20代のころから老後の心配をする人は多い。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは「まずは自分が公的年金をどれくらいもらえるかを知ってほしい。iDeCoは公的年金では足りない部分を補う強い味方となることは間違いない」という――。

※本稿は、井戸美枝『好きなことを我慢しないで100万円貯める方法』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

「国民年金」と書かれた木製ブロック
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
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老後資金のモヤモヤした不安

「老後資金2000万円問題」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。20代にとって「老後」はあまりにも遠い将来ですが、それでも、漠然と不安を抱いている人は多いようです。「私たちの世代は年金なんかもらえない」という声もよく聞きます。老後費用が不安、でも年金はもらえない……よくわからないから、このことは後回しにしようと思ってしまうのも無理はないかもしれません。

しかし、このモヤモヤした不安の正体は、自分のお金のことをきちんと把握していないからです。実は、20代であっても、この先こんな風に人生を歩んだとしたら、年金額はいくら受け取れる、といった計算はできるのです。40年先のことではあるかもしれませんが、年金と老後のお金について、少し掘り下げて考えてみましょう。

老後資金のベースにあるのは公的年金制度

公的年金では、20歳から60歳に達するまでの40年間、国民全員が加入することになっています。公的年金は働き方によって3つの種類に分かれており、フリーランスや自営業者の場合は第1号被保険者といって国民年金のみに加入。会社員の場合は第2号被保険者といって厚生年金に加入し、同時に国民年金にも加入している仕組みになっています。そのほか、パートナーの扶養に入っている専業主婦(夫)・パートは第3号被保険者といって、第1号被保険者と同じく国民年金のみに加入する形となります。

将来、年金なんかもらえないんだから、年金保険料を払うのはバカバカしい! という声もありますが、公的年金制度がなくなることは考えられません。また、いくら老後資金をなるべくたくさん蓄えようと思っても、自分が何歳まで生きるのか誰にもわかりません。その点、年金は受け取り始めたら、亡くなるまで終身で受け取ることができます。100歳まで生きたら、100歳まで受け取れるのです。こんな金融商品は世の中に存在しません。公的年金を老後資金のベースとして考え、会社員なら会社の年金制度や退職金制度、さらには自分で蓄えていく「私的年金」が老後を支えるお金になることを理解しましょう。