みなさんもきっと、Google検索を使っていますよね。ならば、Google検索結果で一番目につくところに、思いもよらないスポンサーリンクが表示されることはご存知のはず。

スポンサーリンクは、Google検索結果の最上部に表示されている、広告料を一番多く払った会社などのリンクです。

実際に探している情報自体とあまり関係がない場合もありますが、的確なスポンサーリンクが表示されることもあります。

しかし、スポンサーリンクを見て、自分が探している情報だと「思えた」としても、クリックしてはいけません。詐欺の可能性があるからです。

実際に起きたスポンサーリンク悪用の被害

Google広告を卑劣な方法で悪用した最新のケースは、Twitterを通して皆が知ることになりました。

ジャーナリストのCory Doctorow氏が、自宅近くにあるタイ料理レストランのテイクアウトをネットオーダーしようとした際の顛末をツイートしてくれたのです。

テイクアウトを注文しようとしたDoctorow氏は、そのレストラン「Kiin Thai Eatery」をGoogleで検索しました。

そして、検索結果の最上部に表示されたリンクを、何も考えずにクリックしました。それは偶然にも、スポンサーリンクでした。

「スポンサーリンクだって、リンクであることに変わりはないし、問題ないんじゃないか?」 と思いますよね。

しかし、誰かがレストランの名前を騙っているのなら、話は別です。Doctorow氏がクリックしたスポンサーリンクがまさにそうでした。

ツイートの内容

近所に「Kiin」という、とてもおいしいタイ料理レストランがある。昨日、テイクアウトを注文しようと思って、店のウェブサイトをGoogle検索した。そのときに表示されたのがこの検索結果だ。

Doctorow氏は、何の疑問も抱かずに、そのスポンサーリンクをクリックしました。「Kiin Thai Eatery」と称したウェブサイトが読み込まれ、注文画面が開いたので、注文を入力して、クレジットカードで支払いを済ませました。

スポンサーリンクをクリックし、二重請求の被害に

すると、すぐにKiin Thai Eateryから電話がかかってきたそうです。そして、「よく知られた詐欺師から、あなたの名前で注文が届いたので、キャンセルしておきました」と告げられたと言います。

その詐欺師は、Kiin Thai Eateryの偽のウェブサイトを作成し、本物のメニューをそのまま掲載して、15%割高の価格を表示していました。

そして、Doctorow氏が偽サイトで注文したら、そのメニューをレストラン公式サイトで注文し、あとは誰にも気づかれないことを祈っていたのです。

幸いにも、Kiin Thai Eatery側がそれに気づき、キャンセルしてくれました。とはいえ、Doctorow氏にはまだ、支払いの義務が残っています。

しかも1件ではありません。その詐欺師は、Doctorow氏に対して二重に請求していたからです。

偽ウェブサイトによる「小額盗難」が横行している

Doctorow氏が紹介したこの体験から、懸念すべき重大な疑問点が2つ浮かび上がってきます。

まずは、「クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスはなぜ、正式なビジネス電話番号ではなく、無料ホームページ作成ツールWixの電話番号を使っているこの詐欺師と加盟店契約を結んだのか」という疑問。

さらに、「Googleはなぜ、本物のタイ料理レストランのナレッジパネルが存在しているにもかかわらず、この詐欺師に対して、カード型のスポンサー枠を提供したのか」という疑問もわいてきます。

こうした詐欺のケースから、知らないところで「少額盗難」が横行していることが疑われます

何も知らない消費者が、偽サイトであるのに気づかず、そこに表示された値上げ料金を支払う。あとは、偽サイト側が本物の販売業者に注文を伝えて、差額をせしめているのです。

Doctorow氏も指摘していますが、これは確かに、フードデリバリーなどを提供するサードパーティー企業の仕組みとさほど変わりません。ただし言うまでもなく、利用者は、このタイプの詐欺師を介して注文することに同意してはいません。

偽ビジネス広告・偽ウェブサイトはマルウェアを仕込んでいる可能性も

この類いの詐欺は、以前から存在していました。イギリスの消費者擁護団体「Which?」が2020年に実施した調査によれば、詐欺師は「ほんの数時間」もあれば、Googleで偽のビジネス広告を作成できるようです。彼らは、はじめにFacebookで不正なビジネスページを開設して、そこから詐欺行為を進めていきます。

さらに、一般消費者が注意すべきなのは、偽のビジネスだけではありません。よからぬことを企む人間たちはまた、Google広告にマルウェアを仕込んでいます

ユーザーがそうした広告を見て、「便利そうだ」とか「きちんとした広告だ」と思ってリンクをクリックすると、システムがマルウェアに感染してしまうのです。

被害に遭わないために。私たちができるベスト対策は?

端的に言うと、Googleは当分のあいだ、この問題を放置しておくつもりのようです。何しろ、収入の大半を広告から得ている企業ですから、この問題を解決するつもりはないのでしょう。

ユーザー側ができる最善の対策は、スポンサーリンクをはじめとした広告は、いっさいクリックしないことです。Googleを使うときは常にそう心がけるのがいいでしょう。

スポンサーリンクは、自分が求めている情報ではない場合が多いです。もし関係があったとしても、あまり興味のない「お得情報」だの関連ページだのに導かれるのがオチです。

Google検索を使用する際は常に、結果画面を少し下にスクロールして、スポンサーリンクではない検索結果を探してください。そうすれば、詐欺師のワナにまんまと引っかかることはなくなります。

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Source: Twitter(1, 2), The Guardian, statista