気がつけば、受信トレイが未読メールで埋め尽くされている。チャットツールにはメンションされた書き込みがたくさん──。私たちは、毎日たくさんの文章を読んでは処理をしなければなりません。

焦る気持ちでスマホやPCの画面をスクロールすれば、読み落としや読み違えが生じるのも無理はありません。しかし、ビジネスパーソンたるもの、そこはスマートでスムーズなやりとりをしたいものです。

今回は、メールやマニュアルといった仕事に必要な文章を、速く正しく読み解く力(読解力)をつけるアイデアをご紹介します。

読解力とは「書かれてあるがままに理解すること」

「読解力」というと、書かれている内容の背景までを考察しながら読む力と思いがちです。

しかし、大手予備校などで読解法を教える柳生好之さんは、著書『だれでもすぐにできる 1分読みトレ(かんき出版)で「(読解力を身につけるには)書かれている文を書かれてあるがままに理解することが最も大切」と書いています。

文を正しく理解するためには、「文法」や「論理」に従って読んでいくことが必要です。ふだんはあまり意識することがないかもしれませんが、実はこれが「読解力」の基本になります。

(『だれでもすぐにできる1分読みトレ』3ページ)

「文法や論理」というだけで難しく感じてしまいますが、「『何がどうした、あれ・これ・それ・どれ』といったルールに従って読んでいくことが大切」と考えれば簡単です。

読解力があれば、読書にも集中できて理解も深まる

本書では、6つのステップで読解力を身につける方法を説いています。それぞれのレクチャーには練習問題があり、1分以内に解くことを目標にしています。

PART1「何がどうした?」
主語と述語を骨格として文を正しく理解するという、読解の基本

PART2「あれ? これ? それ? どれ?」
指示語が指し示すものを正しくつかみ、文意をとらえる練習

PART3「同じ? 違う?」
語順や前後の表現などによって意味が変わってしまうことに注意

PART4「これって、ありえる?」
情報を整理して、具体例があてはまるかどうかを確認

PART5「書かれていないこともわかるの?」
原因と結果の関係に注目しながら、あらゆる角度から検証

PART6「図や表のどこを見ればいい?」
多くのデータが含まれる図表の中から、必要な情報を抜き出す

(『だれでもすぐにできる1分読みトレ』4ページ一部抜粋)

こうして挙げると、日ごろいかに文章を読解しようとせずに流し読みしていたかに気づかされます。難しそうだし、ちょっと面倒…。でも向き合ってみると、日々のメールやチャットツールの処理だけでなく、読書をするときにも理解力が深まるのだとか。

実は、本書の対象年齢は「10歳〜∞」。たしかに、小学生の文章問題って難しいですよね…。電車にかかっている塾の中吊り広告を読むと、その難解さに驚くことがあります。

それだけ、大人になると「1つの文章に真剣に向き合う」という機会は減ってしまうということかもしれません。

本書は、夏休みに挑戦したい大人のドリル。速く正確に文章を読み解くというスキルは、身につければ文章を書くときにも役立ちそうですね。

Source: かんき出版