上司に対する部下のよくある不満として、上司からほとんど、あるいはまったくフィードバックがないため、「部下が自分の仕事ぶりに疑問を感じたり、何か問題があるのではないかと心配になったりする」ということがあります。
しかし、フィードバックがない=ただ「フィードバックをもらっていない」だけ、ということがよくあるのです。
多くの場合、その理由はフィードバックを受ける側にではなく、マネージャーのスキルにあります。フィードバックを与えることは1つのスキルであり、それを十分に身に付けていない責任者がたくさんいるのです。
これで一番困るのは、フィードバックを「実際に求めている」部下たち。こうした部下は、上司が自分の仕事ぶりをどう評価しているかを気にしている人たちです。
フィードバックが必要かを確認する
上記のような部下たちは、自分の仕事に誇りを持ち、影響を与えたい、スキルを向上させたいと思っています。
何か問題があれば、それを知りたいのです。そのような上司とのコミュニケーションのギャップは物足りないものであり、人によっては不安になります。
こういった場合、まずすべきは「自分にフィードバックはあるか」を上司に確認することです。必要ではないこともあります。
優れた業績をあげている人たちの中には、自分が本当に良い結果を出しているということを受け入れるのが難しい人がたくさんいます。
しかし、修正点、改善点がない場合もあるのです。その代わり、どのような「新しい」スキルを身につければ良いか、上司にアドバイスを求めましょう。
これまでのキャリアで自分を成長させるために何をしたか、何をすれば良かったかを上司に尋ねてみましょう。現在の仕事の改善よりも、新しい発見で自分のスキルを伸ばすことを目指すのです。
上司に具体的なフィードバックを求める
上司から質の高いフィードバックを得る一番の方法は、何を改善しようとしているのかを具体的に示すことです。特定のスキルに取り組むことで何を求めているのか、どんな意図があるのかを上司に説明しましょう。
たとえば、特に会議での自分の話し方がフィラー(あー、あの、えっと、いわゆる、そうですね、など)からどんな影響を受けているかを理解し、コミュニケーションを改善することで、自分の専門分野での能力を確実に伝えたいと思っている場合。
そこで、自分が使っているフィラーワードが、「伝えようとしているメッセージの妨げになっていないか」、もしなっているのであれば、「どのフィラーワードがもっとも邪魔に感じるか」、上司にフィードバックを求めます。
数カ月間、会議での様子を何度も観察してもらいましょう。そして、フィードバックに備えます。自分が一文おきに「そうですね」と言っていることがわかるかもしれません。これはとても貴重な情報です。
このアプローチを取れば、上司の意識を方向づけることになるため、フィードバックを与えるのが簡単になります。
また、フィードバックを期待していることがわかることで、上司にとってはフィードバックを与えること、自分にとってはそれを受け入れることが容易になるはずです。「上司がフィードバックをしないのは反応を気にしているからだ」という場合もあります。
そのほか、具体的なフィードバックの例としては、会議での質問が考えられます。
「自分の意見を述べる前に好奇心を持っているか?」、あるいは、「自分がほかの視点を模索できているか?」に関してのフィードバックを求めることもできます。
具体的に説明する
上司から質の高いフィードバックを得るには、具体的に説明することが一番です。ただし、予想外のフィードバックを受けることも覚悟しておきましょう。これを機会に、お願いしたこととは無関係なことを話してくれるかもしれません。
上司の言うことに不当だと感じたり間違っていると思うこともあるかもしれないため、そうした状況に対応できるよう準備しておきましょう。上司とのオープンなコミュニケーションは貴重であり、心を解放してくれるものでもあります。
ただ、上司の判断にすべてを委ねてしまわないようにしましょう。上司が「うまくいっている」と言うのであれば、それを受け入れて継続しましょう。ただし、それ以上を望むのであれば具体的な点を尋ねることです。