「早く出勤してたくさん会議に出るのが待ちきれない」と言う人は、まずいないでしょう。

メールで片付けられることが多いのはたしかですが、 結果を出すために会議が不可欠な案件があるのも事実です。

では、どうやって見分ければ? これを見極めるため、スクショソフトや生産性ソリューションのプロバイダーTechSmithでは、1カ月間にわたって会議をすべてキャンセルしてみたようです

TechSmithのCEO、ウェンディ・ハミルトン氏は以下のように述べています。

組織のパフォーマンスを向上させるうえで「どこまでフレキシブルにやれるか」「何が可能か」「どれくらいが妥当か」を見極めることが最重要課題なのです。

「会議は避けたい」という社員の声を多く聞いていたので、できるかぎり柔軟に対応したいと考えました。

2022年7月の新社屋建設中、300人の社員全員がリモートワークをしていたというTechSmith。「勤務時間をよりフレキシブルにしてみる良い機会だと思った」とハミルトン氏は言います。

そこで、リアルタイムの会議を減らして、どこまで非同期コミュニケーションでできるかを実験してみました。考え方というか、哲学の問題ですね。

1カ月間、会議をキャンセルしてみる

「何でもやってみようという文化がTechSmithにはある」と語るハミルトン氏。

物事はいずれも仮説でしかないと考えています。失敗には学びがあるから、実は望ましいことなんです。

リアルタイムの会議を1カ月間、オンライン(非同期)コミュニケーションに切り替えてみました。さらに、コアタイムも廃止。

ハミルトン氏はこれについて、「社員各自に、自分の働き方を決めてもらうようにしました。どうしてもコアタイムが必要な部署では、独自のコアタイムを設けてもらうことに。働き方の方針をトップダウンで会社全体に押しつけることはしたくなかったので」としています。

さらに「リアルタイムの会議についてどう感じるか、また、自身の生産性には何か変化があったか、を我が社では、試みの前後と最中に社員に調査しました。実験の終了後でも、どの会議がリアルタイムで続けたいと社員が感じているかを検証することが目的だった」とのこと。

ハミルトン氏は懸念点も以下のように述べています。

好きな時間に自由に働くことができ生産性が上がったと感じたか、あるいは、必要な時に誰かに連絡がつかなかったせいで生産性が落ちたと感じたかを探りました。

このことを特に危惧していたのです。というのも、最終的には会社全体の規範や推奨を提案するつもりでしたので。

会議に出席することで得られる、人の感情的な部分が損なわれることも懸念していました。近年リモートの環境が続いてきましたが、誰しもがうまく適応できるわけでもなく…。

人は他者とつながっていたいと感じるものです。職場で孤独を感じることが増えたかを懸念していたので、それも精査したいと。

会議をキャンセルしてみてどうだった?

試みの前は、社員の31% が自分の生産性は高いと回答。さらに、リアルタイムの会議の重要性について数字で表してもらったら、5点満点の3.32という評価でした。

1カ月にわたる今回の試みのあと、自分の生産性が高いと感じている人の割合は15%リアルタイムの会議が重要だと感じている人の割合は 8%、それぞれ増加しました

さらに、社員の85%が会議のやり方(キャンセルすることも含め)を改めたいと回答したようです。

会議の重要性を再認識できた

ハミルトン氏は会議の重要性を次のように語りました。

会議が多くなりすぎると、会議が重要だと誰も思わなくなります。今回の試みで、会議の重要性を再認識できました。

厳選された有益な会議だけを開くようにしたことで、会議への煩わしさや疑問を感じることが減ったのです。

リアルタイムの会議はどんな場合に有効なのか? についても、たしかな洞察を得たそうです。

エモーショナルインテリジェンス(心の知能指数)が求められる案件では、リアルタイムの会議、それも対面での会議がベストでしょう。

カスタマーサポート関連でも、リアルタイムの対話が必要。

ハミルトン氏はこれに関して「エンジニアに電話で問い合わせるのはなし、と技術サポートの担当者に命じるのは望ましくありません。緊急を要するカスタマー案件なら、あらゆる制約を排除して当事者全員が一堂に会する必要があるからです」と述べています。

非同期コミュニケーションは、情報の共有には有効です

事前に録画した講義を学生が好きな時に視聴して、講義の時間は質疑応答やディスカッションに充てるタイプの授業形態を「反転授業」(フリップ ラーニング、flipped classroom)といいます。

TechSmithでは以前、ある学校がこの方式を導入する際のサポートに携わったことがありました。そして、ハミルトン氏はこれを取り入れ、次のようにコメントを残しています。

この考えを企業の会議にも導入してみました。議論を尽くして最終的に何か決断を迫られる案件では、まず動画や音声を載せたパワポを共有。

リアルタイムの会議は、状況の把握や情報収集、とおり一遍な意見交換ではなく、最終決断するための難易度の高い議論に振り向けられます

人とのつながりを取り戻す

また、ハミルトン氏は人とのつながりに関しても言及しています。

人と人とのつながりを取り戻すため、リアルタイムの会議の最初の5分は、雑談やお互いの近況報告をします。そういうものにあまり興味がない人は、最初の5分は出席しなくても構いません。

公示してある開始時刻から 5分たったら本題に入ると決めておくと良いでしょう。

ハミルトン氏は、会議の方針を再検討するようにほかのCEO にもすすめているそうです。これについて次のように語っています。

自分の信条はどんどん更新していかなければなりません。何が可能かを探り、データや結果を収集し、それに基づいて決断を。

社員の声にも耳を傾ける必要があります。社員になにか不満があれば、それを解決してあげられるかは不透明であっても、努力している姿勢を見せることが重要なのです。

試みは、その努力の1つのあり方です。

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Source: Techsmith

Originally published by Fast Company [原文

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