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虹彩認証仮想通貨「Worldcoin」が一時停止命令の差し止めに失敗


虹彩をスキャンすることで仮想通貨がもらえる、OpenAIのサム・アルトマン氏による仮想通貨プロジェクト「Worldcoin」に対し、スペインのデータ保護当局「Agencia Española de Protección de Datos」(AEPD)が個人データの収集とデータ処理の一時停止を命じた件で、Worldcoin側が求めていた「一時停止命令の差し止め」を高等裁判所が拒否しました。

Worldcoin fails to get injunction against Spain’s privacy suspension | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/03/11/worldcoin-fails-to-get-injunction-against-spains-privacy-suspension/

サム・アルトマン氏が共同創業者のテクノロジー企業・Tools for Humanityが2023年7月にサービスを開始したWorldcoinは、ウォレットアプリ「World App」をダウンロードし、生体認証装置「Orb」を利用して虹彩をスキャンすることでデジタル通貨「WLD」を受け取れるというものです。


Tools for Humanityは虹彩スキャンの意図について「ハッシュを生成し、ゼロ知識証明を用いて仮想通貨をユーザーに付与するため」と説明しています。

OpenAIのサム・アルトマンによる仮想通貨「Worldcoin」が正式サービス開始 - GIGAZINE


しかし、AEPDは2024年3月6日、「収集される生体認証データの機密性に懸念があり、個人の権利と自由に高いリスクをもたらす可能性がある」と主張。Tools for Humanityに対し、スペイン国内で実施している個人データの収集と処理を停止し、すでに収集されたデータに関してブロックするよう命令を下しました。

サム・アルトマンが立ち上げた虹彩認証仮想通貨「Worldcoin」に対してスペインが一時停止命令 - GIGAZINE


一方のTools for Humanityは「AEPDによる欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に基づくWorldcoinの一時停止命令は越権行為である」と主張し、スペインの高等裁判所に対し一時停止命令の差し止めを求めました。また、Tools for Humanityは「Worldcoinを一時停止することは、我が社にとって経済的な損失につながるだけでなく、評価の低下や高裁スキャン事業の将来的な成功の可能性を下げるなど、グローバルビジネスに取り返しのつかない損害をもたらします」と述べています。

しかし、高等裁判所は生体認証データにまつわるリスクと、未成年者を含むWorldcoinの処理によって危険にさらされている個人の数が非常に多いことを理由に、AEPDによるWorldcoinへの一時停止命令が正当化されると判断しました。つまり今回の高等裁判所の判断によって、Worldcoinのサービスがスペイン国内で最大3カ月間停止されることが決定したというわけです。


なお、高等裁判所は、AEPDによる一時停止命令は期限付きであることや、今後の裁判で勝訴した場合、AEPDに対して損害賠償を請求することができると強調しています。

Tools for Humanityの広報担当者であるレベッカ・ハーン氏は「WorldcoinはGDPRを含む、生体認証データの収集とデータ転送を管理する全ての法律および規制に完全に準拠しています。今回の差し止めの要求は失敗に終わりましたが、今後スペインの高等裁判所で我が社のコンプライアンスを説明し、Worldcoinの重要かつ合法的な技術に関する情報を規制当局に提供できる機会を待ち望んでいます」と述べています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス,   ハードウェア, Posted by log1r_ut

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