幸福に人生を過ごすにはどうすればいいのか。経営心理士で公認会計士の藤田耕司さんは「世間の価値観にとらわれてはいけない。『どのような人生を送ることが幸せか』という基準を持つべきだ。それがなければ、100億円を稼ぐ会社の経営者であっても幸せになれない」という――。
オフィスの窓から街を見下ろすビジネスマン
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規模が大きい会社の社長は本当に幸せなのか

「○○さんのところは、社員は何人いらっしゃるんですか?」

経営者同士の会話では、こういった質問をされることがよくあります。こう聞かれると、「なるべく社員数を多く言いたい」「規模を大きく言いたい」という気持ちにかられる経営者も少なくありません。

また、経営者交流会で一人ずつ自己紹介をするケースがありますが、その際のコメントを聞いていても、次のようなことを話す方が散見されます。

「最近やっと社員数が100名を超えました。10年後には1000名の会社にしていこうと思います」
「昨年、売り上げが50億円を超えました。今後は100億円を目指したいと思います」

こういったコメントを聞いていると、少しでも規模の大きさをアピールしようとする方が多いと感じます。規模の大きさは経営者のプライドをくすぐるものであり、それだけに規模を拡大したいと願う経営者は多いものです。

この背景には、「規模が大きい会社の社長のほうが、規模が小さい会社の社長より偉い」という世間の価値観が存在しています。ただ、その世間の価値観を自分の価値観と思い込んで経営を進める経営者は少なくありません。

 それにより、自社より小さな会社の社長には優越感を、自社より大きい会社の社長には劣等感を覚え、その優越感、劣等感が規模拡大への動機を強めます。