ソフトウェア

ドイツ政府が3万台のPCでLinuxに乗り換えてMicrosoft OfficeからオープンソースのLibreOfficeに移行する


ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州のデジタル担当大臣であるディルク・シュレーダー氏が、州政府のシステムをオープンソースのソフトウェアへと切り替えることを発表しました。これにより、約3万人の職員が使うOSがWindowsからLinuxへと変わり、Microsoft OfficeがLibreOfficeへと切り替えられる予定です。

schleswig-holstein.de - Der Ministerpräsident - Staatskanzlei und Bundesangelegenheiten - Einstieg in den Umstieg: Schleswig-Holstein setzt auf einen digital souveränen IT-Arbeitsplatz in der Landesverwaltung
https://www.schleswig-holstein.de/DE/landesregierung/ministerien-behoerden/I/Presse/PI/2024/CdS/240403_cds_it-arbeitsplatz.html


German state moving 30,000 PCs to LibreOffice - The Document Foundation Blog
https://blog.documentfoundation.org/blog/2024/04/04/german-state-moving-30000-pcs-to-libreoffice/

シュレーダー大臣は「私たち政府は、プロプライエタリ(独占的)なソリューションの運用プロセスやデータを管理しきれません。国として、私たちは国民のデータが安全に保たれていることを保証する大きな責任を負っています。私たちが使用するソリューションを常にコントロールし、国家として独立して行動できるようにしなければならないのです。デジタル主権を確保することは、少なくともエネルギー主権を確保するのと同じくらい重要です」と指摘。シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州をデジタル分野におけるパイオニアと位置づけることを目指し、一企業にとらわれず、政府主導でシステムを管理できる体制に作り替えていくことを明らかにしました。

これに伴い、シュレーダー大臣は以下の6つの施策を推し進めていくことを発表しています。
・Microsoft OfficeからLibreOfficeへの切り替え
・Microsoft WindowsからLinuxへのOSの切り替え
Microsoft SharepointMicrosoft ExchangeおよびMicrosoft Outlookを、それぞれNextcloudOpen XchangeThunderbirdへ切り替え
Microsoft Active Directoryに代わるオープンソースベースのディレクトリサービスの構想
・LibreOfficeとLinuxとの互換性と相互運用性に関する手順書の作成
Telekomに代わるオープンソースベースの通信ソリューションの開発

LibreOfficeへの切り替えは早期に行われる予定で、その使用は必須とされています。さらに研修プログラムの実施も予定されているほか、導入に際して国の中央IT管理チームによるサポートも提供される予定です。


シュレーダー大臣は「デジタル主権は州政府のデジタル戦略に不可欠であり、私たちの目標は標準的な企業製品では達成できません。Officeソフトウェアの切り替えを皮切りに、OSやディレクトリサービス、通信ソリューションにおけるフリーソフトウェアへの切り替えを予定しています」と述べました。

(PDFファイル)デジタル主権」はプライバシー保護に明るいドイツ国内で積極的に進められている施策であり、この施策に基づき、ドイツ連邦内務・建設・コミュニティ省の委託で開発されたコンポーネント「openDesk」や、政府主導の下で開発された国が主権を握れる包括管理システム「Phoenix」などが登場しています。Phoenixにはデータ管理サービスのUnivention Corporate ServerやメッセージングサービスのElement、オンライン会議サービスのJitsiなど、いずれもオープンソースのソフトウェアが組み込まれています。

なお、バイエルン州のミュンヘン市議会は先行して2004年にオープンソースソリューションへの切り替えを行っており、2013年にWindowsからLinuxへ完全に移行することに成功しましたが、職員へのトレーニング不足からか、一部の職員から不満の声が上がり、2017年にWindowsへ戻ってしまったとのことです。この背景には、Microsoftによるマーケティング戦略があったことも指摘されています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1p_kr

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