長年続いている考え方のひとつに、ウイルスに関してはWindows PCよりもMacのほうが安全だ、というものがあります。
しかし、実際にはどちらのデスクトップ・プラットフォームにも同じルールが当てはまるのです。
Macのウイルスに関する俗説と現実
「Macはウイルスに感染しない」という考え方は何十年も前から広まっていますが、それは部分的にしか正しくありません。
「macOSにはウイルスが存在しないという」というのは俗説(その一部はApple自身が広めたもの)ですが、「MacはWindowsよりも安全」という考え方には根拠があり、その理由はいくつかあります。
Windowsのほうが普及率が高い
まず、WindowsのほうがmacOSのコンピュータよりもはるかにたくさん使われてきました。
熱心なマルウェアのコーダーなら、可能な限り大きな標的を狙うことになります。
長年にわたり、Mac向けのウイルスを作成することはシンプルにリスクと報酬の点で労力に見合わなかったため、Windowsが猛攻撃の矢面に立たされてきました。
Appleのほうが自由度が少ない
次に、セキュリティに対する組み込み型のアプローチがあります。この点に関しては、MicrosoftがAppleにほぼ追いついたため今ではそうでもありませんが、歴史的に見れば、Macのほうが安全です。
これは、macOSが極めてセキュアなUnixをベースにしていることと、アップルが自社のソフトウェアを厳しく管理していることが一因です。
Windowsのほうが、動作するようコード化しなければならないデスクトップやラップトップが非常に多様であり、システム設定やプログラムのインストールなど、常にmacOSよりも大きなコントロールをユーザーに与えてきました。
こうしたことから、WindowsはmacOSよりもウイルスに対して脆弱だということになったのです(ちなみに、今日のiOSとAndroidの比較でも同じです)。
注意すべきMacのウイルス4選
Macを標的とすることに成功したウイルスやマルウェアなどの脅威は、上記に挙げた理由から、ほとんどありません。
macOSはウイルスにまったく感染しないわけではないにせよ、不正なコードに対して十分に保護されており、発見された問題は通常、Appleが迅速に対処しています。
マルウェア「Leap」
マルウェア「Leap」は、Macに感染する最初の注目すべき重要なウイルスとして知られており、iChat(まさに懐かしのアプリ)を介して拡散しました。
それ以前もそれ以降でも多くのウイルスがそうですが、ユーザーを騙してクリックさせるというもので、これは誰もが気をつけるべきです。
ワーム「Flashback」
記憶力のいい人は、2011年に発生したワーム「Flashback」も覚えているかもしれません。偽のAdobe Flash Playerインストーラーを経由してMacシステムに侵入し、Google検索をリダイレクトしてワームの開発者に広告収入をもたらしました。
阻止されるまでに50万台以上のMacが感染しました。
エクスプロイト「FREAK」
2015年にはエクスプロイト「FREAK」が発生し、Appleデバイスでも外部と接続する必要があるためウェブプロトコルのセキュリティ上の欠陥から影響を被る可能性がある、ということを思い知らされました。
FREAKのバグはそのような欠陥のひとつで、macOSに特有のものではありませんでしたが、macOSに脆弱性を残したため、Appleは対策用のパッチを配布することになりました。
「PACMAN」
さらに最近では、「PACMAN」として知られるハードウェアのエクスプロイトが発見されました。
これは、Apple製プロセッサを搭載したmacOSのマシンが危険にさらされる恐れのあるものでした。
しかし、これはまだ研究者によってテストされた概念実証の攻撃でしかありません。Appleとしては、ほかの脆弱性を伴わないPACMAN単体では、信憑性のある脅威にはならないと宣言しています。
Macを安全に保つために必要なこと
さて、「Macにウイルス対策アプリは必要か」という冒頭の疑問に戻りましょう。
上記のリストからわかる通り、セキュリティについてはmacOSには確固たる実績があるため、ほとんどの人にとっては内蔵の保護機能(Gatekeeperや XProtect)で十分に安全性を保つことができるはずです。
しかし、だからといってセキュリティに気を抜いてはいけません。Appleが提供する最新のセキュリティ上の修正が適用されるようmacOSを常に最新の状態に保つことが重要です。