自分と友だちの友人関係を「太陽系の惑星」で可視化する機能が10代の若者の心を傷付けているという指摘

スマートフォン向けの写真共有SNSアプリ「Snapchat」の有料プランには、フレンドとの関係を太陽系に例える機能「Friend Solar System」が搭載されています。このFriend Solar Systemが10代の若者の心を傷つけているという記事を、The Wall Street Journalが公開しています。

Snapchat’s Friend-Ranking Feature Adds to Teen Anxiety - WSJ
https://www.wsj.com/tech/personal-tech/new-snapchat-feature-teen-insecurity-754ebae0

Friend Solar Systemは、月額4ドル(約600円)のサブスクリプションサービスであるSnapchat+で利用可能な機能の1つです。Friend Solar Systemは、フレンドとのコミュニケーションの頻度に応じてユーザーとフレンドとの関係をランク付けし、太陽系の惑星に例えて表示します。

たとえば以下の画面のように、フレンドのプロフィールを開いて地球が表示された場合、そのフレンドは「ユーザーにとって3番目に仲がいいフレンド」であることを示します。このランキングはユーザーにだけ見えるもので、他のユーザーには見ることができません。また、そのフレンドともっと仲良くしたいと思った場合は、友人をピン留めすることも可能だとのこと。

Snapchatの広報担当者は「Friend Solar SystemはSnapchat+に搭載されている30種類以上の機能のひとつです。ほとんどはユーザーがアプリをカスタマイズするためのもので、すべて簡単にオフにすることができます」と述べています。広報担当者がいうように、Friend Solar Systemはオフにすることも可能ですが、デフォルトでオンになっています。

The Wall Street Journalによれば、このFriend Solar Systemが若いユーザーの人間関係に悪影響を及ぼしているケースがあるとのこと。ある10代の女性ユーザーは、自分のボーイフレンドが一番ランクの低い海王星だと評価された上、別の男友達が最もランクの高い水星に評価されていたことを知り、浮気を疑われてケンカになったそうです。

ロンドンに住む17歳のマクシミリアン・ミロビドフ氏は「自分たちが親友であるということを、プラットフォームから証明される必要が本当にあるのでしょうか？」と述べています。

近年、SNSが若者のメンタルヘルスに悪影響を与えているのではないかという懸念が社会問題として取り上げられています。アメリカでは、41の州とコロンビア特別区の司法長官が、InstagramやFacebookが若者のメンタルヘルスに有害であると主張して提訴に踏み切っています。

「InstagramやFacebookは子どものメンタルヘルスに害を与える」として42人の司法長官がMetaを訴える - GIGAZINE

また、FacebookやInstagramを運営するMetaのマーク・ザッカーバーグCEOは、2024年1月に開催されたアメリカ上院司法委員会の公聴会の中で、SNSの影響で自殺に追い込まれた子どもたちやその家族に対して謝罪しました。

X(旧Twitter)・TikTok・Snap・Discord・MetaのCEOがSNSでの子どもの安全性についての公聴会に召喚される、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOがSNSによって危害を加えられた子どもやその家族に対して謝罪 - GIGAZINE

なお、幸福とソーシャルメディアの世界的な展開には関連性が示されていないという研究結果が存在しており、さらに青年期における脳の発達がデジタル技術の使用によって劇的な変化を受けるエビデンスも示されていません。学術誌のNatureは、「ソーシャルメディアの使用がメンタルヘルスに悪影響を及ぼすのではなく、すでにメンタルヘルス上の問題を抱えている若者がソーシャルメディアをより頻繁に、あるいは健康な若者とは異なる方法で使用しているという可能性が示唆されています」としており、むやみにソーシャルメディアに責任を求めようとする姿勢に疑問を示しています。