暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)容疑などで逮捕状が出たガーシーこと東谷義和容疑者をめぐる報道が過熱している。しかし国会での処分が取り沙汰されるまで、ガーシー問題がテレビで正面から取り上げられることはなかった。コラムニストの木村隆志さんは「『ウチだけがガーシー問題を扱うのはリスクが高い』という横並び意識が影響したのではないか」という――。
ガーシー(東谷義和)第26回参議院議員選挙立候補者(2022年、NHK党、比例)
写真=時事通信フォト
ガーシー(東谷義和)第26回参議院議員選挙立候補者(2022年、NHK党、比例)

ガーシーとはいったい「何者」なのか

検索エンジンに「ガーシー」と入力すると、真っ先に「何者」という予測変換ワードが出てくる。

なぜそんなに暴露したがるのか? なぜ議員になれてしまったのか? なぜなかなか逮捕されないのか? そもそも何でこんなにメディアが騒いでいるのか?

「いまだによくわからない」という人が多いのかもしれない。

ガーシーが暴露系YouTuberとして動画をアップしはじめたのは昨年2月。4月にはチャンネル登録者が100万人を超えたが、7月には早くも停止に追い込まれてしまう。

一方で、5月に衆院選出馬を表明し当選。「ガーシー当選」というフレーズがツイッターを席巻し、トレンドワード1位になるなど話題を集めたが、メディア報道はそれほど多くなかった。

8月に著書『死なばもろとも』(幻冬舎)が発売されて10万部を超えるベストセラーになり、オンラインサロンもスタートしたが、これらもメディア報道は散発的。時折、一部のネットメディアが「帰国したら逮捕される」などと主張し、ドバイに滞在したまま国会に登院しないことを話題にしたが、大手メディアがその是非を追求するような展開にはならなかった。

この段階までメディアはガーシーに対して、付かず離れずという距離感に終始。その過激な暴露を記事にすればメディアが求めるPVや視聴率をとれそうなものだが、それをしなかったのはなぜなのか。

ネット上には、「芸能事務所とのつき合いがあるからスルーしているのだろう」「メディアもガーシーの標的になることを恐れているのでは」などの声もあがっていたが、はたして本当にそうなのか。