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約6600万年前に恐竜を絶滅に追いやった「デカン・トラップの火山活動」とは?


2億年以上前から1億5000万年以上にわたって脊椎動物の頂点に立っていた恐竜は、約6600万年前にメキシコ・ユカタン州に落下した小惑星の衝撃によって絶滅したといわれています。しかし、小惑星の衝突以前にはすでに恐竜はほぼ絶滅寸前に追い込まれていたと、科学をアニメーションで解説するYouTubeチャンネル・Kurzgesagtが説明しています。

How The Dinosaurs Actually Died - YouTube


約6600万年前の白亜紀末期、地球は高温多湿で植生が豊かだったといわれています。


恐竜は大型化し、体長が10mを超す種も現れましたが、約6600万年前に突然地球上から絶滅してしまいました。この約6600万年前に小惑星が地球に激突したことがわかっており、これが恐竜絶滅の原因になったといわれています。


しかし、この小惑星の激突だけで地球上の恐竜が一斉に滅んだわけではなく、あくまでも小惑星は恐竜の繁栄にとどめを刺しただけではないかというのが近年の学説です。


約6600万年前、地球の大陸は現代とは異なる形で、特にインドはユーラシア大陸とくっついておらず、大きな島のような状態でした。インド半島の西部に広がるデカン高原はこの約6600万年前にかけて起きた大規模な火山活動で形成されたといわれており、この火山活動の痕跡は「デカントラップ」と呼ばれています。


当時島だったインド半島の火山活動は、恐竜絶滅からおよそ80万年前から始まったといわれています。デカントラップの火山は毎年約1000万トンの二酸化炭素や二酸化硫黄を50万年にわたって排出しつづけました。


火山活動が始まって50万年ほどして、デカントラップの火山はついに噴火を始めました。


この噴火はとてつもない規模で、インド南西部が完全に溶岩に覆われてしまうほどだったそうです。


溶岩の海に覆い尽くされたインドからは大量の二酸化炭素と二酸化硫黄が放出されました。この影響で、海水の平均水温が2℃も上がったことがわかっています。平均水温が2℃も上がると、もちろん生態系も大きな影響を受けます。


そして、温暖化効果のある二酸化炭素と、冷却化効果がある二酸化硫黄が増えたことで地球の気温が不安定になりました。


また、酸性雨が海に降り注ぎ、海の酸性度も上昇。これによって、海中に住むプランクトンが死滅してしまいます。プランクトンが死滅するとプランクトンを餌にしていた生物が死滅し、さらにその生物を餌にしていた生物が死滅し……というように食物連鎖が崩壊し、地球の生態系全体に大きな影響が現れます。


活動開始から75万年ほどして、デカントラップの火山はさらに規模が拡大。数千年にわたって数兆トンの溶岩と火山ガスを吐き出しました。


地震と津波が大陸を破壊し、轟音とともに地球内部から大量の熱が放出されます。


さらに、風速最大1000kmというとんでもない規模のハリケーンが発生。これは観測史上最大のハリケーンのさらに3倍以上の規模だとのこと。


このハリケーンの勢いはすさまじく、成層圏にあるオゾン層が破壊されるほど。オゾン層が破壊されたことで、地上には太陽からの紫外線が降り注ぎます。


デカントラップの火山からは水銀と塩化水素を含む有毒なガスが噴き出し続け、地球を覆い尽くします。この時点で地球上の生物の多くが死滅していたと考えられています。


そこにとどめを刺すように、地球を挟んでインドの裏にあるメキシコのユカタン半島に直径10kmの小惑星が激突したというわけです。


デカントラップの火山活動が沈静化した段階で、地球上の生物の75%が死滅していたと考えられています。


地球上では大規模な生物絶滅が5回あったといわれており、そのほとんどの原因が火山活動だったと考えられています。もちろん将来起こる大規模な火山活動によって人類が滅んでしまう可能性はゼロではありませんが、今は科学者が世界中の火山をモニタリングしており、人類を絶滅に追いやるような規模の火山活動は数百万年前から兆候をつかむことができるだろうとKurzgesagtは述べています。

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by log1i_yk

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