あなたの体に備わっている時計に注目してください」と、McGeroge氏は発想の転換を促します。

人間は、「概日リズム」と呼ばれる体内時計をを持っています。午前中は頭が冴え、午後には体がよく動くようになりますが、これは体内時計の作用なのです。

そこで、やみくもにToDoリストの項目に取り組む代わりにMcGeroge氏がすすめるのが、1日の仕事時間を約2時間ずつ、計4つのセクションに分ける方法です。

それぞれのセクションに行なうべき最適なタスクの種類は、時間帯によって違ってきます。

第1セクション:最初の2時間

仕事をはじめて最初の2時間は、高い集中力が要求され、負荷が高いタスクを行なうべき時間帯です。これは、報酬をもらって働く人にとって一番重要度が高く、最も頭を使う仕事です。

頭脳労働者であれば、この時間に頭の中の天才スイッチがオンになるはずです」とMcGeorge氏は説明します。

集中力が大いに必要になるタスクに取り組むのなら、ここがベストな時間帯です。

この時間帯は、提案書を作成したり新しいビジネス戦略を考えたりするのに向いているでしょう。逆に、受信メールのチェックに使うべきではありません。午前中の最初の2時間をメールチェックに費やしているのなら、それは、1日で一番頭が働く時間帯を無駄に使っているということです。

また、McGeorge氏は「こう言うと、『直感に反している』と思う人が多いのはわかっていますが、ビジネスパーソンの手元に届くメールのうち90%は、対応にそれほど頭を使う必要がないものです」と断言します。

多くの人が、午前中の一番価値ある時間帯をメール対応で使い切っています。

そして午後に入ると、気力が落ちてきて「決断疲れ」が起きるのです。人は精神的に疲れていると、間違った判断をしがちです。

そうは言っても、朝一番にメールをチェックする習慣がすっかり染みついている場合、これを変えるのはなかなか大変です。

そこでMcGeorge氏がすすめるのが、まずは受信トレイをざっと見て、何をおいても対応しなければならない緊急の用件がないかを確認するという方法です。

1日のはじめにそこまで済ませてから、あとのほうの時間帯で、改めてメールに対応すれば良いのです。

McGeorge氏は、次のアイデアを提案しています。

受信メールをざっとチェックし、『今すぐ返事がしたい』という衝動をぐっと抑えて、あとの時間にこの作業を回しましょう。

この方法なら、(朝一で)決断すべき事柄は、せいぜい1つか2つでしょう。

朝のうちにメール対応をすべて済ませてしまえば、そのあとは集中して最高の成果が挙げられるなどという考えは、幻想にすぎません

第2セクション:次の2時間

1日のうち次の2時間は、高い集中力が要求されるけれども、負荷は低い仕事に振り向けるべき時間帯です。

だからといって、重要度の低い仕事というわけではありません。

ほかの人にとっては負荷が高いかもしれないけれど、自分にとってはそうでもない、そういうタスクです。

この時間帯には、一対一の社内面談や、プロジェクトに関するチームミーティングなど、多少は頭を使う必要がある予定を入れましょう。

あるいは、何らかの状況について、部下や同僚がアドバイスやアイデアを必要としているなら、午前の終わり近くの時間帯は、こうした話をする場を設けるのに適したタイミングです。

第3セクション:昼食後の2時間

さて、昼食後の2時間は、負荷が低く、それほど集中力を必要としないタスクに取り組みましょう。これは、ファイリングやレポートのチェック、メールの対応など、あまり重要には思えないけれども、やっておかなくてはいけない事柄を指します。

「もし情報交換のために行なっている定例ミーティングの時間帯を決められる立場にいるなら、ランチのあとに設定しましょう」とMcGeorge氏はアドバイスします。

こうしたミーティングは通常、ほかの出席者との情報交換がメインで、問題を解決する必要があるとは限りません。このセクションで行なうのにぴったりの予定です。

また、この時間帯に研修や学習活動に参加するのも、効果があるという研究結果が出ています。

第4セクション:最後の2時間

そして1日の最後は、頭の回転や注意力が落ちてくる時間帯です。負荷は小さいけれども、影響力の大きいタスクに取り組みましょう。

これは、1日の仕事をまとめ、やりかけの仕事を完成させる時間帯であり、ここの使い方が適切であれば、非常に大きな効果を持ちうる可能性があります。

明日やることになっているミーティングや予定をチェックし、今日のうちに準備しておくべきことがあれば、手短かに済ませておきましょう。

この時間帯はまた、朝の日課をよりスムーズにこなすために準備する時間として使うこともできます。たとえば、明日着る服を決めて揃えておく、自分や子どものお弁当を詰めておく、といったことです。

スケジュール管理が大変すぎて途方にくれているとか、自分にはとてもコントロールできない、ミスをするのではないかとヒヤヒヤしている、といった話を聞くと、私はいつも、すべてはこの第4セクションからスタートするのだと考えてもらうようにしています。

1日の締めくくり方について、考え直してみましょう。翌朝の最初の2時間を有意義に過ごすための準備に充てるのです。

Source: Donna McGeorge, Amazon

Originally published by FastCompany[原文

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