こんなのも、あわよくば作るつもりがあったんだ!?

Apple(アップル)は、秘密裏に研究開発とテストに時間をかけてから、誰もが欲しがるような新製品を市場に投入します。

保守的で、奇抜で斬新な製品は出さない、それ故に毎年同じようなデバイスをリリースしているイメージもありますよね。

でも、過去10年間に申請された有象無象の特許が示唆するように、Appleだって、奇抜なコンセプトの研究や実験は常に行なっているみたい。

2年前から噂だけされ続ける折畳式iPad、Apple Watchの自動バンド調整機能、窓のない車、VR靴下…などなど。

今回は、Appleが申請した特許の中でも、「当たるかどうか全然わからない、意外な」アイデアを10個リストアップしてお届けします。

1. MacBookにiPhoneをはめる

Image: USPTO
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Appleは美しく統合されたエコシステムがあり、iPhone、iPad、Macなど、デバイスをアップル製品で揃えた人がメリットを享受できるようにソフトウェアはデザインされています。

しかしハードウェアに関しては明確に線引しています。

たとえば、iPadはラップトップの代替品になるかもしれませんが、iPadはあくまでもタブレットである、というのがAppleのスタンスです。タブレットにもノートPCにもなるようなコンバーチブルな製品はおそらく今後も出さなさそう。

でも2017年に申請された特許では、AppleはiPhoneをMacBookにはめ込むようなハイブリッドデバイスのアイデアも検討していたことがわかります。

このコンセプトではバッテリー付きのディスプレイで、本来トラックパッドがある部分にiPhoneをはめるとノートPCに変身するっぽい。

iPhone側でシステム処理、グラフィック、メモリ、ストレージを担い、このノートPCもどきは電力を供給するようですね。

2.Apple Watch自動バンド調整機能

Image: USPTO
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バック・トゥ・ザ・フューチャーに出てくる、自動で靴紐を結ぶナイキのスニーカーを思い浮かべてみてください。あれの腕時計版がこれ。

腕時計が収集した生体データに基づき、自動的にバンドの長さを締めたり緩めたりする、自動調整型ウォッチバンドの特許を2017年に申請しています。

形状を調整したり維持できる弾性金属合金「ニチノール」で作ることを想定しているかもしれません。

3.コンサートの動画撮影防止システム

Image: USPTO
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この図がいったい何を表しているのか、これだけ見ても謎としか思えませんが、Appleの特許に関する画像です。

コンサート中、スマートフォンを掲げて動画や写真を撮ってる人が目の前にいた場合、不運でしかありません。視界が遮られてしまって、控えめに言って邪魔です。

そんな迷惑行為を抑制するために、Appleは考えてくれていました。

iPhoneユーザーがライブ等で動画を撮影できないようにするシステムの特許を2016年に取得しています。赤外線を利用して、録音を無効にするように伝えるメッセージをスマホに送るというものです。

これをやられたら怒っちゃうiPhoneユーザーが続出しそうですが、ひとつのアイデアとしてはアリかもしれませんよね。

4.窓がない車

Image: USPTO
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Appleは、Windowsがお嫌い。

半分冗談ですが半分本当の話で、Appleは窓ガラスをカメラに置き換えた、窓のない自動車に関する特許を申請していました。

自動車は、窓が限られているか、もしくは窓がないものもあり、そのような車で乗客が感じる動きは、視覚的に見えているものと一致しない場合があり、乗り物酔いを引き起こす可能性がある。

と特許内容に記載されていました。

この課題を解決するべく、「乗客が体験する物理的な動きと、視覚的な合図が一致するバーチャルビューをマッチングさせるVRシステムの活用」というのがAppleの策です。

さらに、窓ガラスは本質的に安全ではないとして(アメリカならなおさらそうでしょう)、VRの活用によってさらなる安全性の確保と、車内内部が広く感じられるより安価な小型自動車の製造を可能にするとしています。

実現可能性はさておき、この特許によって「AppleはWindows(窓)が嫌い」というジョークも同時に発明しています。

5. Touch Barノッチ付きのiPadキーボード

Image: USPTO
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Appleは、ベース部分と「カッブリング機構」があるタブレットアクセサリーについても特許を申請していました。

電気機械式のキーを使用するキーボードと並べて設置するもので、取り外しが可能になるので、iPadを様々な向きに柔軟に配置できるようになります。

また、Appleはタブレットのバックパネルに重なるような、カスタムメッセージ、バッテリー残量、日時などを表示する独自のサブディスプレイをもつ「カップリング機構」、またはヒンジについても検討しています。

つまり、背面パネルのタッチバーのようなものですね。

ヒンジ付きキーボードアクセサリーといえばSurface Proがありますが、タブレットは下端のキーボードアタッチメントにはめ込み、本のように閉じることができます。

さらにヒンジは、カメラ、プロジェクター、マイクなどの追加アクセサリーをサポートします。

6. コモドール64 Mac

Image: USPTO
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1982年にコモドール社が発表した8ビットホームコンピューター「コモドール64 」を彷彿とさせます。

キーボードに見せかけて、そう、これはデスクトップコンピュータ。2020年に出願された特許で、特に頻繁にデスクトップを持ち歩く場合、不便で、面倒で、困難であることを課題提起しています(そりゃそうだろう、そしてそんな人それほどいないと思う)。

その解決策として、キーボードそのもに電源、USB-Cポート、そしてキーボードを動かすために必要な全てのチップを搭載して、キーボードをコンピュータを載せるというものですね。ちなみに. Raspberry Piはすでに実現しています。

7. バーチャルキーボード

Image: USPTO
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完全にカスタマイズ可能なバーチャルMacBookキーボードの特許を昨年取得

特許画像には、通常のQWERTY配列のバーチャルキーボード、分割レイアウト、そしてキーをボタンに置き換えた3つ目のキーボードが示されています。Macbookの従来のキーボード部分は真っ白なキャンバスのようになるようです。

スマートフォンをワイヤレスで充電するためのスペースや指紋認証リーダー、タッチパッドのようなボタンには、シンプルにオン/オフ操作の代わりに静電容量式やジェスチャーコントロールが含まれる可能性があります。

Lenovoからすでに同じコンセプトのラップトップをリリースしているので、すでに既出のアイデアですけどね。

8.「シェイクでプリント」機能

Image: USPTO
Image: USPTO

今は亡き、iPhoneやiPodに搭載されてた「シェイクでシャッフル」を思い出します。

「シェイクでプリント」機能は、文字通り、物理的にデバイスをひっくり返したり振ったりすることで、特定に印刷機能を有効にしたり無効にしたりできるものです。もちろん実用化はされていません。

9. チーズおろし器的なiPhone

Image: U.S. Patent and Trademark Office
Image: U.S. Patent and Trademark Office

「Mac Pro」のデザインが、チーズおろし器なのは100歩譲って許せても、iPhoneはやめて欲しい。

昨年公開された特許の中で、Appleは「3次元構造」のiPhoneを申請しています。

ひとつめの表面から本体に延びる第1の空洞パターンを定義する本体、そしてふたつめの表面から本体に延びる第2の空洞パターンを定義する本体がある。複数の空洞は、ひとつまたは複数の第2の空洞と偏心的に交差して、本体に開口部のパターンを定義している。

ちょっと何を言っているのかよくわからないけれど、Appleの特許画像を見る限り、つまりチーズおろし器のことを言っているんじゃないかと思いました。

機能的で有益な構造であるかのように書いてますけど、つまりチーズおろし器ってことね

10.振動するVR靴下

Image: USPTO
Image: USPTO

Appleは独自のAR/VRデバイスを開発中であることは複数の情報ソースから何度も囁かれていますが、2021年の特許から、足用の触覚出力デバイスも検討しているっぽい。

技術的に靴下や靴の形状である必要がないので、皮膚に貼り付けるかたちになる可能性もあります。

最終的には実際は自宅等にいながらも、VRユーザーは異なる地表を歩いたり、異なる方向に移動する感覚を足裏から感じ取ることができるようになるというものですね。

VR体験の没入感をさらに与えるために、あらゆる種類のセンサーや入力を搭載してくる可能性がありそうです。

ギズモード・ジャパンより転載(2023.2.20公開記事)