自分ものさし仕事術 ブレずにストレス0で成果を2倍にする方法』(吉野 創 著、ぱる出版)の著者は本書の冒頭で、次のように述べています。

社会人になると、1日の大半が働いている時間です。

つまり、人生の大半の時間を、仕事に費やしていることになります。

そんな膨大な時間をつまらないものにするか、楽しく充実したものにするかは、あなたが「自分らしく働けるかどうか」にかかっています。

つまり、職場でどれだけ「自然体でいるか」ということが大切になってきます。(「はじめに」より)

たしかにそのとおりかもしれません。しかし、そもそも「自分らしくある」「自然体でいる」とはどういうことでしょうか? 字面ではわかっていても、そのことについて日常的に考える機会は意外と少ないかもしれません。

そこで参考にしたいのが、本書で紹介されている「自分理念」=「自分のものさし」という発想。会社の「企業理念」や「経営理念」と同じように、それは「『自分らしさ』をことばにしたもの」なのだそうです。

「自分理念」を持つということは、あなたという人間がどう生きるのか、ということに関わりますから、仕事だけの話ではなく、人生全体が充実して幸せなものになるかどうか、ということにもつながっていきます。(「はじめに」より)

こうした考え方を軸として、本書では「自分らしさ」を見つめて「自分理念」を導き出し、それを仕事や人生に活かすことを勧めているのです。なるほどそうすれば、自分の価値観に沿った生き方を実現できそうです。

そこできょうは、本書の第4章「『自分理念』のつくり方」に焦点を当ててみたいと思います。

「自分理念」をつくる3つの発想法

「自分理念」が大切だといってもそれは一朝一夕につくれるものではなく、一度つくったらそれで終わりというものでもないと著者はいいます。

行動に落とし込み、日々メンテナンスをしながらブラッシュアップしていくものだということ。そのため、「自分理念」づくりには完璧を求めず、じっくり取り組んでみるべきであるようです。

「自分理念」の発想法もさまざまでしょうが、ここでは著者自身が実践したり考えてきたりしたことのなかから「3つの発想法」が紹介されています。

1. 来し方(過去)からの発想

2. 志からの発想

3. 行く末(未来・ビジョン)からの発想

(133ページより)

1「過去」→2「志」→3「未来」の順にひととおり取り組んでみるのがベストだそうですが、とはいえどれからアプローチしてもよく、1つだけ取り組んでみてもいいのだとか。

いずれにしても文字にして客観的に見てみれば、自分のなかに新たな発見があり、より本質的な「自分理念」につながっていくということ。

そして、つくったものを客観的に見て、「なるほど、自分はこういうことを大事にしているのか」と自分の価値観を改めて確認する。そうすることで、より意識的な行動を選択できるようになるというわけです。(132ページより)

3つの発想法、その概要

では、それぞれの発想法を確認してみましょう。

1の「来し方(過去)からの発想」というのは、あなたがこれまでに育ってきた人生、生きてきた人生を振り返りながら考えていく方法です。

これは、言ってみれば、あなたを形づくっている土台や土壌のようなものです。(134ページより)

2の「志からの発想」は、土台の上に建つ建物のようなものと考えるとわかりやすいでしょう。あるいは、土壌の上に育つ木や、木が集まってできる森のようなものとも言えます。(134ページより)

これまで積み重ねてきた土台や土壌の上に、「どんな建物を建てたいか」「どんな木を育て、どんな森をつくりたいか」ということから発想してみるわけです。

「自分が社会から求められていることはなんなのか?」について考え、いまの仕事を通じてその課題を解決するために適した土台があるなら、そこに良質な建物を建てることができるということ。また、よい土壌があれば、よい木を育てることができるため、どちらも社会に貢献できることになるのです。

3の「行く末(未来・ビジョン)からの発想」方法は、目的地のようなものと考えるとよいでしょう。

良い土台の上に良い建物が建ち、良い木や森が育てば、そこにどんな社会が実現されるでしょうか? どんな世界になっていくでしょうか? その時、あなたはどんな理想の自分になっているでしょうか?

ワクワクするようなイメージができれば、人はその目的地に向かって進んでいけるのだと思います。(135ページより)

なお「自分理念」は、「こうでなければならない」という決まりがあるわけではないそうです。自分自身がもっとも自然体でいられて、「こんな自分でありたい」という“自分の内面から湧き上がってくる想い”が感じられるものであればよいということです。

言葉にしたら、ぜひ紙に書き出して貼り、日々眺めてみてください。それによって、自分自身が本当に大切にしているものをイメージしやすくなります。(136ページより)

大切なのは、そうやって少しずつでも、思考と行動を「自分の本当に生きたい人生」の方向へと自分で変化させていくこと。それこそが、「自分理念」をつくる意義だというわけです。(134ページより)


「自分らしさ」と「自分理念」をしっかりと持っていれば、著者のいうように仕事も人生もよりよいものにできるはず。だからこそ本書を参考にしながら、ぜひとも自分自身、そして人生の質をさらに高めていきたいものです。

>>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験!

「毎日書評」をもっと読む「毎日書評」をVoicyで聞く

Source: ぱる出版