いったいいつの間に復活したのか?

3月5日、アメリカはスーパーチューズデーを迎えた。全米の州のうち15州で同じ日に大統領選予備選が行われ、共和党はトランプ元大統領が圧勝した。

しかも、11月の本選に関する世論調査では、支持率は民主党の現職バイデン氏とほぼ拮抗しているか、リードしているものさえある。

4つの刑事事件の被告という前代未聞のネガティブな要素があるにもかかわらず、大統領候補に返り咲いたトランプ氏。この強さには当のアメリカ人も驚愕きょうがくしている。

いったいいつの間に? どうやって? なぜトランプは復活したのか?

その経緯と、彼を支える新たな支持層を探っていくと、外からはなかなか窺い知ることができないアメリカの激変が見えてくる。

米西部ネバダ州ラスベガスで行われた集会で演説するトランプ前大統領
写真=EPA/時事通信フォト
米西部ネバダ州ラスベガスで行われた集会で演説するトランプ前大統領(2024年1月27日、アメリカ・ラスベガス)

Z世代がバイデン氏から離れ始めた

トランプ氏台頭の最大の要因のひとつ、それはバイデン大統領への幻滅だ。スーパーチューズデーではそれが明確になった。7つの州で一定数の民主党支持者が、「支持者なし」に投票したのだ。

そもそもバイデン氏が2020年に立候補したのは、トランプ再選を阻むには元副大統領という知名度と、白人男性というアイデンティティが最も有効であろうという計算からだ。その結果、僅差ではあったが民主党は政権を奪還できた。

しかし今年は4年前とはまったく状況が違う。バイデン氏を当選させた民主党支持者たち、特に若者の気持ちが離れているからだ。

昨年11月末に出たNBCニュースの全米世論調査は衝撃だった。18歳から34歳の若い有権者の間で、トランプ前大統領の支持率が46%に対し、バイデン大統領は42%。僅差とはいえ、なぜ若者の支持はバイデン氏からトランプ氏に移行したのか?

彼が高齢すぎるという理由だけではない。筆者が主宰する「NY Future Lab」のZ世代に聞けばその理由がわかってくる。

「パレスチナ危機が大きい。バイデン政権がイスラエルを強く支援しているから、若者がバイデンに対する嫌悪感を募らせている」

もともとアメリカは親イスラエルだ。しかし今回はハマスのテロがきっかけとはいえ、パレスチナ人に多くの犠牲を出したことに対し「バイデンはパレスチナ人の大量虐殺を許している」と、新世代の間で怒りが沸き起こった。