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2022年08月14日

【子育て】『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』出口保行


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犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉 (SB新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、個人的に読んでみたかった子育て本。

すでに土井英司さんがメルマガで取り上げていますから、お読みになった方も多いかもしれません。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
優等生と非行少年のたった1%の子育ての差
「親のよかれ」は「子どもの呪い」になっているかも!
10,000人の犯罪者を心理分析してきた犯罪心理学の第一人者だからこそわかった、子どもの未来を照らす声かけ、子育ての教科書。
うちだけは絶対大丈夫、という家庭でこそ読んでほしい。
親のよかれが危険な声かけになっていないか検証し、学力・人間力ともに優れ自律した子どもを育てる方法とは?

中古価格が定価を上回っていますから、当初より値下がりしたKindle版がオススメです!





Family / Griffish Photography


【ポイント】

■1.客観的事実と主観的現実は違う
警察の取り調べは、客観的事実を時間軸に沿って追っていくのが基本です。何時何分にどこで何をしたのか。供述を記録したものが、裁判資料になります。ここで重要なのは客観的事実です。
 一方、心理分析で重要なのは「主観的現実」。私たちももちろん客観的事実について聞きますが、本人がどうとらえたかが問題です。はたから見ると些細な出来事であっても、本人にとっては大きなショックだったということはあります。
 たとえば親が何の気なしに言った「もうちょっと頑張らないとね」という言葉が、ものすごく重たいものになっていたということが実際にあります。親が「頑張らないとね」と言ったのは客観的事実ですが、それを「自分は何をやってもダメなんだ、だからお母さんは決して認めてくれないんだ」と受け止めたのは主観的現実であるわけです。


■2.出生順位や性別で決めつけない
 出生順位や性別は本人が望んだわけではありません。偶然の結果です。それを強調されて「○○だから」と言われても、本人にとってはいい迷惑です。
 役割を期待する声かけは、期待にこたえようとして頑張る「いい子」ほど、苦しむことになります。自分自身を抑え、役割を演じようとすればどこかに無理が生じるものです。親からの期待を 嬉しく思う気持ちもあります。きょうだいのお手本になろうと勉強もするし、習い事なども頑張る子は多いです。  しかし、うまくいかなくなったときに一気に自信を失ってしまう。そして、何かのきっかけで爆発してしまうという例がよくあります。
 本人の性質・個性に基づく期待ならいいのです。「みんなの話を聞いてまとめるのが上手だから、リーダーとして頑張ってほしい」といった期待は、個性を伸ばすことにつながるでしょう。
 しかし「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」といった言いまわしは個性をつぶします。外発的な要因で期待する声かけは、良い結果を生みません。


■3.「早くしなさい」はなぜダメなのか
「早くしなさい」
「さっさと片付けなさい」
「いい加減、支度しなさい」
 子どもに対し、このような急がせる言葉を言ってしまう人は多いと思います。しかし、小さい子どもはみな事前予見能力が育っていませんから、なぜ急がなければいけないのかわかりません。
 事前予見能力は生まれながらに持っているものではなく、発達の中で身につけていくものです。親は「急がないと学校に遅刻してしまう」「約束の時間に間に合わなくなってしまう」と必要性を理解しているわけですが、子どもには難しいのです。
 ですから、「学校まで歩いて15分かかるから、8時には出ないと朝の会に間に合わないよね」「8時に家を出るためには、どうしたらいいかな」というように、早くするべき理由を伝えて考えさせなければなりません。
 これが、事前予見能力のトレーニングになります。


■4.意欲を持っていること自体を褒める
 お手伝いの例でいえば、洗濯物が速くきれいにたためたときに褒める一方で、遅かったりぐちゃぐちゃだったりしたときに褒めないようにすると、褒められたいから頑張るようになるでしょう。上達はするでしょうが、もともと自発的に持っていた「家事ができるようになりたい」という意欲は減退するかもしれません。
 褒められることを目的にするからです。そして、洗濯物をうまくたためても褒められなくなると、もうやらないということになりかねません。
 逆に、意欲を持っていること自体を褒めると、意欲が高まります。
「家事ができるようになりたいなんて、すごいね」
 プロセスを褒めることも同様です。
「おっ、たためているね」
「しわを伸ばしながらたたむなんて、すごいな」
 これなら、ますますやる気が出るでしょう。


■5.勉強しなさいと言うほどやりたくなくなる、ブーメラン効果
 ブーメラン効果とは、相手を一生懸命に説得するほど、反発が起こって逆の行動を導いてしまうという現象のことです。人は行動を強制されると、それに反発したくなるもの。意識的にも無意識的にも自由を求めており、自由が侵されたと感じるからです。「勉強しなさい」と言われてやる気がなくなった、という経験を持つ人も多いのではないでしょうか。(中略)
 ブーメラン効果が起きやすい条件が2つあります。ひとつは「説得者と同じ意見であるとき」。自分の意見と反対のことを説得されるから反発したくなるのではないかと考えてしまいますが、そうではないのです。「自分でそうしようと思っていたのに!」というときに反発して、逆の行動をとろうとします。勉強しようと思っているときに「勉強しなさい」と言われると、やりたくなくなるわけです。(中略)
 もうひとつは、「説得者を信用していないとき」。はじめて会った人に説得されたら、反発したくなるのが普通だと思います。


【感想】

◆最初、この本のタイトルを見たときは「なぜに犯罪心理学を子育てに?」と思ったワタクシ。

いや、子育て本と言えば、むしろ東大やらスタンフォード行った家庭の話の方が説得力ありそうじゃないですか。

しかし、いざ本書を読んで理解したのは、誤った子育てをされた「子」が、大きくなって犯罪者になりやすいので、「反面教師」として中身が濃いということ(実際ハイライト引きまくりました)。

もちろん「親だけが悪い」ということではないですし、実際、子が勝手に悪の道に染まっていたケースも十分あるのでしょうけど、少なくとも未然に防げた可能性は高かった気がしました。

そして本書で挙げられたフレーズの何がどう悪いのか分かっていないと、私たちも自分の子育てで失敗する可能性は十分あると思います。

……って私自身、下記目次のタイトルにあるフレーズの半分以上を、子どもたち(のどちらかか両方)に言ってきちゃいましたしね。


◆さて、まず本書の序章では、こうした「親の勘違い」「自己満足」について指摘されています。

たとえば上記ポイントの1番目に登場する「頑張らないとね」辺りは、皆さん普通に言ってるのではないでしょうか?

確かに客観的に見て「頑張らないとね」な状態であっても、子どもの「主観的現実」では、「自分は何をやってもダメ」「だからお母さんは認めてくれない」となりかねません。

ただ問題は、親の方にもあって「私は私のやり方でやっているんです! あなたに何がわかるんですか!」とキレられることもあるのだとか。
「よかれと思って」「子どものために」という言葉が出たとき、「それは本当だろうか?」と自ら顧みる姿勢が必要ではないでしょうか。大事なのは子どもにとっての「主観的現実」です。これは何度でも強調したいことです。
……心しておかなくては。


◆また、第1章から抜き出した上記ポイントの2番目も、巷でも普通に聞く話です。

有名なところではこんなのもw

一番好きな竈門炭治郎のセリフは?3位「俺は長男だから我慢できたけど…」2位「人は心が原動力だから…」1位は? 【#竈門炭治郎生誕祭】 | アニメ!アニメ!

私自身、「長男だから」と言われ、妹に比べて学業面でも高いハードルを課された記憶があります。

ただ逆に、私のヨメが3人兄姉の末っ子で、むしろ甘やかされて育ったせいか、長女であるムスメや、二人目で長男であるムスコには、こうした「役割」は期待してきませんでした。

特にムスメは3月末生まれで、長女なのに学校ではみそっかす扱いだったのもあってか、私たち夫婦が全然「お姉さんだから」的な扱いをしてこなかったのもありましたが。

いずれにせよ、こういう「役割で育てる」ことには十分気を付けていただきたく。


◆一方、上記ポイントの3番目の「早くしなさい」は、今でも私が子どもたちに普通に言っちゃってるフレーズです。

こちらは本書の第2章からなのですが、ここに出てくる「事前予見能力」とは、非行・犯罪臨床の中でよく用いられる言葉で、いわゆる「先を読む力」のこと。

どうも少年犯罪者はこの能力が弱いそうで、少年院でも先生方は常に本人に考えさせる声かけをするのだそうです。

そしてこの能力を各家庭でも育てるためには、「逆算して考える」ことをさせるのが有効とのこと。
 旅行に行く予定があるなら、計画を考えさせるのもいいでしょう。情報を提供しながら、「何時に出発するのがいいかな?」というように問いかけます。
この章では他にも、「内観療法」という本来は更生プログラムで行われる心理療法が登場しますから、そちらもぜひご確認ください。


◆さらに第3章から抜き出した上記ポイントの4番目の「褒め方」のお話は、一部は類書でも目にするものでした。

一応私も結果ではなくプロセスを褒めるようにはしていましたが、「意欲を持っていること自体を褒める」というのは初耳なので、試しておきたいところ。

また、1つ飛んだ第5章からは、上記ポイントの5番目のブーメラン効果のお話を引用しました。

この効果が起きやすい条件の1つ目には、俗に言う「ちょうど言われる前にやろうと思ってたのに!(でも言われたからやらない)」というヤツですね。

なお、著者の出口さんいわく、親子の会話が勉強にかたより過ぎていると、息が詰まってやる気もそがれるそう。

皆様さまざまな話をして、お子さんをリフレッシュさせてあげてください。


子育て家庭の方なら、要チェックな1冊!

4815616531
犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉 (SB新書)
序章 「よかれと思って」は親の自己満足
第1章 「みんなと仲良く」が個性を破壊する
第2章 「早くしなさい」が先を読む力を破壊する
第3章 「頑張りなさい」が意欲を破壊する
第4章 「何度言ったらわかるの」が自己肯定感を破壊する
第5章 「勉強しなさい」が信頼関係を破壊する
第6章 「気をつけて! 」が共感性を破壊する
終章 子どもを伸ばす親の愛情


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本夏のビッグセール」のすばる舎さんの記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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