就職面接で聞かれたら、ヘッドライトに照らされて凍りついたシカのように、パニックになりそうな質問があります。
あなたは、求人情報を何週間も吟味して(大半はこれはダメと除外して)、自分の経歴と今後のキャリアパスにふさわしい、極少数の求人に絞り込み、履歴書に添付する職務経歴書を10回程あれこれ書き直しました。
ようやく、ぜひ働いてみたいと思っている会社の人事部から、脈のありそうな返事がきました。
そして、何をするかよくわからない「自己紹介のための顔合わせ」(実際には予備面接)がはじまって5分と経たないうちに、こう質問されたとしましょう。
「希望する給与額を教えてください」
これは油断ならない場面です。そつなく答え、採用候補に残りながらも、低い給与額を提示して墓穴を掘らないようにしなければなりません。
求職者としては、手抜かりのない答えを用意して、できるだけ高い給与を確保しつつ、そのポジションを争える立場をキープする必要があります。
応募したポジションの適正な年収を調べておく
まずは、面接に向かう少し前に戻ることになりますが、自分が希望しているポジションのマーケットと年収の範囲を調べておかなくてはなりません。
企業側は、応募者がやるべきことをきちんとやっているか、そのポジションの一般的な年収を把握しているかどうかを確認したいと考えています。
人材コンサルティング会社ロバート・ハーフはこう助言しています。
米労働省労働統計局のような信頼できる情報源をあたり、希望業界の年収に関する全米のデータを確認しましょう。
また、ロバート・ハーフが公表している「2022年版給与ガイド」で、希望するポジションの全米平均給与額を調べてください。
希望年収を聞かれた時の最善策5選
情報を入手して武装したら、次は答えを準備する番。キャリア専門家がすすめる最善策を紹介しましょう。
1. すぐに回答しない
面接がはじまったばかりであれば、希望年収を伝える前に、仕事についてもっと詳しい情報が必要だと考えるのは当然です。
そこで、こんな風に答えてみてはどうでしょうか。
「ポジションと職務について、もう少し詳しく教えてくださいますか。それを踏まえて、より現実的な希望年収をお伝えできると思います」
ただし留意しておきたいのは、いずれは年収について話し合う必要が出てくるということ。
また、早い段階で年収について率直に話し合っておくと、自分の最低希望額に達しない仕事を排除できるという利点もあります。
2. 希望する年収の範囲を伝える
具体的な数字を1つ提案するより、自分にとって満足のいく給与の範囲を提示しましょう。
目指す年収は、その範囲の下限に近いあたりにしてください。というのも、採用する側は提示された範囲内の低めの額を選ぶことが多いからです。
また、上限と下限の差は5000ドルから1万ドルの間に収めましょう。
3. 逆に質問する
質問される側ではなく、質問する側に回って「採用者」の支払い希望額をまずは確認するよう、キャリア専門家の多くはすすめています。
そうすれば、安すぎる希望額を提示したり、チャンスを無駄にしたりすることがなくなります。
キャリアコーチのRosie McCarthy氏は、自身のInstagramで、次のような回答例を挙げています。
「年収について詳しく話す前に、具体的にどのような職務を担当するのか、どのような責任を担うのか、さらにはそれに伴う全体的な報酬について、理解を深めたいと思っています。
そのポジションに含まれる職務の範囲を把握したうえで、私の考えをお話したいと思うのですが、いかがでしょうか?」
上手くいけば、このような問いかけに対して相手が理解を示してくれるかもしれません。
「そちらの希望年収が知りたいだけです」という答えが返ってこないことを願うばかりです(これは個人的に体験したことです)。
相手が協力的ではない場合、あるいは異なるアプローチを試してみたい場合は、次を参考にしてください。
4. 交渉可能かどうかを探る
年収は報酬の一部にすぎないことを念頭に、「手当てや賞与、有給休暇、福利厚生を含めた報酬の全体像を知りたい」と相手に伝えましょう。決断はそのあとです。
求人サイトIndeed.comでは、交渉可能かどうかを探るための言い方の例を挙げています。
「年収が7万5000ドルから8万ドルの間のポジションを希望しています。
しかし、福利厚生、賞与、自社株報酬やストックオプションなどに応じて、年収を交渉する意思もあります」
5. 希望年収を伝える
面接も終わりに近づき、いざ年収を決定する段階で、はじめに提示した給与の範囲や希望年収が低すぎたことに気がつくかもしれません。
その場合は、ぜひそのポジションで働きたいという熱意をまずは伝えましょう。
それから、担当職務を要約し、自分がそのポジションでどう能力を発揮できるのかを簡単に説明してください。たとえば、このように伝えます。
「ぜひこのチャンスに挑戦してみたい気持ちでいっぱいです。
給与の範囲についての話はすでに済んでいますが、ポジションに伴う責任について伺った内容と、私が同様のポジションで○○年の経験を積んできたことを考えると、○○ドルが適正な額かと思います。
自分が長く積んできた○○の経験を活かせば、御社のポジションで、きっと成功できるという自信があります」
次が重要なポイントです。
経験に見合った希望年収を提示したあとで、相手が前言撤回しても、心配することはありません。
会社側は、あなたという候補者の審査と面接に手間と時間をかけています。年収を交渉したいと言われたからといって、あっさりと手を引くことはないでしょう(給与の交渉方法はこちら)。
これはよくあることですし、誰もがやってみるべき当然のプロセスなのです。
Source: Robert Half, Instagram, Indeed.com