サイエンス

科学者が実験装置内で「量子竜巻」を生成しブラックホールの重力状態の模倣に成功


ノッティンガム大学やキングス・カレッジ・ロンドン、ニューカッスル大学の研究チームが、超流動状態の極低温液体ヘリウムを用いた実験装置で「量子竜巻」を生み出し、回転するブラックホールの重力状態に似た状態を作り出すことに成功したと発表しました。

News - Quantum tornado provides gateway to understanding black holes - University of Nottingham
https://www.nottingham.ac.uk/news/quantum-tornado-provides-gateway-to-understanding-black-holes

Rotating curved spacetime signatures from a giant quantum vortex | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07176-8

'Quantum tornado' allows scientists to mimic a black hole on Earth | Space
https://www.space.com/quantum-tornado-black-hole-physics-simulation-absolute-zero

以下が、ノッティンガム大学のパトリック・スヴァンカラ博士らが構築した、マイナス271℃近い極低温の液体ヘリウムを入れた実験装置です。

©Leonardo Solidoro

研究チームは「重力と流体の類似性には粘度の消失が必要」だとして、液体の粘度がなくなって、容器の中から壁面を上がってあふれたり、通常であれば通り抜けることがあり得ない原子1つ分の隙間からでも液体が流れ出たりする「超流動」を利用しました。

東京大学 低温科学研究センター - 液体ヘリウムの超流動
https://www.crc.u-tokyo.ac.jp/other/super-fluid.html

スヴァンカラ博士によると、超流動状態の極低温液体ヘリウムの中には「量子渦」が含まれていて、互いに離れて広がる傾向があるとのこと。

今回の実験で、研究チームは何万もの量子を小さな量子竜巻の中に閉じ込め、量子流体として記録的な強さの渦を作ることに成功しました。


そして、この渦の流れと、ブラックホールが周囲の時空に及ぼす影響との間に、興味深い類似点が見つかったとのことです。

今回の成果は、曲線時空の複合領域における、有限温度量子場理論のシミュレーションで、新たな道を開くものだそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
物理学の法則を破る「時間結晶」を15分以上も観察し続けることに成功、量子コンピューターの研究にも弾み - GIGAZINE

固体なのに液体のように流れる不思議な状態「超固体」を「二次元化」することに成功 - GIGAZINE

宙に浮いたアルミが溶けてしまう不思議な現象、その原理を実験してみた - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.