軟調な株価が回復の兆しを見せています。しかし依然先の見えない状況で投資の継続を迷っている方は多いかもしれません。

加えて家計が直面する物価上昇率は前年比3%(2022年7月時点/ニッセイ基礎研究所調査より)となっており、相対的にお金の価値が目減りする今、資産を守るために投資は続けたいもの。

そこで今回はつみたてNISAなどで投資信託を積立投資している方に向けて、不安なときこそ変えたほうがいいこと、ダメなことについて解説します。

長期積立投資、つみたてNISAは継続で

つみたてNISAに採用されている投資信託への投資は、継続しても良いでしょう。金融庁によると、世界の主な株式指数に20年積立投資をした場合、元本割れはありませんでした。

投資のパフォーマンスは、期間の取り方で変わります。価格が大きく下落する局面であるリーマンショックやバブル崩壊のような、金融ショックが起きた場合でも、長期投資は有効なのでしょうか。

ニッセイ基礎研究所の調査によると、過去の金融ショックの直前のような、不利なタイミングから積立投資を続けた場合でも、元本割れはありませんでした。

例えばリーマンショック直前(2007年10月末)から2021年末まで、毎月2万円積立投資をした場合、米国株式型投資信託(S&P500)の最終積立金額は1,338万円になりました。累計投資元本は340万円なので、約1000万円儲かったことになります(投資コスト、税金は考慮しない)。

ただし、あくまでも過去のパフォーマンス。将来の利益を約束するわけではないことには注意してください。

値動きの変動幅や、元本割れする期間の目安は?

長期投資の有効性は知っていても、日々の値動きは気になるものです。値動きの変動幅や、元本割れする期間の目安を確認してみましょう。

ニッセイ基礎研究所の調査によると、リーマンショック前(2007年10月末)から2021年末まで投資した場合、米国株式型が元本割れした期間の割合は24%でした。極端な値をとり除いても、株式型に投資するなら、ひと月±6%は変動することを知っておきましょう。

また、同期間の米国株式型の元本最大毀損率は38%です。積立投資でも、金融ショックの際には元本が半分ほどになってしまう可能性があるのです。

どうしても不安なら「分散投資」を検討する

長期保有は元本割れのリスクを減らせると分かっていても、日々の価格変動は気になるものです。投資元本が半分にまで減ってしまえば、投資に慣れている人でもハラハラするでしょう。投資する資産や国を分散させることで、価格変動を抑えることができます。

値動きの大きい米国株式型のみを保有している人は、広く先進国に投資する海外株式型や、国内株式、債券型のファンドなどへの投資も検討してみてください。

ファンドを組み合わせることを難しく感じる場合は、今後バランスファンドにも投資することを検討してみてください。ポートフォリオを組む手間なく、分散投資が叶います。米国株式型の元本最大毀損率(※)は38%でしたが、同期間のバランスファンドは高リスク型で28%、低リスク型で10%と下落幅を抑えられていることが分かります。

※「低リスク型」は株式インデックス25%・債券インデックス72%・短資3%、「高リスク型」は株式インデックス75%・債券インデックス22%・短資3%を組入れたファンドを想定

※元本最大毀損率とは、最も投資金額を下回った割合のこと

テーマ性の高い投資信託や、値動きの激しい銘柄は手放すことを検討

テーマ型投資信託は、流行テーマの関連企業に投資できるメリットがあります。一方で、テーマには流行り廃りがあり、長期保有には向かない場合があります。短期的な利益を追求する投資信託は、手放すことを検討してもいいかもしれません。


今回は、投資で不安なときに変えた方がいいこと、ダメなことについて解説しました。

過去の金融ショックでは、米国株式型の積立投資の元本が一時4割ほど毀損したことも。長期・分散・積立投資でリスクを減らせても、元本割れの可能性はあります。資産形成は余剰資金で行いましょう。

余剰資金を知りたい場合は、こちらの記事を参考に、お金の色分けを試してみるといいかもしれません。

円安、値上げ…先行き不安な時こそ「資産の見える化」と「投資の見直し」をすべき理由とやり方 | ライフハッカー[日本版]

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山田ももこ

ファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、アセットマネジメント会社に入社。上場企業の管理部門を経て、ライター・編集として独立。「とっつきにくいお金の話を分かりやすく」をテーマに、資産形成や投資について伝えることを得意としている。

Source: ニッセイ基礎研究所(1,2,3),金融庁