新採用者に求めるべき最重要な唯一の資質として自己認識力があります。
この賢明なアドバイスは、Stripe社顧問であり、ハーバード大学講師、作家、かつGoogleの前副社長でもあったクレア・ヒューズ・ジョンソンが言っていることです。
「もちろん、経験やスキルは重要ですが、学んで身につけることができます」と、ヒューズ・ジョンソンはCNBC.comで書いています。でも「自己認識力が強い人は、学ぶ意欲が高いのです。取り組むべきことに対して率直だからです」と言っていました。
ヒューズ・ジョンソンはダニング=クルーガー効果については触れていませんが、自己認識力が著しく欠如していると、自分をその道の専門家だと信じ込むようになります。実際には大してものを知らないにもかかわらずです。
社会心理学者のデイヴィッド・ダニングは、ダニング=クルーガー効果に関する最初の研究の共同執筆者ですが、誰しもいつかはこの誤った考えの犠牲者になると言っています。
したがって、自己認識力が強くなると、その誤りを認識して矯正することができるようになるのも当然です。
自己認識力があるかどうかの見分け方
自己認識力こそ、ヒューズ・ジョンソンが応募者に求める最重要な資質だとすると、自己認識力がある人とない人がどうしてわかるのでしょうか? 大変なことですよ。
なぜなら、「95パーセントの人は自分には自己認識力があると思っているのに、実際にはわずか10~15パーセントの人にしか自己認識力はない」とヒューズ・ジョンソンは書いているのです。
自己認識力があるか調べるために、採用面接中にヒューズ・ジョンソンはまず、相手の「私」と「私達」という言葉に耳を傾けます。
「私」という言葉を多用する場合、応募者は協調性がないか、自身の貢献について過度の考えを持っているかもしれません。
「私達」という言葉を多用する場合、応募者がしたことと、チームのほかのメンバーがしたことを区別しづらくなるのです。これを念頭に置いて、ヒューズ・ジョンソンは「バランスが必要です」と書いています。
また、ヒューズ・ジョンソンは応募者に、他人だったら自分をどう表現するだろうかと質問するのです。お世辞のようなことばかり言うようであれば、さらに綿密に探りを入れるため、これまでにもらった建設的な意見について質問します。
次に、そのような意見をどのように生かして改善しようとしたか? について質問します。それに対する答えで、自己改善の姿勢があるか、建設的な意見を重く受け止めることができるかがわかるのです。
自己認識力を測定する方法
ヒューズ・ジョンソンのアドバイスは、採用面接を受ける場合にはありがたいものです。でも、自身の自己認識力に疑問がある場合はどうでしょうか?
みんなが自分には自己認識力があると思い込んでいるけれども、実際にはわずかな割合の人にしかないとしたら、自分がどちらのグループに該当するのかを確かめるにはどうしたらいいのでしょうか?
ヒューズ・ジョンソンによれば、自己認識力が欠如している明確な兆候がいくつかあるとのことです。ヒューズ・ジョンソンのアドバイスを元にして以下を自問してみましょう。
1. 自分が同意できない意見を貰うことが多いか?
これが起きることが多いとしても、その意見が正しくて、あなたが間違っているとは必ずしも限りません。
でも、あなたの自分に対する見方と、他人のあなたに対する見方が違っている可能性が高いです。
2. 平日が終わるとクタクタなのに、その理由がわかっているのか?
自分がどんな人間であるかについてあなたが考えていることと、他人のあなたに対する見方や扱い方との間にミスマッチがあると、必要以上に仕事で疲れるようになることがあります。
3. どの仕事が楽しくて、どれがつまらないかをはっきり言えるか?
これは自己認識力が欠如しているかなり明確な兆候です。どんな仕事が楽しいかわからないとしたら、新たなチャンスで幸福になるのか、不幸になるのかもわからないのですから。
どの仕事が得意・苦手であるのかわからないとしたら、それはさらに大問題です。
幸いなことに、ヒューズ・ジョンソンは、誰でも自己認識力を向上させることができると言っており、有用な仕事関連評価の訓練をいくつか提供しています。ご自身で試してみたり、従業員にすすめて自己理解の向上に役立ててください。
他人のように、自身をありのままに見ることは不可能かもしれませんが、それに少しでも近づければ、成功に向かっていくのに役立つでしょう。
Source: CNBC make it
Originally published by Inc. [原文]
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