リニア妨害を続ける静岡県の川勝知事は、県庁の新年度人事で「南アルプス担当部長」というポストを新設した。ジャーナリストの小林一哉さんは「川勝知事のリニア妨害のイエスマンを登用した人事だ。新人事で静岡県の『反リニア』はますます強固なものになるだろう」という――。
静岡市葵区追手町にある静岡県庁
静岡市葵区追手町にある静岡県庁(画像=Akahito Yamabe/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

「南アルプス担当部長」を新設

静岡県の組織体制は、反リニアを貫く川勝平太知事を支えるべく、4月1日の新年度スタートとともに大幅な人事異動で刷新する。

今回の刷新人事で反リニア色はさらに強まり、JR東海へのリニア妨害は激しさを増すことになるのは間違いない。

何よりも大きな注目を集めるのが、新たに設置される「南アルプス担当部長」である。

南アルプス担当部長は、リニア問題で議題となっている南アルプスの水資源や生態系の保全を担当するとしている。

なぜ南アルプス担当部長が誕生したのか?

「大騒ぎ」が評価され部長ポストへ

昨年2月28日の記者会見で、川勝知事は「(静岡・山梨)県境付近の断層帯がつながっている。サイフォンの原理で静岡県の地下水が流出してしまう」として、「山梨県内の調査ボーリングを即刻、中止するよう求める」と息巻いた。

直後から、山梨県の長崎幸太郎知事はじめ多方面から批判の嵐が巻き起こったが、そんな批判などどこ吹く風で、川勝知事は現在でも「山梨県内の調査ボーリングをやめろ」を唱え続けている。

この「サイフォンの原理」の難癖をつけるきっかけが、県境付近の断層帯のつながりをJR東海の文書で発見したと大騒ぎした、県地質構造・水資源専門部会を担当する渡邉光喜・県くらし環境部参事(南アルプス担当)である。

この大騒ぎの功績などが高く評価されて、渡邉氏はめでたく新設の「南アルプス担当部長」のポストを手に入れたようだ。