生産性が高い方が、企業もいいんじゃないの?

コロナ禍も落ち着きを見せ、完全リモートもなくなりつつあり、職場の文化や生産性のためにオフィス勤務に戻っている企業の方が多いかと思います。

企業は「オフィスに戻ったほうが生産性が高いから」という理由を掲げていると思いますが、実は生産性が高まるって嘘っぱちだってことが研究でわかってきました。

ピッツバーグ大学が、アメリカの大手企業137社を調査オフィスへの復帰命令が企業のパフォーマンスに特に改善をもたらさなかったことが明らかになりました。

従業員を支配するため

ピッツバーグ大学のカッツ経営大学院の研究チームは、S&P 500企業のサンプルを使用して、米国企業のオフィス復帰命令の決定要因と結果を調査しました。

研究の結果、企業がオフィス復帰命令を「従業員に対する支配を再確立し、従業員をスケープゴートとして責めるために使用している。

オフィス復帰命令後の利益性や、株式市場評価における企業のパフォーマンスに大きな変化は見られない」との結論を出しています。

男性CEOがオフィス復帰を求める傾向

この研究では、新型コロナウイルスのパンデミックによってリモートワークを導入、その後、公式にオフィス復帰計画を発表したS&P 500の全137社を分析しています。

研究チームはまた、オフィス復帰命令の背後にある動機についても調査し、男性CEOの企業やCEOの権力が大きい企業ほど、オフィス復帰ポリシーを強化する傾向があることがわかりました。

権力の強さは、CEOの総報酬を企業の最高報酬の平均で割ったもので定義されています。また、CEOの政治的な立場や持ち株の割合と、オフィス復帰命令との間に相関関係はありませんでした。

そしてリモートからオフィス復帰をした方なら共感できると思いますが、オフィス復帰命令のあと、従業員の満足度は急速に低下したそうです。

オフィスへの復帰方針に直面して、従業員の仕事と生活のバランス、シニアマネジメント、文化的価値観の評価はすべて著しい減少が見られています。

続々と出てくるオフィスと生産性の論文

このほかに2つのオフィス復帰に関する研究論文が1月に発表されていて、オフィスへの復帰命令が生産性向上にほとんど効果ナシという論争に火がついたとAxiosは報じています。

1つめはサンフランシスコ連邦準備銀行の調査。43の産業を調査し、リモートおよびハイブリッドワークへの移行が生産性にほとんど影響を与えないと結論づけています。

2つめはニューヨーク連邦準備銀行の経済学者チームによる調査。匿名のフォーチュン500社を詳細に調査しています。その調査によると、ほかの人たちと一緒に働くことでメンターシップを促進する可能性がありますが、生産性にはほとんど影響がないことがわかっています。

企業の経営者は従業員をオフィスに戻らせることに躍起になっていています。リモートワークを可能にしたZoomのCEOでさえも、従業員にオフィスに戻るよう求め、「Zoomでは信頼を築くのは難しい」と述べています。

今回発表された研究では、リモートワークが非常に生産的であり、オフィス復帰命令が生産性の低下を引き起こしている可能性があることを示しています。

オフィスへの復帰風潮はどんどん強くなってきています。Wall Street Journal紙によると、貨物運送会社ユナイテッド・パーセル・サービスは、従業員に週5日のオフィス復帰を義務付けています。同社はオフィス復帰命令と1万2000人を解雇することで、収益の立て直しを図っているようです。またIBMも、リモートを続けているマネージャーに、「オフィスの近くに引越しをするか、会社を辞めるか」という厳しい通達をしています。

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翻訳:岩田リョウコ/Source: AXIOS, Federal Reserve Bank of San Francisco, Liberty Street Economics, ZG NET, FORTUNE, Wall Street Journal, Bloomberg

ギズモード・ジャパンより転載(2024.2.5公開記事)