若手の部下の意欲を引き出すには、どうすればいいのか。元官僚で現在は静岡県掛川市長の久保田崇さんは「今の若者には3つの特徴がある。それを踏まえて指導をするのがいい」という――。

※本稿は、久保田崇『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

PCを使用する若いビジネスマン
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できる上司は先手先手で「根回し」をする

課長になったら、組織にもよりますが部下は10人前後、あるいはそれ以上はいることでしょう。課長の最も大切な仕事は、実務責任者として課の方針に関する意思決定とリソース(財源、人員)の割り振り、外部への対応です。とりわけ、組織の外の関係者(ステークホルダー)に対する根回しと調整が重要な役割であると思います。できる課長は、先手先手でそうした関係者へ早期にかつ効果的に根回しを行うことによって、将来起こりうるトラブルの芽を摘み取ります。

私が支えた課長の中にも、先手で根回しに取り組む人がいました。日中にふらっといなくなったかと思えば、主だった国会議員の事務所にさっと回って、世間話も交えた根回しを行っていたのです。

当時私はその課が抱える最大のプロジェクトについて、各省協議や幹部への報告のために多忙を極めており、国会議員への根回しはそれらが終わってからその準備に速やかに着手しようと考えていました。ですから、外から戻った課長から、「議連の○○会長(議員)と○○副会長には報告しといたよ」と聞いたときには驚きましたし、私の知らないところでそうした調整を済まされたと聞いて「さすがだ」と尊敬の念を抱きました。

それ以外の多数の議員への根回しはローラー作戦よろしく、漏れがないように後日1件ずつ回ることになったのですが、とりわけ発言力が大きい議連の会長にまず一報を入れていただいたおかげで、その後の根回しもとてもスムーズにいったのです。

大学教員時代に感じた「最近の若者の特性」

入社3年で3割が辞める、入社1年で15%が辞めるなど、若者の早期辞職はもはや珍しくもありません。あなたの周辺でも聞いたことがあるのではないでしょうか。もちろん転職自体を否定するものではないのですが、会社の魅力ややりがいを十分に部下に伝えきれないまま辞めていかれるのを黙って見るのは辛いものです。特に最近は、直属の上司や課長に相談もないままある日突然辞職願が届くというケースが多いと聞きます。

私にも残念ながら部下の若者が辞めてしまった経験もあります。そこで、前職の大学教員時代に学生と付き合う中で感じた彼らの特徴をお伝えしたいと思います。