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学生のレポートの11%にAI使用疑惑があることが判明、3%はAIが書いた文章が8割以上を占める


論文の盗用を検出するツールを開発するTurnitinは、ChatGPTなどの生成AIを使用した文章を検出するAIライティング検知機能を2023年4月から提供しています。このAIライティング検知機能のリリースから1年が経過したことを受け、これまでにレビューした2億件超の学生が提出したレポートの調査結果について、Turnitinが報告しています。

ターンイットインのAIライティング検知機能が、提供開始から1周年を迎え、全世界で数百万本の課題レポートをレビュー
https://www.turnitin.com/press/press-detail_17795

With over 200 million papers reviewed since the launch of Turnitin's #AIWriting detection feature in April 2023, Turnitin's data on the presence of AI writing in student work indicates continued use of AI in writing submissions. https://t.co/zBqeCcxrt5 #educationtechnology pic.twitter.com/fbFTYp1xLG

— Turnitin (@Turnitin)


ChatGPT essay cheats are a menace to us all
https://www.ft.com/content/cde75f58-20b9-460c-89fb-e64fe06e24b9

Turnitinによると、2023年4月のAIライティング検知機能のリリース以来、学生が提出した2億件超のレポートが調査されたとのこと。


調査の結果、全体の約11%に相当する約2200万件のレポートでは、少なくとも文章の20%がAIによって生成された可能性があると判定されました。また、文章の80%以上がAIによって生成された可能性があるレポートの総数は、全体の約3%に相当する600万件に達したと報告されています。


今回の結果は衝撃的かもしれませんが、実はTurnitinが2023年6月時点で行った報告でも、生成AIを使用したレポートの割合自体はほとんど同じでした。つまり、生成AIを使用したレポート執筆は一貫して存在しているものの、近年の生成AIの性能向上によってその割合が大きく上昇したというわけではないことになります。

また、調査会社のTyton Partnersが行った(PDFファイル)調査では、聞き取り調査を行った学生の半数近くが月1回以上の頻度でChatGPTなどの生成AIを使用しており、教育機関に禁止されてもAIの使用を続けると回答した学生は75%に達したとのこと。

Turnitinの最高製品責任者であるアニー・チェチテッリ氏は、「私たちは今、テクノロジーが学習を変革しつつある教育の重要な岐路に立っており、アカデミック・インテグリティ、つまり研究の公正さの必要性はかつてないほど高まっています。教育の携わるすべての人々が、最高のパフォーマンスを発揮できるリソースを探しています。AIライティング検知機能などのテクノロジーは、アカデミック・インテグリティを犠牲にすることなく学習を前進させる役に立ちます」と述べました。


経済紙のフィナンシャル・タイムズで記者を務めるピリタ・クラーク氏は、ある学会で出会ったイギリスの学者が、AIツールを使ってレポートを書いている学生は世間で言われている以上に多いと話したことを報告しています。その学者が所属している教育機関ではAIによる不正行為が横行し、学業上の不正行為によって多くの学生が講義の受講資格を失ったり、退学させられたりしているとのこと。「他の大学もうちと似たようなものだと聞いています」と、その学者は述べたそうです。

大学の教官がレポートの不正を疑う理由のひとつに、「講義で言及していない用語やデータソースがレポートに含まれている」というものがあります。AIを使ってレポートを書いた学生は、これらの用語やデータソースを見つけた理由などを尋ねても答えられないため、AIを使ってレポートを書いたことを簡単に見抜くことができます。しかし、大学は学生が支払う学費によって運営費の多くをまかなっているため、不正を行った人物が特に高い学費を支払っている留学生だった場合、対応には困難が伴うとのこと。


一部の学生がAIを使ってレポートを書くことの問題は、真面目にレポートを書いた学生にとって不公平だという点だけにとどまりません。もし、大学で専攻した学問の評価で「専門家」として医療サービスや軍隊などに採用された卒業生が、実はAIに頼って課題をこなしていただけで専門的な知識が不足している場合、組織や顧客に対して大きなデメリットをもたらすリスクがあります。

クラーク氏は、AIが学問の調査やブレインストーミングに役立つこともあると認めつつも、かなりの数の学生が雇用主や社会にとって潜在的に危険な方法でAIを使用していることへの危惧を表明し、「私が話をした学者が言うように、大学に行く目的は『学ぶ方法』を学ぶことです。これらの教育機関はただ事実や数字を暗記するのではなく、自分の頭で考えて証拠を評価することを教えます。機械に思考をアウトソーシングする人は、最終的に自分自身を傷つけることになってしまいます」と述べました。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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