愛される年輩者の共通点は何か。漫画『島耕作』シリーズなどで知られる漫画家・弘兼憲史さんは「60代からは“話すより聞く”ことだ。相手が話し終わるまでじっと我慢することが、人生後半を豊かにする」という――。

※本稿は、弘兼憲史『弘兼流 60歳から、好きに生きてみないか』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

公園のベンチに座っている孤独なシニア老人
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「聞き上手」が60代からの人生を豊かにする

歳を重ねると、人の話を最後まで聞けなくなる人が多くなります。

面倒に感じるのですね。がまん強さがなくなるわけです。

たとえば、話が一見、簡単に思えるときにそういう傾向が強くなります。

「○○に気をつけて」
「わかってるよ」
「ほんとうに大丈夫?」

と聞けば、

「わかったと言ってるだろう!」

何度も言われると、相手の話を最後まで聞けず、怒り出すこともあります。いわゆる逆切れです。

年配者が嫌われるのがここです。相手がよかれと思い確認しているのに、「しつこい」「年寄りだと思ってバカにしている」と受け取ってしまうわけです。

いわゆる「年寄り扱いされた」というやつです。

年寄り扱いされていいじゃないですか。若ぶって失敗したり、相手を心配させたりするよりはるかにいいと思います。人の話をしっかり聞くだけですよ。

「お年寄り、そんなに急いで、どこに行く」

と言いたいですね。

人の話はゆっくり聞いてあげてください。きっと「あの人は聞き上手だから話しやすい、感じがよい」と思ってくれます。

異性にモテるのも、聞き上手が一番。相手が話している途中で話したいことがあっても、相手が話し終わるまではじっと我慢、我慢。それが後半の人生を豊かにしてくれます。

同じことですが、威張る人は、間違いなく嫌われます。

人はなぜ威張るのか? 「虚勢を張る」という言葉がありますし、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉もあります。実力がある人ほど、他人に対して謙虚になるという意味です。威張るという行為は、みっともない、あるいは品がないということになりそうです。