男女平等意識が高いパートナーを見つけ、支え合える結婚をするにはどうしたらいいのか。フェミニズムについて書く作家のアルテイシアさんが、尊敬する女性学研究者の田嶋陽子さんと語り合った――。(第1回/全3回)

※本稿は、アルテイシア・田嶋陽子『田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか⁉』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

出会い系アプリを使用する女性
写真=iStock.com/AsiaVision
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「大黒柱1本」ではなく、2本の柱で生きる“リスクヘッジ結婚”

【田嶋】若い世代は昭和モデルから脱却しかけているわけでしょ? あなたやあなたより若い世代の女性にとって、働く意味はどんなところにあるの?

【アルテイシア(以下、アル)】私が20代だった頃はまだ「自己実現」「好きを仕事に」みたいな夢や憧れがあったけど、今は「そんな悠長なこと言ってられねえ、働かないイコール死」みたいな感じですね。

とにかく将来不安がすごいです。たとえ今はそこそこの収入を得ていても、体を壊したりリストラされたりして働けなくなるかもしれない。だから男性に大黒柱になってほしいんじゃなく、2本の柱で支え合いたいから結婚したいという人が多いです。

【田嶋】なるほど、それだけ経済的不安が大きいわけね。

【アル】自分たちの老後は年金も破綻してるだろうし、国は2000万貯めておけとかムチャ言うし、今は小学生すら老後の心配をしているそうですよ。

【田嶋】へえ。若い人どころか子どもが老後の心配をしてるなんて……。

【アル】なので、若い世代にとって結婚はリスクヘッジの一つでもあります。柱は1本より2本の方が安心だよねっていう。指輪パカッされてプロポーズされてめでたしめでたし……みたいな夢や憧れはもうなくて、結婚しても3組に1組は離婚するし、先のことなんかわからないし、結婚して仕事を辞めるなんて怖くてマジ無理、専業主婦なんてリスクが高すぎます。

【田嶋】ちょっと前までは、男の稼ぎだけで女房、子どもを養っていた。男は配偶者控除に助けられながら頑張ってきたけど、女房はタダ働きで、仕事につく自由はなかった。2人で1人。今の話を聞くと、今もやっぱり2人で1人の体制だけど、違うのは2人ともそれぞれ給与所得者であるということ。女性と男性は同じ働いている人として発言権は、比較的対等にある。その違いは大きいと思う。

【アル】若い人の多くは、助け合う・支え合うパートナーがほしいって考え方ですね。「結婚せざるは人にあらず」という世間の圧は減ってきて、だから「結婚しないと恥ずかしい」みたいな理由ではなく、このヘルジャパンを一緒にサバイブするチームになろうぜ、おおー! みたいな感じです。

【田嶋】ある意味、理想的!