残クレのやばさ:仕組みに隠されたデメリットとは?



藤原
車購入の支払い選択肢として「残クレ」という一見便利なローンがあります。
梨紗
結論から言うと、残クレを1000%否定します。絶対に使ってはいけません。
藤原
では、なぜか? その理由を具体的にしっかりとご説明します。

 

残クレとは何か?:基本的な仕組みと一見の魅力

「残クレ」とは、正式には「残価設定ローン」と呼ばれ、特に自動車購入時に利用されるローンの一種です。

このローンの最大の特徴は、

契約時に車の将来の残価(下取り価格)を設定し、その金額を差し引いて返済金額設定をするローンのことです。

なので、あなたは残価を除いた金額に対して分割払いをすることとなり、一般的な車購入のローンより、月々の返済額は小さくなります。

そして、ローン期間終了時には、、、

  • 車をディーラーに返却する
  • 残価を支払って車を購入する
  • 車返却後、新たな残クレを組んで新しい車に乗り換える

という3つから選択をする必要があります。

残クレの3つのメリット

私の立場としてはメリットなしですが、一応、一般的に言われているメリットを説明しておきます。

なので、以下に述べる内容は私の考えと理解ではありません。

魅力としての「低月額」

残クレの最も魅力的な点は、月々の支払額を抑えられることです。

通常の自動車ローンと比較して月々の返済が少なくて済むため、多くの消費者にとって手が届きやすいのです。

選択肢の自由度

終了時に車を返却し、新たな残クレ契約を結ぶことで、これまでと同じような返済月額で、新しいモデルの車に乗り続けることができるというのも大きな魅力の一つです。

この柔軟性は、車好きの人々にとって特に魅力的であり、あなたが希望する最新モデルへの乗り換えを容易にします。

下取り価格が変動しない

ローン締結時に決めた残価(下取り価格)が変動しないので、基本的にはローン終了時に車を返却すれば、それで契約は終了します。

しかし、、、

これらの魅力?には裏があり、実は、経済的リスクやデメリットが存在します。

うまい話に安易に乗ってはいけないという事について詳しく掘り下げていきます。

 

残クレの経済的デメリット

残クレが、月々の支払いを抑えられるのがメリットだとされてますが、それって本当にあなたにとってのメリットなのでしょうか?

ここでは、他のローンとの比較をしながら、残クレの仕組みがどのようなものなのかを解説していきます。

利率と返済期間の比較

自動車ローン

自動車ローンはディーラーだけではなく銀行系もあります。そして比較すると、概ね以下のようになります。

  • 銀行系:利率1%(1%未満もある)〜4%程度、返済期間7〜10年程度(もっと短期間でも可)
  • ディーラー系:利率4%〜10%程度、返済期間6〜8年程度(もっと短期間でも可)

残クレ

対し、残クレはディーラーのみが扱うローンです。

  • 残クレ:金利3%〜5%程度、返済期間3年もしくは5年

しかし、自動車ローンとの比較を見ても、これだけではなかなか良し悪しの判断はしにくいかもしれません。

同一金利・同一返済年数でも残クレが損な理由

残クレの特徴である、月々の支払いを抑えるために残価(下取り価格)を設定することは、一見経済的負担を軽減しているように見えます。

しかし、毎月の返済額が少ないのは残価を返済額計算に入れていないからに過ぎません。

残価部分の金額は、最後にドサッと一括で支払います(自己所有車にする場合)。(一括返済の代わりに車を返す選択肢もある)

だから、残価が大きければ、それ以外の金額を毎月返済するのだから、返済金額は小さくなるに決まってます。

問題は、それってあなたに得な話か?ということです。

あなたが支払う毎月の支払利息には、「全く減らない残価」分も乗っている事を忘れないでください。

  • 残価が大きい=元金がなかなか減らない=支払い利息は増える

という構図です。

残価部分を返済せず、契約満了まで放置しているのだから、返済月額が少ないのは当たり前の話です。

残クレの具体例

基本条件:借入年数3年、金利3%、車の代金3百万円

  1. 残価100万の場合:返済月額62,319円、返済総額3,181,165円
  2. 残価150万の場合:返済月額48,665円、返済総額3,203,275円

この計算例でわかるように、残価が大きければ、確かに毎月の返済額は小さくなります。

しかし、最後に一括支払いをする残価も含めた支払い総合計は、残価の小さいほうが少なくなるのです。

この意味するところは、残価が大きいほうが結局は支払利息合計が大きくなるために、支払総額も大きくなるということです。

ちなみに、同じ車を銀行のマイカーローンを使って購入した場合の例を見てみましょう。

銀行自動車ローンの具体例

基本条件:借入年数5年、金利1%、車の代金3百万円

  • 返済月額51,281円、返済総額3,076,860円

よ〜く見比べてください。

下取り価格は保証額ではない

ローン完済時に、車を返却する選択をした場合でも、走行距離オーバー、使用による減価や傷みが想定以上であれば、追加料金が発生するリスクもあります。

そういえば、基本的な契約内容を忘れて、下手に改造というかカスタマイズをすると、これも追加料金発生の原因になってしまいます。

よ〜く考えてみてください。車ってお飾りじゃないんだから。

年によっては沢山走ることもあるでしょう。大切に使ってたって何らかの傷がつくときはつく。

なのに、返却したらそれで終了だと思っていたのに「コレコレの理由で追加料金がこれだけ発生しました」とか言われたらかなり頭にくると思いますよ。

というか、そんな相手任せの「分けのわからない下取り価格」で契約なんかできないですよ。

例え、「そういうケースはレア中のレアですよ」などと言われたとしても。

ローン完済時に、返車を受けたディーラーはあなたに笑顔でささやくでしょう。

とあるビジネスマン
いままでと大差ないお支払いでニューモデルに乗り換えられますよ!

かくして、元金が減らない(残価がある)ローンの総支払利息はどんどん膨れ上がっていくのです。そしていつまで経ってもローンはなくならない。

リスクと費用の不透明性

再度申し上げますが、繰り返しますが、とても大切な点なので。

残クレを選択した際の最大のリスクの一つは、契約終了時の車の状態や市場価値が予測と異なる場合です。

数年も乗れば、新車と比較して何らかの変化はあるでしょう。大小はともかく、傷や凹みなど。

加えて、市場での需要の変化や新技術の登場により、予定していた残価が市場価値を大きく下回ることもありえます。

この不確実性は、最終的な費用を予測することを困難にし、計画外の出費を強いる可能性があります。

これは、ローン完済時に車を返却するにしても買い取るにしても同様のリスクを負います。

つまり、予定してなかった追い銭を要求される可能性があるということです。

じゃあ逆に残価よりも実際の市場価値が高くなっていた場合はどうなのか?

はい、その場合は知らん顔をされます。1円も返金されません。

さすがに大阪のオバチャンも怒るで。

大阪のおばちゃん
ちょっと兄ちゃん、車返したらそれで終わりや言うたやん。なんやの金出せて。新手の詐欺か? うちを舐めとったらあかんで

経済的デメリットの総合的な評価

以上のように、残クレは短期的には魅力的に見えるかもしれません。

しかし、長期的な視点で見ると、高額の支払利息金額と予測不能な追加費用によって、結果的には経済的なデメリットが大きくなる可能性があるのです。

あなたはこれらのリスクを十分に理解し、自身の家計状況と将来計画に照らして、賢明な選択を行う必要があります。

 

残クレを選ぶ消費者心理とその影響

残クレにせよマイカーローンにせよ、高価な買い物の決済に安易に借り入れという方法を使うのは良くないというのが一貫した私の主張です。

なぜ多くの消費者が、安くない利息や将来の不確実性を抱える残クレを選択するのか?

最終的なお話をする前に、この消費者心理について少し掘り下げてみたいと思います。

即時満足の追求

現代社会は即時満足を求める傾向が強く、多くの消費者は欲しいものをすぐに手に入れたいという強い願望を持っています。

残クレは、高価な商品を比較的返済しやすいローンで手に入れることができるため、この即時満足の需要を満たします。

しかし、この短期的な満足感は、長期的な家計負担という形で代償を要求されるのは先に述べたとおりです。

社会的地位と自己表現の欲求

自動車は多くの場合、個人の社会的地位やアイデンティティの一部となる場合があります。

今の若い人に関しては、徐々にそういう色彩はなくなってきているでしょうが。

新しいモデルや高級車へのアクセスが容易になることで、消費者は自己表現や社会的地位の向上という幻想を感じることができます。

残クレは、比較的低いローン返済月額でこれを実現させるため、心理的に魅力的な選択肢だと映るのでしょう。

認知的不協和の回避

認知的不協和とは、自分の行動と信念が一致しないと感じる心理的状態です。

残クレを選ぶ際、消費者はしばしば得ではない真実について考えを避け、現在の支払いの容易さに焦点を当てることで、この不協和を回避しようとします。

このような短期的な判断は、長期的な経済的健全性を損なう原因となり得ます。

最適化の誤認

多く場合、自分が最適な金銭の使い方をしていると誤って信じています。

残クレの広告や販売戦略は、この誤認を利用して、ローンの真のコストを覆い隠しながら、その利便性と表面的な経済性を強調します。

消費者は、情報の不足や誤解に基づいて意思決定を行うことが多いのです。

心理的な影響の理解と対策

残クレの選択が心理的要因に強く影響されていることを理解することは、不必要な家計のリスクを避け、より健全な消費行動を促すためにとても重要です。

消費者は、短期的な利便性と長期的な費用を冷静に評価し、自己の家計状態と未来の計画に基づいた賢明な選択を行うべきです。

自分の真のニーズと長期的な目標を理解し、感情的な衝動や社会的圧力に流されないよう自己制御を強化することがカギとなります。

長期的な満足と精神的健康

短期的な満足よりも、長期的な精神的および家計的健康を優先することが重要です。

一時的な欲求に基づく購入は、一時的な喜びを提供するかもしれませんが、その後のストレスや家計問題は生活の質を著しく下げる可能性があります。

真の自己満足は、安定した家計状況と精神的な平穏から生まれるため、その長期的な視点を持つことが何より不可欠です。

より良い選択への道

残クレを選択する際は、単に経済的な側面だけでなく、心理的な側面も慎重に考慮する必要があります。

消費者は、自身の感情や社会的影響に左右されず、自己の真のニーズと将来の目標に合った決断を下すべきです。

これには、自分自身の家計状態を正確に把握すること、そして、リスクを冷静に評価することが必要です。

 

ローンで車買うなら銀行一択

金利が安い

何度も言いますが、私は基本的にローンの利用をお勧めしていません。

それでも、本当にちゃんとした計画性が持てる人ならローンで車購入も良いかもしれません。

しかし、もしローンを組むなら銀行のマイカーローン一択です。

毎月の返済の多さ少なさを基準に考えるのではなくて、総支払い利息の大きさで考えて下さい。

利率が一番低いのは銀行系です。

これも当然で、貸すためのお金には調達コストがかかりますが、信販系やディーラー系は調達コストが高いから貸出金利も高くなるのです。

その中でもおすすめの銀行は、あなたが給料振込の指定口座にしており、尚且つその口座で公共料金の引き落としなどをしている銀行です。

同じローンでも、このような口座を持っていると優遇金利の適用になる場合が多いです。

最初からあなたが所有者

銀行のマイカーローンをお勧めする2つ目の理由は、最初から車の所有者があなたである点です。

借入期間中の名義がディーラーや信販会社であることはなく、担保として取られることもなく、最初からあなたの車です。

だから好きなようにカスタマイズ出来るし、例え、傷をつけてもどこかにお金を支払う必要性はありません。

中古車でもOK

銀行のマイカーローンは中古車購入の際にも利用できます。

新車購入が背伸びだと思うなら、無理をせず中古車という選択をするのも有力で健全な考え方です。

謝絶を受けた時

マイカーローンの申込みをしたら必ず審査が通るとは限りません。

ときにはダメなこともあります。大切なのは、謝絶を受けた後の考え方です。

ローンの申し込みというのは、ある意味、無料の信用調査です。そして通るかダメかは、その信用調査の結果です。

であれば、「銀行はそう判断したんだ」と甘んじて受け入れるべきです。立ち止まるべきです。

ここで、銀行がダメなら、それでも車がほしいから、少々条件が悪くてもいいからディーラーに頼もう、という思考になったら最悪です。

**

最後に、あなたがお金で苦しまないことを願って、本当に今のあなたはローンを組んで良いのかを問うてこの記事を締めます。

 

 

金がないなら借りるな乗るな

普通預金と固定性預金はそこそこありますか?

1万人以上の主婦・会社員・事業主とお話してきた元銀行員の結論です。

長きに亘って生活してゆく上で重要なことは、、

  • 常にある程度以上のストック(貯金、投資金)が有ること<investments>
  • 常にある程度の流動性(現金・預金)を確保しておくこと<cash>

この2つを守り続けることです。ここが崩れるような消費行動は厳に慎むべきです。

しかし、実際に面談した人達の中で、これを崩していない人は少なかったです。

返済の余裕がある?

銀行員であったにも関わらず、私は、ローンを積極的にはお勧めしませんでした。

それが、住宅ローンにせよマイカーローにせよカードローンにせよ。

なぜか?

多くの場合、資金繰りというか計画に無理があるケースが圧倒的に多かったからです。

物凄く安易に考えているわけですよ。

真依
全然余裕で返済できるから。早くローンの申込書ください。

その心の中がどうなっているかについては、上の精神論を読み返してください。

多くの人達は「余裕で返済できる」と異口同音に言います。

返済月額と同程度の積立してる?

「じゃあ、それと同じ額程度の積立くらいは毎月していますよね」

と問えば、ほとんどが何もしていません。貯金はありませんと返答するのです。

この意味するところがわかりますか?

人生、何が起こるかわからないのに、いざという時のお金がない、毎月毎月お給料は全部使ってます、と言ってるのですよ。

なのに余裕で返せるっておかしいでしょう? 余裕がないのに余裕で返せるって矛盾してるじゃないですか。

もし「余裕だ」というなら、それくらいの金額は毎月手を付けずに残しておけるでしょう?

あなたを待っている魔の魅惑商品

残念ながら世の中は真逆の方向に動いています。

テレビもネットも、広告という広告はどれもこれも、

  1. 「とても気軽に申し込みができて、簡単にローンが組めます」
  2. 「無理なく欲しいものが手に入ります」
  3. 「月々の返済はお小遣い程度ですよ」

こういった悪魔のささやきを受け入れさせるために開発されたのが、リボ払いであり残クレです。

どれも返済月額は少額です。利用しやすくお金が借りられます。

再度問います。

これってあなたにとってメリットですか?

仮に一つの借り入れ以外、それを完済するまで別の借り入れを一切しないのであれば、まだ正常状態から外れずにすむ可能性はあります。

ところが残念ながら、こういう商品を使う人は、実力以上のお金を使いたいし、別の高価な商品が欲しくなります。そういう人が多いのです。

リボ払いのカード借入残が50万円で返済月額1万円なら完済まで一体何年かかるのですか?

多くの人は枠いっぱいまで使って更に新しいカードを作るのです。

残クレの魔性

残クレでは、大きな金額(残価)を返済対象にせず、それが理由で毎月返済額が少額になるけれど、減らない元金のせいで支払い総利息は大きくなります。

しかも、返済完了時に車を返すだけで済むかどうか、その時の査定を受けないとわからないのです。

もう一つ。残クレを利用した車の所有権は誰にありますか? 毎月毎月返済をしているあなたじゃないのですよ?

もし、無理なローンを組んでまで車の購入欲を満たしたい方は、どうかこの記事で目を覚ましてください。



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