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ひとりひとりの社員は真面目にがんばっているはずなのに、次々と問題が起こってしまうーー。

決して珍しいケースではなく、むしろよくあることかもしれません。だとしたらなぜ、そのようなことになってしまうのでしょうか?

この問いに対して『ミッションドリブン・マネジメント』(鳶本真章 著、技術評論社)の著者は、ミッションが組織に浸透していないからかもしれないと述べています。

組織のミッションとは、その組織が存在する意義、使命のことです。

創業者が想いを持って会社をつくり、世の中に何らかの価値を提供しているわけですから、ミッションは必ずあるはずです。

ただ、ぼんやりとした想いだけで明確な言葉になっていないことが多いのではないでしょうか。言葉にして伝えていなければ、組織に浸透することもありません。(「はじめに いい会社にはミッションがある」より)

逆にいえば、ミッションが浸透している会社は「その仕事をなんのためにやっているのか」を理解でき、新たなミッション実現のためにさらなるチャレンジを続けることができるわけです。

著者はそんな、ミッションに突き動かされるようにして組織全体がひとつの方向に向かっていくことを「ミッション・ドリブン」と呼んでいるのです。

これまで多くの企業を見て、支援してきたなかで得た確信は、「ミッションドリブンな会社こそ成功する」ということだそう。企業の規模に関係なく、ミッションドリブンを目指すべきだということです。

著者は「丸亀製麺」など多くの外食ブランドを展開するトリドールホールディングスにおいて、ミッションドリブンな仕組みづくりを実践してきた人物。つまり本書は、そうした実績を軸に書かれているわけです。

きょうは第2章「ミッションをつくる」のなかから、基本的な考え方を抜き出してみたいと思います。

ミッション、ビジョン、バリューの3つをセットで考える

ミッションに似たことばには「ビジョン」「経営理念」「パーパス」「行動指針」などがありますが、本書では「ミッション、ビジョン、バリュー」の3つをセットとして考えているそうです。

・ミッション→ 世の中に対して果たしていく使命、目的、存在意義

・ビジョン → ミッション実現のために目指すべき将来像

・バリュー → ミッション、ビジョンを体現するための価値観、行動規範

(48ページより)

ミッションがもっとも川上にあり、ミッションが変わればバリューも変わるというイメージだそう。

ただし会社によっては、ビジョンをいちばんに考えることもあるのだとか。「こうなりたい」という将来像のほうが明確で、そこからミッションを言語化するということです。

ミッションとビジョンを同時に考え、それに基づいてバリューを定義するというイメージでもいいでしょうが、それぞれ明文化し、社内に浸透させていくことが大切であるわけです。

著者が関わった当時のトリドールグループの場合、ミッション、ビジョン、バリューは次のようなものだったそうです。

▶︎ミッション

Finding New Value.Simply For Your Pleasure.

▶︎ビジョン

日本初のグローバルフードカンパニーになる。外食産業唯一無二の人材開発企業への進化

▶︎バリュー

① Customer Oriented

お客様視点で考え行動し、すべてにおいて質にこだわる

②Take Risk for Growth

常に成長を求め、リスクをとり成長し続ける

③ Take Ownership

自らが責任者のように行動し、結果に責任を持つ

④ Diversity and Respect

他者を尊重し、違いを受け入れる

⑤ Flexibility for Success

物事を柔軟にとらえ行動する

(49〜50ページより)

なお、現在はさらに進化しているそうで、時代の流れとともに変化し続けることも重要なポイントなのかもしれません。(48ページより)

どこかで見たようなミッションに意味はない

ここでは、ミッションについてこう少し掘り下げてみましょう。大切なのは、その会社がどこを目指しているのかを、ミッションとしてあらためて明文化すること。たとえば、次のような質問が考えの助けになるそうです。

・なぜ、この会社が存在するのか?

・業界の中でどういうポジションになりたいのか?

・どのような世界を目指しているのか?

・我々が社会の中で果たすべき役割は何なのか?

・我々が大事にしていることは何か?

・社内で変えたいところ、絶対に変えたくないところは何か?

(51ページより)

会社のミッションは、経営者がひとりで考えてつくれるならそれでもOK。とはいえ多くの場合、ひとりで完成させるのは難しくもあるでしょう。夢を持っていたとしても、日々の経営のなかでどうしても現実に引っぱられてしまうからです。

また、ひとりだと視野も狭くなってしまいがち。ミッションはミッションのみでなく、それにひもづく採用、教育、評価、組織づくりまで変えていく必要があるもの。そう考えると、やはり複数の視点があったほうがやりやすくなるわけです。(50ページより)

冒頭で触れたとおり、本書の軸になっているのは経験を通じて得た著者の実績。そのため実践的であり、組織のなかでより人を活かしたい人には大きく役立ってくれそうです。

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Source: 技術評論社