一緒にいて本当に楽しい人は何をしているか。作家の有川真由美さんは「相手が話したくなるテーマを見つけて振ってくれる“話させ上手”な人は、ほとんどの人に好意をもたれる。会話というのは、自分の話をする“主役”よりも、相手にスポットライトを当てて話をさせる“脇役”のほうが得をする仕組みになっている」という――。

※本稿は、有川真由美『どこへ行っても『顔見知り』ができる人、できない人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

緑の黒板の前でメガホンで叫ぶ若い男
写真=iStock.com/AndreyPopov
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どんな人の、どんな話にも興味をもって面白がる

「この人は、どんな人とも友だちになれるんじゃないか」と思わせる人というのは、好奇心が旺盛で、だれの、どんな話にも面白がって耳を傾けます。一方、自分から交友関係を狭めている人は、自分と関係のないことには、まったく興味を示さないのです。

相手の話に乗ってあげられるかどうかで、会話の楽しさは大きく変わります。

たとえば、「最近、サウナにハマってるんです」と言われたときに、「私はあまり行かないです」などと返すと、会話はすぐに途切れてしまいます。

「私はあまり行かないんですけど、流行ってますよね。どんなところが魅力なんですか?」とか、「デトックスになりそうですよね」「サウナに行ってなにか変化はありました?」「おすすめのサウナはあります?」なんて、自分の興味に寄せて聞いてみると、相手はどんどん話してくれるし、自分も楽しくなってきます。

興味のないテーマでも、「もし自分がやるとしたら、どうなんだろう」「そうなった人の心境はどうなのか」「そんな世界があるのか」と、想像を膨らませて面白がるスキルは、相手に話をさせながらも、その場を楽しくする主導権を握っているのです。

相手に“乗っかる”ことのできる人は、自然に話題も交友関係も広がっていきます。

気をつけないといけないのは、よく知らないのに合わせようと知ったかぶりをしたり、マウントをとって張り合おうとしたりすること。知らないことは、自然体で「教えて!」と学びの姿勢、自分も詳しいときは「じつは私も好きなんですよ」と共感や協力の姿勢になったほうが、肩の力を抜いて話ができるはずです。

会話とは、それ自体を楽しむことが目的で、お互いの信頼感を深める方法でもあります。会話が成り立たないと、関係を築くことはむずかしいもの。顔見知りにもなれないし、夫婦や恋人、仕事仲間であっても会話がなかったら楽しくないでしょう。

どんな人にも物語があり、面白いエピソードや貴重な情報が隠れています。その人自身に興味をもつことが、会話上手の基本かもしれません。