高利益と高給与を実現する組織は何をしているか。平均年収2000万円といわれるキーエンス出身のコンサルタントである田尻望さんは「キーエンスは、営業利益の一定割合を、一定期間ごとに全社員へ給与として分配する『全社業績連動型報酬』を導入している。これにより、社長や上司からの指示やノルマではなく、場合によっては経営者よりも社員のほうが、『組織全体が生み出す付加価値を最大化しよう』という強い気持ちを持ち、常に最大の付加価値を創出し続ける仕組みとなっている」という――。

※本稿は、田尻望『高賃金化』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

上司からボーナスを受け取る笑顔の従業員
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「最小の人と資本」で、「最大の付加価値」を生み出す

高利益化と高給与化を同時実現するために、キーエンスが最も大切にしている次の考え方を、念頭においておく必要があります。

「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」

ここでいう「付加価値」とは、「お客様の感動」であり、お客様の感動=「利益」すなわち「お金」です。

まず大前提として、もしあなたが「大事なのはお金(利益)じゃない」「お金を儲けること=悪である」と思っているとしたら(たとえ潜在的にでも)、その考え方から脱却し、「より多くの価値をつくり、お金(=利益と給与)を得ることは善である」という考え方に切り替えることが大切です。

ここで、「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」とはどういうことか、具体的な数字で考えてみましょう。

資本(原価)と売上の差分から、粗利益が生まれます。このとき、最小の資本と人で最大の付加価値を生み出すと、利益が最大化します。「付加価値=利益」なのです。

たとえば、売上が「5億円」で「1億円」の利益を出している会社と、売上が「3億円」で、同じく「1億円」の利益を出している会社、どちらがいい会社でしょうか?

売上だけを見ると前者のほうがいいと思うかもしれませんが、「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」という考え方のもとでは、後者のほうがいい会社になるのです。後者のほうが、「同じ利益(付加価値)を生み出すためにかかった資本(工場・設備・材料など)と人(人の命の時間)が少ない」からです。

これは銀行からはあまり良い評価を受けなかったようですが、最近ではこの考え方を理解してくれる銀行も増えているようです。

この「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」という考え方を最も重要な経営理念にするとすれば、「仕入れ値」はとても厳しく管理する必要があります。

たとえば、原材料や部品などを仕入れる際には「必ず相見積もりをとる」ということや、特定の1社のみから仕入れるということをしないということです。

常に複数社から同じものを仕入れられる体制にし、「この原材料・部品を100万円で仕入れるのか、90万円で仕入れるのか」などと、慎重に吟味・検討して冷静に判断するのです。もちろんこれは、仕入れが滞り、商品を製造できず、お客様への価値提供が止まらないようにするという面でも重要です。