仕事でストレスを感じた時や、自分の将来が不安になった時、どのように過ごしていますか。

もし、新しい衣服やガジェットなどを購入することで憂さ晴らしをしていたら「Doom spending(破滅的消費)」の入口に立っているかもしれません。

実はこの言葉、アメリカを中心に今話題になっているのです。この記事では、Doom spendingの概要とその対処法についてお伝えします。

Doom spending——「破滅的消費」とは?

Doom scrolling」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。

ソーシャルメディアやニュースサイトで、否定的または悲観的なニュースを延々とスクロールし続ける行為のことです。

▼Doom scrollingとは?

悪いニュースを遠ざけ、メンタルヘルスを健康に保つ方法 | ライフハッカー・ジャパン

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一方、似た言葉であるDoom spendingを直訳すると「破滅的な支出」となります。これは、いわゆる「衝動買い」ではありません。

自国の財政・経済に対する不安や、環境問題への懸念から将来に希望が持てず、ストレスを軽減するためにお金を使う人が増えているのです。

Bloombergでは、約37万円のビンテージのシャネルのバッグを購入した24歳の大学院生であるニア・ホランドさんの心情が、以下のように描かれていました。

住宅の所有や子どもとの生活といった伝統的な人生の節目には全く手が届かないため、「ちょっとしたぜいたく」を我慢したところで何かが変わるわけでもないだろう。

そして、どちらかといえば、24カラットのチェーンがついたラムスキンのトートバッグは、いい気分にさせてくれた

ホランドさんは「経済は最悪で、地球温暖化もあるし、世界的に政治的・社会的不安が絶えない」と話す。ホランドさんはミシガン大学で教育学と心理学の博士号取得を目指しており、家族から経済的支援を受けている。

すぐに充実感を得られることにお金を使う方が簡単だ」という。

(Bloombergより引用)

なお、パーソナルファイナンス会社のCredit Karmaによれば、アメリカのミレニアル世代の43%と、Z世代の35%がDoom spendingを行なっているとのことです。

なぜDoom spendingに走ってしまう?

Young(ish) Moneyの創設者であり、「Own It!」の著者であるIona Bain氏は英Vogueの記事において、Doom spendingが起きる背景を以下のように説明しています。

  • 私たちが何か購入すると、脳からドーパミンやエンドルフィンのような気分を良くするホルモンが放出される。
  • 買い物は自分を慰めるための簡単で労力のかからない方法である。
  • 新しく何かを購入することは、私たちの気分を高揚させ、問題が解決されると信じられてきた。

拍車をかけるのが、スマホやSNSの発達です。

クレジットカードを紐づけさえすれば、アプリをタップしたり、PCでワンクリックするだけで商品を購入することができますよね。

アメリカでは若い世代を中心に、Doom spendingによって支払いが滞り、クレジットスコアが損なわれている人々が増えてきていることが問題ともなっているようです。

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Doom spendingを抑えるにはどうしたらいい?
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