友人が起業しました。儲かりそうだと考えたからです。

そのビジネスにとりわけ関心があったわけでも、業界や販売する製品に思い入れがあったわけでもなく、何ならその仕事も好きではありませんでした。単純に、稼げると思ったのです。

実際、友人はひと儲けしました。しかし、好調がずっと続くはずはありません。状況が厳しくなると、諦めて辞めてしまいました。

この経験について、別の角度から考えてみようと思います。

スティーブ・ジョブズから起業家へのメッセージ

Apple共同創業者のスティーブ・ジョブズはかつて、起業家への最も価値あるアドバイスは何かと尋ねられたとき、こう答えました

自分の仕事に対して、強い情熱を持たなくてはならないと言われますが、そのとおりだと思います。(起業家の)仕事はとても大変なので、情熱がないと、諦めてしまうのが普通だからです。

仕事は過酷だし、しかも長い間やり続けなくてはなりません。ですから、仕事が楽しくない人、仕事を心から愛していない人は、諦めてしまうでしょう。

実際、ほとんどの人が諦めています。成功をおさめた人(起業家たち)とは、自分の仕事を愛し、諦めずに続けられた人たちなのです。

仕事を愛していない人は、辞めてしまいます。まともな考えの持ち主だからです。だって、好きでもない仕事を、我慢してやり続けたい人なんていませんよね?

情熱は育むもの。企業に対する重要なメッセージ

愛していないのなら、そもそも起業などすべきではない、という意見もあるでしょう。

しかし、その考えは短絡的すぎます。というのも、情熱は往々にして、見つけるものではなく、育むものだからです。

起業家は、情熱があるから事業を立ち上げ、熱心に取り組むのだと、多くの人が考えています。また、起業に関する多くの理論が、それを前提としています。

しかし、2014年に学術誌「Academy of Management Journal」に発表された研究で、その逆もまた真実であることが明らかになりました。

つまり、起業家のビジネスに対する情熱は、努力を重ねるにつれて強くなっていく傾向にあるというのです。自ら立ち上げた事業にエネルギーを注げば注ぐほど、そのビジネスにますます熱意を抱きやすくなります。

仕事に弾みがつき、スキルが身につき、小さな成功を喜んでいるうちに、情熱はさらに大きく育っていくことが多いのです。たとえその「成功」が、延々と続くTo-Doリストの項目に1つチェックが入っただけのことだとしても。

スパッと止める判断も大事

ただし、必ずしも、常にそうなるわけではありません。

あるいは、仕事の一部分だけが好きという場合もあるでしょう。私はこれまで、数多くの文章を世に出してきましたが、「書くという作業」を心から愛したことはありません。ただし、考えを文章の形にすることは大好きです。

書き上げるプロセスについてはそこそこでも、書き上げた文章については心から愛しています。私の場合は、それでうまくいっています。

好きであれば、あるいはジョブズ氏の言うように「愛して」いれば、仕事がうまくいかず、ほかの人なら辞めてしまうような状況でも、諦めずに耐え抜くことができます。

この記事でお伝えしたいのは、まさにその点なのです。ジョブズ氏は、起業家への最も価値あるアドバイスを求められたわけですが、それに対する同氏の回答は、さまざまなことに当てはまります。

仕事でも、私生活でも、自分のすることに情熱を感じず、また、時間と労力を費やしてもそれなりの情熱を見出せないのなら、諦めて、ほかのことに挑戦したほうがいいということです。


人生のほかの面でも、こうした考え方を活かしましょう。自分がやっていることが好きではない、少なくとも、楽しめないのなら、別の何かに挑戦しましょう。

アプローチを変えたり、ほかの方法やプログラム、計画を試したりしてください。場合によっては、関心が情熱へと変化するかもしれません。

それでも情熱に火がつかなかったら、「まともな」判断を下して、別のことを試せばいいのです。

ジョブズ氏が言ったように、好きでもない仕事を、我慢してやり続ける理由などないのですから。

スティーブ・ジョブズがたった2文で的確に定義した「失敗の真の姿」 | ライフハッカー・ジャパン

スティーブ・ジョブズがたった2文で的確に定義した「失敗の真の姿」 | ライフハッカー・ジャパン

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