スキンケア、脱毛、メンズメイク…男性も美容にコストをかける時代になりました。しかし、「ただ見た目がよければいい」ということではありません。

「身だしなみ」や「メンテナンス」の大切さ、あるいは「姿勢」や「所作」なども含めたトータルとしての見た目、いわば「人として美しく在る」ことは、人の心をつかむ人間的な魅力につながります。

この「美しく生きる。」特集では、ビジネスパーソンとして、また人として魅力的であるために必要な知識やノウハウ、ストーリーをご紹介します。

今回は美容師で、美容系ユーチューバーとして登録者数19.5万人を誇る宮永えいとさんにインタビュー。ビジネスパーソンにとっての「身だしなみの重要性」について聞いた前編に続き、今回はより具体的なテクニックやアドバイスを教えてもらいます。

「清潔感はビジネスで最強の武器になる」美容系ユーチューバー宮永えいとの確信 | ライフハッカー[日本版]

「清潔感はビジネスで最強の武器になる」美容系ユーチューバー宮永えいとの確信 | ライフハッカー[日本版]

「大人としてこれだけはやってほしい身だしなみ10選」とは

前編では、きちんとした身だしなみはビジネスパーソンの重要な武器になるというお話をしてもらいました。なかでも、「大人男子としてこれだけはやってほしい身だしなみ10選」として、宮永さんは以下の項目を上げました。

  1. 洗顔料で洗顔すること
  2. 化粧水と乳液で保湿をすること
  3. 髭を剃るか、整えること
  4. 歯を磨き、歯間ブラシをすること
  5. 髪の毛のメンテナンスとスタイリングをすること
  6. 爪の手入れをすること
  7. 髪の毛を乾かしてから寝ること
  8. 体の毛をトリミングすること
  9. 足回りに気を遣うこと
  10. 衣類の洗濯、管理をすること

上記のなかには「当たり前にやっている」ことも多いでしょうが、なかでも「特にこれをやってほしい」のは何でしょうか?

すべて大事なのですが、やっているようでやれてないという意味では、やはり2の「スキンケア」でしょうか。

前編で「鏡で自分の顔を入念にチェックすること」の重要性についてお話ししましたが、僕は浴室の曇った鏡の前で洗顔するのではなく、お風呂から上がってから改めて洗面台の鏡の前で洗顔し、肌の状態をしっかりチェックしています。

そして化粧水を塗って保湿しながら肌の質感も確認し、乳液を塗る。朝の洗顔時には日焼け止めクリームも欠かしません。

スキンケアは特に、ケアをすれば結果がすぐ見て分かりますし、コスパもいいと思います。見た目PDCAをガンガン回していきましょう。

見た目PDCAの回し方

Plan(計画)

鏡の前で肌の質感をチェックし、今、肌がどんな状態か、どんな化粧水や美容液が有効かをチェック

Do(実行)

自分の肌の状態がわかったら、それに合った化粧水や美容液を使う

Check(評価)

再度鏡の前に立ち、使っている化粧水や美容液が合っているかを確認。ここで新たな問題を発見することもある

Action(改善)

季節の変化などにより、使っている化粧水や美容液が合わないと感じたらすぐに違うものを試してみる

脂ぎっている人ほど「保湿」が必要

一般的に男性は、女性に比べて皮脂の分泌量が3倍と言われています。結果として「自分は脂が強めの肌質だから保湿はしなくていい」と誤解している人が多いのだとか。

実は、脂っぽい肌の人ほどゴシゴシ洗顔しがちなので、結果としてその後、一時的に肌が乾燥します。それで肌が乾燥状態を防ごうと過剰な皮脂分泌をし、ギトギト肌になるという悪循環を招いてしまうのです。

身だしなみ10選の最初に「洗顔料で洗顔すること」を入れているのは、ボディソープなどで身体と一緒に顔も洗っている人が少なくないからです。

顔は身体より皮膚が薄く、繊細な部分。肌荒れなどを防ぐために、必ず洗顔料で泡立ててから洗うようにしましょう。ゴシゴシ洗いは肌に刺激を与えるので厳禁です。

シャワーの温度も身体と同じ40℃前後だと刺激が強いため、32℃程度のぬるま湯で流してください。顔はビジネスパーソンにとって名刺も同然。体と顔のケアは全く別物と考えて、特別なケアを心がけてもらいたいと思います。

朝夕の洗顔後はしっかりと化粧水・乳液で保湿。本当に多忙という人は、オールインワンの1本で済むケアでも構いません。まずはこれを習慣化するだけでも違いが分かってくるはず、と宮永さん。

男性に対して見た目をよくチェックしている女性でも、ニキビや肌荒れなど改善するのが大変な部分に関しては否定的に見ることは少ないです。よく聞くのは、「肌が放置されている状態が嫌」ということ。

つまり自分の肌の状態に無頓着で、ケアしている様子が一切見て取れないこと自体に嫌悪感を覚えるのです。これは多くの男性に知っておいてもらいたいと思います。

「身だしなみ10選」のほかの項目については宮永さんのYouTubeチャンネルでも紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。

美容師は最も身近な「美容のプロ」。「1か月~1カ月半以内」で定期的に通ってほしい

最低限の身だしなみを整えた後、次にするべきことは何でしょうか。宮永さんは「美容師を味方につけること」だと話します。

美容師は、一番身近にいる「美容のプロ」。活用しない手はないと思います。

まずやってもらいたいのは、「定期的に美容院に行く」こと。髪が伸びたなと感じてから美容院に行くという人が多いですが、髪の長さ云々ではなく必要なメンテナンスという意識で、できれば1カ月、長くても1カ月半以内には行くようにしてもらいたいですね。

一見コスパが悪いと感じるかもしれませんが、ヘアスタイルが整った状態を保つことで意識が変わったり、美容師とのコミュニケーションを通じて得るものがあったりします。

何なら、ヘアカットそのものより、美容師になんでも聞けることのほうが価値が高いのではと思うほどです。メディアやネットの情報は大衆へ向けた一般的な知識にならざるを得ませんが、カット中は1対1のコミュニケーションなので、自身にパーソナライズされた見立て、情報を得ることができるからです。

美容師との会話は当たり障りのない世間話だったり、あるいは話すのが面倒で寝たふりをしたりする、そんな人もいるでしょう。しかし、普段美容について話し合う相手がいるという人は多くないはず。

宮永さんは「カットしたら、次回の予約を取っておくこと」を推奨しています。そうでないとなかなか1カ月~1カ月半というスパンは守れないからです。

ビジネスパーソンは基本、前髪を上げたほうがいい

ちなみに肝心のヘアスタイルですが、宮永さんのビジネスパーソン向けのアドバイスはシンプルです。それは、「おでこを出す」こと。

ビジネスシーンでは、相手から「この人は誠実そう」「信頼できる人物」と感じてもらうことが何より大切です。そのためには顔全体の印象を明るく見せる必要があります。

そのための最も手っ取り早い方法がおでこを見せること。前髪がかからないことで、顔全体に光が当たりやすくなり、明るい印象をつくることができます。また瞳にも光が差し、元気で活力のある雰囲気になります。

分け目をつくって額を出してもいいですし、ジェルなどで前髪を上げてもいいと思います。例えば平日は前髪を上げてスイッチをオン、休日は下ろして見た目からオフにする。そんな使い分けもアリですよ!

ビジネスシーンで圧倒的に勝つのは「人のため8割、自分2割」のファッション

スキンケア、ヘアスタイルときたら、あとはやはりファッション。これこそアラサー以降、こだわりがなくなりやすいポイントかもしれません。また、「家庭があるので自由に使えるお金が少ない」という人もいるでしょう。

しかし、宮永さんは「清潔感のあるファッションはお金をかけなくてもできる」と断言します。

ユニクロ、GUをはじめとするファストファッションブランドによって、1,000円前後で手に入るファッションの幅は非常に広くなりました。

そもそもファッションには独自の個性やトレンドといった要素がありますが、身だしなみという観点からみればそれは一切考慮する必要はありません。ビジネスシーンにおいては、ファッションはオシャレではなく身だしなみという捉え方をしてもらえればいいと思っています。

宮永さんが大人のビジネスパーソンに推奨するアイテムは「テーラードジャケット」「無地シャツ」「黒い細身のパンツ」「クルーネックの無地Tシャツ」です。

上記のなかでも、清潔感を得る最も簡単な方法は「白シャツを着る」ことです。

汚れが目立ちやすいということで敬遠する人もいますが、白はもっとも清潔感を感じる色ですし、汚れやすいからこそ汚れないように気を付ける=美しい姿勢や所作を保つということにもつながります。

そして汚れたときは、速やかに新しいものを取り替えましょう。だから僕は高級ブランドの服を着ることを推奨はしません。もちろん個人の好みで着ることは自由ですが、高級で気に入った服は、汚れてもほつれても着続けるという人が多いからです。

清潔感という観点から見れば、ユニクロや無印良品の服を定期的に買い替えたほうがよっぽど見た目の印象がいい、ということはよくあるのです。ちなみに、今日僕が着ている服も無印の白シャツです。

もちろん、その後は掃除用のボロ布などにして活用するようにしています。

宮永さんは、「大人のビジネスパーソンのファッションは清潔感と安心感を最優先にしつつ、自分の個性、こだわりを少しだけ混ぜる「人のため8割、自分のため2割」のファッションを薦めています。「ビジネスシーンで圧倒的に勝つ」ためのファッション公式と言えるでしょう。

「オシャレ」はいらない。「清潔感」に徹すればいい

スキンケアにせよヘアスタイルにせよファッションにせよ、こだわるといくらでもハマってしまう沼のようなもの。だからこそ手を出しづらい、出せないという人も少なくないでしょう。

しかし、「相手に与える印象をよくするため」を目的にして、オシャレではなく清潔感を与えることに徹するなら、そこまで難しいことではありません。自身の状態を鏡でチェックして、必要な手入れをする「見た目PDCA」を回し続けることが何より重要です。

自分と向き合い、自分を知り、行動に移す。誰でも何かしらのコンプレックスを抱えているものですが、それを改善していくことで驚くほど自信がつき、仕事も人生も変わっていくと思います。

少しでも多くの人に「見た目から自分を変えることはできる」ということを知ってほしい。僕はそう願って発信を続けています。

▼前編はこちら

「清潔感はビジネスで最強の武器になる」美容系ユーチューバー宮永えいとの確信 | ライフハッカー[日本版]

「清潔感はビジネスで最強の武器になる」美容系ユーチューバー宮永えいとの確信 | ライフハッカー[日本版]

ビジネスシーンで「圧倒的に勝つ」身だしなみまとめ

●「見た目」と心はつながっている。本来持っている自分の魅力を引き出すために、きちんとした身だしなみが必要

●アラサー以降の男性にとって必要なのは「モテる」見た目ではなく、「人に対して自分を整える」、ビジネス的な観点の見た目。カッコよくなくていい

●ほとんどの男性が「自分の状態を知らない」。まずは鏡をしっかり見てまじまじとチェックしよう。

●脂ぎっている人ほど「保湿」が大事。ゴシゴシ洗いは厳禁

●美容師は最も身近な美容のプロ。カット中は美容に関する情報交換を積極的にしよう

●清潔感を得るために最も簡単なファッションは「白シャツ」を着ること。ユニクロ、無印良品をうまく活用しよう

宮永えいと

都内有名ヘアサロン勤務を経て、フリーランス美容師として独立。ゴートゥデイ(GO TODAY SHAiRE SALON)でサロンワークをこなす。その傍ら、「大人男子の身だしなみ」をテーマにYouTubeで発信し、チャンネル登録者数は19万人以上。2020年、株式会社CiiKを立ち上げ、身だしなみをアップデートするブランド「RETOUCH」を展開している。著書に『大人男子の「超」清潔感ハック』(KADOKAWA)。

Source: オトナ男子LABO/Photo: 大崎えりや