締め切りを守るのに苦労する人や、いつも「先延ばし」にしてしまう人、あるいは、携帯の通知ですぐに気が散ってしまう人は、「パーキンソンの法則」の犠牲になっているかもしれません。

これは、あるタスクに与えられた時間が長ければ長いほど、それを終えるのにはより長い時間が必要になる、という法則です。

この法則こそが、先延ばしが蔓延する理由です。では、どうすればそれを克服できるのでしょうか?

それについて話す前に、「この法則がなぜ生まれ、なぜ蔓延するのか」について理解することが重要です。

パーキンソンの法則とは?

パーキンソンの法則は、イギリスの海軍史家であるシリル・ノースコート・パーキンソン氏が提唱した有名な格言です。その内容は次のとおりです。

よく見られることだが、仕事の量は、完遂のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。

この概念を理解するため、48時間以内にレポートを書かなければならない人の例について、考えてみましょう。

この人は1日目に、リサーチとして関連データを収集し、アウトラインを作成します。次の日、エッセイの最初の下書きを書きはじめるのです。締め切りが近づいて、残り数時間となったところで編集校正を行ない、ようやく原稿を提出します。

では、締め切りが24時間とされていたらどうなるでしょうか? その人が、同じレポートを24時間以内に、質を落とすことなく、簡単に書き上げる可能性は十分にあります

あなたも、同じような状況に何度か遭遇したことはありませんか?

たとえば、長めの納期の仕事を任された経験が思い浮かぶかもしれません。

そんな時、「完遂するために必要な時間」を使ってタスクを終えるのではなく、使える時間をすべて使って(つまり、納期に合わせて)タスクを完成させたのではないでしょうか

生産性を最大化するために、パーキンソンの法則を利用する

パーキンソンの法則は蔓延しており、一見すると避けられないように見えます。しかし、時間の使い方をコントロールすれば、この法則を、自分の有利になるように利用することが可能です。

ここでは、パーキンソンの法則を克服して、もっと生産的になるための戦略をいくつか紹介しましょう。

1. SMARTな目標を設定する

Image: Shutterstock
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自分の仕事の重要さが感じられないと、つい怠けて、先延ばしにしてしまうもの。先延ばしにするもう1つの大きな原因は、次のステップが不明確なことです。プロジェクトが終わったら何をするのかがわからないと、完了が遅れがちになります。

だからこそ、パーキンソンの法則を克服するためには、SMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性のある、期限のある)な目標を設定することが大切なのです。

具体的で、時間的制約のある目標を持てば、より意欲的に取り組み、時間やそのほかのリソースをより意識的に使えます。

2. 効果的なスケジュールを立てる

スケジュールを立てることの重要性は、誰もが知っています。時間の使い方を意識すれば、パーキンソンの法則の悪影響を最小限に抑えられます。

効果的なスケジュールや計画を立てるには、カレンダーアプリを使って、タスクのスケジュールを組むと良いでしょう。

ただし、スケジュールには必ず締め切り時間を入れるようにしてください。(その日中に)指定の締め切り時間があると、緊張感が生まれ、時間内にその日のタスクを完了しなければ、という気になります。

締め切り時間が決まっていないと、時間に余裕があるように感じて、気が散ったり、仕事が遅くなったりしがちです。その分、夜の作業時間を増やして補おうと自分に言い聞かせますが、そんなふうにして「仕事が拡大」していくのです。

3. 「小さな締め切り」を設定する

パーキンソンの法則は、締め切りの長い巨大なプロジェクトに関して、もっとも大きな打撃をもたらします。締め切りが長いということは、それだけ、気が緩んで注意散漫になる時間が増えるということです。

そうならないためには、プロジェクトを小さなタスクに分割する必要があります。それぞれのタスクに中間的な締め切りを設定し、それにしたがってスケジュールを組むのです。

大きなプロジェクトを小さなタスクに分割すれば、目標の大きさに圧倒されにくく、より実行しやすくなるため、先延ばしにする可能性が低くなります。さらに、締め切りまでの時間を短くすることで、時間的余裕がなくなるのです。

時間的余裕がないからこそ、切迫感を感じ、タスクを完了させようという意欲が湧いてきます。

4. 時間の使い方を記録する

最初のうちは、正確な見通しが立てられないかもしれません。

たとえば、あるプロジェクトに3時間を割り振ったとしましょう。ですが、作業を進めていくうちに、あと2時間必要だとわかったとします。そんな時は、スケジュールを再調整して、時間を増やしましょう。

プロジェクトに正確な期限を設定できれば、効果的な計画を立てられます。そのためには、各プロジェクトにかかる時間を記録することからはじめると良いでしょう

そして、特定のプロジェクトにどれだけの時間がかかっているかを記録できる、優れた時間管理アプリがいくつかあります。

こうしたアプリを使用すると、時間的な記録を見て、さまざまなプロジェクトの完了にどれくらいの時間がかかったかを確認できるのです。

これにより、プロジェクトの見積もりや納期を、より現実的に設定し、時間の無駄を省けます

5. タイムボクシング(時間区切りテクニック)の活用

何かを成し遂げる必要がある時、普通はそのプロジェクトの完了までにどれだけの時間がかかるかについて考えません。その代わり、プロジェクトに与えられた時間はどれくらいかを考えます。

そこにパーキンソンの法則が入りこんできます。「タスクに与えられた時間」が、「実際に必要とする時間」よりも長い場合、私たちは、そのタスクをギリギリまで遅らせようとする傾向があるのです。

それを防ぐためには、タイムボクシング(timeboxing時間区切りテクニック)を使いましょう。

これは、あるプロジェクトにおいて、1つのタスクを完了するまでにどれだけの時間がかかるかを考え、そのタスクに必要な時間に応じて自分で期限(タイムボックス)を設定し、それを順守することです。

たとえば、あるプロジェクトを3日で終わらせなければならないとします。検討した結果、3時間以内にできることがわかりました。そこで、3時間という期限を定め、その時間内に完成させるように努力するのです。

タイムボクシングを利用すれば、自分がどこでどのように時間を使っているかを意識するようになります。自分で設定した期限を意識することで、先延ばしにすることも少なくなるはずです

6. ポモドーロ・テクニックの活用

タイムボクシングと同じように、ポモドーロ・テクニックを使ってより生産的になることで、パーキンソンの法則に打ち勝てます。ポモドーロ・テクニックとは、短時間で集中的に作業を行ない、そのあいだに短い休憩を挟む、というテクニックです。

ポモドーロ・テクニックを使う時は、実際のタスクの期限を考えるのではなく、自分で設定した25分という時間を意識します。これにより、パーキンソンの法則が作用する可能性を排除できるのです。

ポモドーロ・テクニックの使い方は以下の通りです。

  1. 優先順位の高い順に、ToDoリストを書き出す
  2. タイマーを25分にセット
  3. タイマーが切れるまで、優先順位の高いタスクに取り掛かる
  4. 5分間の休憩をとる
  5. 25分のセッションを4回繰り返す
  6. 30分間休憩

携帯電話やノートパソコンのタイマーを使うこともできますが、ポモドーロ・テクニック専用のアプリを使えば、ずっと簡単で効果的です。

より短い時間で、より多くの仕事をこなす

これらの戦略をすべて、最初から実行する必要はありません。1つか2つを選んで、できるだけ効果的に実行すれば良いのです。コツは、時間の使い方を意識することと、パーキンソンの法則による「仕事の拡大」を防ぐことです。

コツをつかんだら、これらの戦略をさらに日常的に取り入れていくことができます。ですが、それで終わりというわけではありません。

生産性を向上させ、短時間でより多くの仕事をこなすためには、ほかにも学ぶべきことがたくさんありますから。

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Source: Wikipedia

Original Article: How to Become More Productive Using Parkinson's Law by MakeUseOf