大学のキャリアセンターに貼ってあるポスターに、「仕事に意義を見出そう!」というスローガンが躍っているのを見たことはありませんか?

そこには、オフィスデスクに座って満足そうにしている人や、仕事で大きな成果をあげたらしく、勝ち誇ったポーズを決めている人などが写っています。

こうしたポスターが伝えようとしているのは「私たちが注視すべきものは『意義』だけであり、それさえあれば自分の仕事に満足できる」というメッセージです。確かに、いいところをついていますが、伝え方はあまりうまくありません。

仕事に意義を見出す重要性を伝えている点については、まさにそのとおりです。仕事に意義を見出せば、幸福度が深まるだけではありません。健康やレジリエンスも高まります。

社員が仕事に意義を見出せば、会社にもメリットがあります。社員は同じ会社に長く勤め、努力もするので、おのずと業績も伸びるでしょう。

一方で、これらのポスターが間違っている点があります。それは、仕事に意義を見出すことは「オール・オア・ナッシング」、意義を見出すか見出さないかの2つに1つだ、というメッセージを送っているところ。

つまり、「仕事に意義を見出すこと」を、達成すべき目標や成功として見ているのです。しかし実際には、意義とはもっと流動的なものであり、恒常的に存在しなければならないものではありません。

意義のある仕事に費やすべき時間

こちらの研究では、「意義のある仕事」に20%以上の時間を費やしている医師のほうが、20%以下の医師よりも、燃え尽き症候群のリスクが低いことがわかりました。

また、いわゆる「天井効果」も観察されました。つまり、20%より多くの時間を意義のある仕事に費やしたからといって、その効果が高まることはないようです。

この結果は、医師以外の人にも当てはまると考えてよいでしょう。週に40時間働いている人の場合、そのうちの8時間を意義のある仕事に費やすだけで、かなりの効果が得られます。40時間のうちの8時間なら、そんなに大変なことではありませんよね。

自分の仕事の意義とは?

仕事に意義をなかなか見出せずにいるなら、意義とは何かを、自分なりに定義することからはじめてみましょう。それがはっきりわかっていなければ、見つけることもできません。

あなたのやる気のもとは何ですか? エネルギーの源は何ですか? 交流したい相手は誰ですか? その交流の何が興味深く、刺激的で、いろいろ考えさせられるのですか? 

これらの問いかけに対する答えが、いまの仕事で見つけられなくてもかまいません。とにかく、まずは自分で、仕事の意義を定義してみることです。

自分なりの答えがわかったら、今までとは違う新しい可能性を探ることで、意義を探求してみましょう。ここからは、そのためのヒントを3つ紹介していきます。

コワーキングスペースを活用する

環境をあえて変えてみると、自分の現状を違った角度からとらえられるようになります。そうすることの重要性が、かつてないほどに増しているのは、リモートワークやハイブリッドワークのせいで、1日中、同じ壁を見つめながら仕事するようになったからです。

さらに重要なのは、そうした環境で働くことで、孤独を感じるリスクが現実的なものになっていることです。変わり映えしない環境で、孤独を感じながら仕事に意義を見出そうとしても、簡単なことではありません。

こうした2つの難題を解決するのに役立ってくれるのが、コワーキングスペースの活用です。

場所が違うだけでなく、まわりにいる人たちも変化します。いつも同じ同僚と付き合うのではなく、交流する人を自分で選べることもあって、全体的な幸福感が高まります。働く環境を一新することで、働く意義が浮かび上がってくるかもしれません。

ニュースから距離を置く

現代社会で暮らしていると、世界すべてが悪い方向へ進んでいるように感じてしまいがちです。

そんな世界では、「こんなにも悲惨なことがあちこちで起きているというのに、どうやって自分の仕事に意義を見出すことができるのだろう?」と疑問をもつのも無理はありません。

1日中、ネガティブなニュースにさらされていると、ものの見方だけでなく、仕事や選択まで、その影響を受けてしまいます。Shawn Achor氏とMichelle Gielan氏が寄稿した『Harvard Business Review』の記事には、次のように書かれています。

朝の数分間、ネガティブなニュースを消費すると、その日1日の感情の流れに影響が出る恐れがあります。

しばらくニュースから距離を置きましょう。1週間でいいので、通知をオフにしたり、アプリを非表示にしたりしましょう。日々のニュースという、注意力を削ぐ原因を断ち切れれば、心に余裕が生まれ、意義があることとは何かを見分けやすくなります。

仕事全体に意義を求めるのではなく「意義のある小さな瞬間」を探す

仕事の意義とは、「あるか、ないか」で語れるものではありません。むしろ、現れては消え、消えてはまた現れるものです。ですから、探し求めるべきは「意義のある小さな瞬間」です。

そうした瞬間は、尊敬されている同僚とちょっとしたやりとりを交わした時かもしれません。長い議論の末に、ようやく意見が一致した時かもしれないし、簡潔かつ正確ですっきりした報告書を作成できた時という場合もあるでしょう。

あるいは、窓の外で咲き誇る花の美しさに目を奪われた時に、意義を見出せることだってあります。意義とは、探そうとすれば、どこからでも見つかり得るものなのです。

大事なのは、意義のある仕事を中心にして、フォーカスと期待を絞り込むことです。仕事の意義は流動的なものです。多くの人にとって、意義が見出せる仕事は、1つとは限らないかもしれません。

意義とはむしろ、個々の出来事の集大成であり、条件が整い、そこに私たちのフォーカスが当たった時に見つかるものなのです。

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Source: McKinsey, Better Up, JAMA Network, MIT Sloan, Harvard Business Review(1, 2)