大手飲食チェーンの新メニューはSNS上で大きな話題となる。先日、マクドナルドは全米の全ての店舗で2026年末までに、クリスピー・クリーム・ドーナツを扱う予定と発表した。チェーンストア研究家・ライターの谷頭和希さんは「マックは商業空間における“プラットフォーマー”として、他社商品とのコラボレーションにより需要拡大を狙っている。日本店舗でも実施する可能性もある」という――。
【左】ビッグマック、【右】クリスピー・クリーム・ドーナツ
【左】ビッグマック(写真=AYArktos/Matilda/CC-BY-SA-2.5/Wikimedia Commons)【右】クリスピー・クリーム・ドーナツ(写真=GoToVan/CC-BY-2.0/Wikimedia Commons

マクドナルド+クリスピー・クリーム・ドーナツの強力タッグ実現

米国マクドナルドの全店舗で、ドーナツチェーンの「クリスピー・クリーム・ドーナツ」(以下、クリスピー・ドーナツ)の商品が販売されることになったという。

マクドナルドは、2022年からケンタッキー州とインディアナ州の160以上の店舗でクリスピー・ドーナツのテスト販売を行っていた。その実験が一定程度の成功を収めたことから、今回の決定に踏み切ったという。2026年末までに、全米の全ての店舗でクリスピー・ドーナツを扱う予定だ。

この発表によって、クリスピー・ドーナツの株価は39%上昇し、上場来最大の上げになった。米国マクドナルドCEOのリク・ハッサンは「このパートナーシップは、我々の長い歴史における次のステップであり、モーニングカテゴリーおよび1日を通して新たなビジネスチャンスを切り開くチャンスとなります」とコメントしている(https://hypebeast.com/jp/2024/3/mcdonalds-sell-krispy-kreme-doughnuts-nationwide-end-of-2026-news)。

モーニング需要の拡大を狙っていたマクドナルド側にとっても、これまで同社が提供していないコンテンツを効率よく取り込むことができるわけだ。この点で、今回のコラボレーションは、まさに両社にとってwin-winの関係だといえそうだ。

日本マクドナルドに、今後クリスピー・ドーナツを販売するかどうか聞いたところ、「日本マクドナルドにおいては、販売予定はございません」とのこと。現状は販売計画はないようだが、クリスピー・ドーナツの人気は根強く、日本でのコラボ実現の可能性は十分ある。そうなれば話題となることは間違いないだろう。筆者はこのニュースを見て、次のように感じた。

「マクドナルドは巨大なプラットフォーム企業、つまりプラットフォーマーになるのではないか?」と。

今回は、このニュースから、「商業空間におけるプラットフォーマー」について見ていきたいと思う。

マクドナルドは「プラットフォーマー」になる

プラットフォームとは、商品や情報を提供する「場所」のことだ。基本的にはIT業界の用語だが、ここでは簡単に「場所」のことだとしておきたい。つまり、ある商品(これを、コンテンツと言い換えよう)を扱う「場所」のことだ。

例えば、Netflixは巨大なプラットフォームである。そこには、さまざまな制作会社が作った映像コンテンツという「商品」が並べられている。その商品が並べられる場所としてNetflixは機能しているわけだ。

近年、こうしたプラットフォームを運営する、いわゆる「プラットフォーマー」の力が増していることは言わずもがなである。いわゆる「GAFA」は、それぞれが巨大なプラットフォーマーとして、さまざまなコンテンツを作っている企業を買収しながら、そのプラットフォームにさまざまな機能を実装し続けている。

「GAFA」以外にも、例えば「ディズニー」はもともと、圧倒的なコンテンツ制作力を有していたが、「Disney+」の開設によって、ディズニー以外のさまざまなコンテンツを取り込むことにより、プラットフォーマーとしての力も発揮し始めている。代表的なところでいえば、2009年にマーベルを買収し、マーベル関連のさまざまなコンテンツは、すべてディズニー社が所有するところとなったのである。