私たちが着る服は、人生という私たちの冒険における「消極的な仲間」のようなもの。ですが、生活のあらゆる側面にテクノロジーが組み込まれていく現在、服の役割も変わってきているようです。

もはや時間の問題でしたが、ついに「スマートウェア」が現実のものになりつつあります。たとえば、糖尿病患者をモニタリングできるソックスや、心拍数を追跡できるシャツといったものです。

この技術は今のところ、健康用のウェアラブルとして実装されるケースがほとんどですが、業界は(そして政府も)、スマートウェアが持つポテンシャルの高さを認識しはじめているようです。

フィットネス業界ではすでにスマート化は進んでいる

フィットネス用ウェアラブルに関しては、ひとつの完全な産業が構築されています。

たとえば、リングやウォッチなどですが、こうしたデバイスが重きを置くのはたいてい、データポイントのモニタリング。つまり、心拍数や体温、あるいは睡眠の質といった、メーカー各社が測定できると謳うデータです。

一方のスマートウェアは、体をもっと広くカバーできます。従って、収集可能なデータ量もずっと多くなりますし、バイブレーションなどの動きをさらに広範囲に適用することも可能です。

ソックスにヨガパンツまでスマート化

たとえば、スマートヨガパンツ「Nadi Xは、生地に加速度計と触覚モーターが織り込まれています。左膝の後ろにはドックがあり、エクササイズを開始するときに、そこにマイクロ・コントローラーを取り付けられるようになっています。

このコントローラーは、Bluetooth経由でスマホとやりとりし、5つの異なるデータポイントについてレポートを送信して、ユーザーの姿勢を分析。そして、パンツのあちこちに取り付けられた触覚モーターから、ソフトな振動を送り、ユーザーを導きます。そうやって、ユーザーに正しいヨガのポーズを教えるわけです。

スマートソックス「Sensoriaは、足の親指の付け根からかかとに沿って圧力センサーが埋め込まれており、そのデータをヒートマップにして専用アプリに送ります。そうして、歩行中・走行中に、ユーザーの足がどのように地面に接触しているかを分析するのです。

この専用アプリはまた、メトロノームUIでユーザーの歩調をレポートし、音声によるフィードバックをリアルタイムでユーザーに伝えます。そうやって、ユーザーを目標ペースへと導き、足の着地方法をアドバイスしてくれます。

Under Armorは、筋肉の回復を助けるスマートウェアシリーズを販売しています。裏地に用いられているバイオセラミック・ライニングが、体の熱を遠赤外線エネルギーへと変え、筋肉の回復を促すそうです。

Hyvleも、Under Armorと似たコンセプトのスマートレギンスを発売しています。CES 2024でデビューした同社の「WE-STIM」は、生地に導電性のナノ・スレッドが使われており、これが体のエネルギーを微小電気刺激へと変える効果を発揮するそうです。

必ずしも画期的な製品というわけでもない

たしかに、こうしたテクノロジーそのものは驚嘆に値します。とはいえ、これらの製品が健康やフィットネスにもたらす実際の効果には議論の余地があります。

たとえば、米LifehackerのシニアヘルスエディターBeth Skwareckiは、こうしたスマートウェアのメリットが宣伝されているが、電気を使わないコンプレッションパンツで確認されているメリットと似たようなものだと指摘しています。

メーカー各社が発表している研究結果も、両者に違いがあると断言できるほど厳密なものではないようです。

とはいえ、こうした早期参入組が、未来の製品のポテンシャルを示していることはたしか。医療やフィットネスに関するアドバイスをこれらの製品のみに求めるべきではありませんが、専門家のアドバイスを受けたうえであれば、使えるツールになりえるでしょう。

スマートウェアによって実現し得ること

アクセシビリティーは、スマートテクノロジーが持つ可能性のひとつです。ユーザーが独力では苦労するようなことを手伝ってくれるわけです。

スマートソックス「Sirenは、小型の温度センサーを使って情報を収集し、それを医療プロバイダーへ継続的に送ります。

目的は、糖尿病患者の体の状態をモニタリングすることです。体温の変化は炎症の兆候であり、足の潰瘍は、糖尿病患者によく見られる症状の1つだからです。

スマートウェアのサブカテゴリとして、「イネイブリング・テック(実現技術)ウェア」があります。これは、アダプタブルウェアという考えをさらに広げて、障害を抱えて生きる人たちをテクノロジーで支援するもの。

実例はまだ存在していないようですが、前述のヨガパンツと同じ技術を用いれば、振動という形で感覚をサポートできるかもしれません。同様に、GPSトラッキングを内蔵したスマートウェアは、記憶に問題を抱えた脆弱な人々のための安全機能となりえますが、まだ実用化はされていません。

アメリカはスマート制服の開発に着手

アメリカ国家情報長官は2023年、セキュリティーを目的としたスマートウェアの統合を研究するためのプログラムを発表しました。その名称は「SMART ePANTS」。

「smart electrically powered and networked textile systems(スマート電動ネットワーク繊維システム)」の頭文字をとったものですが、思わずうれしくなってしまうような名前です。政府にも、ユーモアのセンスはちゃんとあるんですね。

それはさておき、このプログラムの目的は、「標準的な繊維の伸縮性と柔軟性、洗浄性、快適さをあわせ持つ、音声と映像、地理位置情報のための統合型センサーを組み込んだ制服を開発する」ことです。

たとえば、救急隊員などの緊急対応者が、被害者のバイタルサイン(生命兆候)や苦痛の表れの有無をチェックできる、専用の制服を想像してみましょう。

あるいは、熱を与えたり冷却したりできる制服や、化学物質を検出できる制服、さらには、伝染病の有無をチェックできる病院スタッフ用の制服も考えられます。こうしたものが、いつか実現するかもしれません。

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Source: Wearable X, Sensoria, Under Armor, Hyvle, Siren, Simply Home, IARPA, nano werk