エンジニア人材の派遣事業や業務請負、受託開発などのアウトソーシング事業を展開するトライアロー株式会社

失敗や事故が許されない医療業界におけるシステムの導入・運用という新規事業に参入する際に、先頭を切って取り組んだという後藤貴裕さんに話を伺いました。

ITを活用した効率化の必要性が叫ばれる医療現場の最前線で

──医療の現場というとなかなか業界外の人には想像がつかない領域ですが、具体的に現場ではどういった変化が起きているのでしょうか。

昨今、さまざまな企業でITによる自動化やDX化が叫ばれていますが、それは病院も同じで現在は急速にIT化の整備が進んでいます。


たとえば、医師が看護師に用意する薬剤の指示などをシステム上で発行することで、医療現場での情報のやりとりにミスや抜け漏れがなくなりますし、コストも自動計算できるようになります。


手術の現場などでも、医師が麻酔を投与した記録や看護師の措置内容、検査の記録など、実は手書きでのやりとりをしていた病院も多かった。


しかし、これをIT化することで電子カルテと連携できるようになったり、学会の発表で必要な学術の領域にも生かせたりと医療の現場に与える影響は非常に大きいものです。

──普段、患者として訪れるだけではなかなかその実態を見ることのない医療現場において、そのIT化の推進を担う後藤さん。プロジェクトのなかで、どういった役割を担っているのでしょうか。

私は、前述したようなシステムの導入や運用に携わっています。まず、仕様書を作成してでき上がったシステムの動作確認を行ないます。そして、実際に全国の病院に赴いて、医師や看護師の皆さんに操作方法をお伝えしています。


トライアローの医療領域のチームは4チームあって、私はその1チームのリーダーと4チームを統括するPMの立場を兼任しています。

通信インフラの世界から医療の世界へ──その共通点とは?

──医療業界におけるITインフラを担う後藤さんは、じつは他分野からの転向です。前はどういった業務に従事していたのでしょうか。

もともとは、トライアローが長年得意としてきた通信インフラの仕事をしていました。具体的には、移動体通信という携帯電話を利用するための基地局の整備などの仕事ですね。入社後10年くらいはそちらで設計や無線機の導入、運用、保守などの業務を行なっていました。


当時は、まだスマートフォンが出てくる前でしたが、携帯電話基地局を増やしてつながりやすくしたり、携帯電話を利用したインターネットをより快適にしたりするために各キャリアとも激しい競争をしていた時代です。


通信インフラの整備は、社会的な存在意義の大きさという意味でもとてもやりがいのある仕事で、そこに魅力を感じて当社に入社し、長く移動体通信の仕事をしてきました。

──通信領域から医療領域という一見あまり関連性がなさそうな領域同士ですが、挑戦するきっかけはどういったものだったのでしょうか。

10年ほど移動体通信の仕事に従事し、なにか新しいことがしたいと東京支店の支店長に想いを話したのがきっかけでした。それは、キャリア面談のような場ではなく、飲み会の席で気軽にと言った感じで(笑)。


後日あらためて話を聞いてみると、トライアローとしても医療領域に参入して今後強化していきたいという話でした。医療現場は、IT化を進めることでルーティン業務を効率化できる余地も広い領域。きっとこれから強い分野だと思うと同時に、移動体通信の仕事をはじめた時と同様「社会的な意義も大きい仕事だ」と感じたんです。

──新たな領域は、移動体通信業務との共通点としてどんなものがあるのでしょうか。

そうですね、通信インフラも医療も「事故やミスがなく運用されていて当然」とされるという点が最大の共通点です。通信に関しては、システムや基地局の不具合などで障害が起こればニュースになるレベルの話ですし、さまざまな産業に影響が出てしまいます。


これは医療も同じで、事故が起きれば人命に関わりますし、医療現場の機器などは「止まらずに動いていて当然」とされています。こうした、機器が絶え間なく確実に動いているという状態をつくり出すのは、目立たないけど非常に重要な仕事です。

──実際に、移動体通信の仕事で培った経験のなかで、医療の現場でも役に立った経験などはあるのでしょうか。

自動化できる仕事はとにかく自動化する、という点ですね。通信インフラの仕事をしている際も、資料やデータの作成などの仕事量が多かったのですが、当時の先輩がツールを駆使してデータ処理を自動化したことでチームの作業の品質も劇的に改善し、その姿に憧れを覚えました。


それからは自身でも独学で勉強し、その時学んだことが今に生きているという実感はあります。そして、やはり自身で興味を持って覚えたことは強みになることも実感しています。

トライアローで味わえた、ユーザーとの信頼関係を実感できる経験

ユーザーの1番近くで行なう仕事だからこそ、信頼関係が築けた時の喜びも大きいと語る後藤さん
ユーザーの1番近くで行なう仕事だからこそ、信頼関係が築けた時の喜びも大きいと語る後藤さん

──トライアローへの入社をきっかけに通信インフラ、医療という2つの領域で活躍することとなった後藤さんですが、そもそもトライアローに入る前はどのようなキャリアを歩んできたのでしょうか。

じつは、もともとはまったく畑違いの仕事をしていて、出版社で広告営業や制作ディレクションをやっていました。当時は、まだ紙媒体にもそれなりに高いニーズがあったのですが、徐々に既存の紙媒体の広告がネット広告に追いつかれつつあった時代で、やがて逆転されることは明らかでした。


今後のことを考えたときに、若いうちにキャリアチェンジをしようと思い、ITに関わる職種で考えていたところにトライアローと出合いました。当時は、通信インフラの仕事は右肩上がりで、前職がIT化に伴って市場が縮小する業界だったこともあり、「まだ不完全」なところにとても惹かれたのを覚えています。

──実際にトライアローに入り、新たな領域の仕事に従事してみた印象はどんなものだったのでしょうか。

入社後比較的早い段階でリーダーを任せていただき、それがとても良い経験となりました。チームをまとめるのは初めての経験でしたが、メンバーが自主的に働きやりがいを感じてくれるのはうれしかったです。


私たちの仕事は、現場のユーザーのすぐ近くで行なう仕事ですから、そうしたチームのムードがダイレクトにパフォーマンスにつながっていきます


お客様から直接お礼を言っていただく瞬間は何度味わってもうれしいですし、そこで築いた信頼関係からほかの部門を紹介していただいたり、ときには送別会を開いていただけたりと直接フィードバックをいただける仕事はやりがいを感じますね。

医療×無線通信──新たなプロジェクトへの挑戦

──トライアローに入社後、さまざまな経験を積み重ねてきた後藤さんですが、今後はどういったことに挑戦したいのでしょうか。

移動体通信の業務で覚えたことを医療業界で役立てることができました。今度は、その両方の現場で経験したことや身につけた知見を抱き合わせたことをやってみたいです。


さまざまな領域でIoT化が進むなか、医療×無線通信をテーマにしたものとして医療機器を無線でネットワークに接続するプロジェクトの話などもいただいており、まさに自分のキャリアにピッタリだと思っています。そちらのプロジェクトは1名スタートとなりますが、結果を残して拡大していきたいと思っています。

通信と医療、一見つながりが見えづらかった両者の本質を見極め、しっかりと経験をキャリアに変えてきた後藤さん。その経験をさらに発展させるべく、後藤さんの挑戦は続きます。

※ 記載内容は2024年2月時点のものです

Image/Source: talentbook, トライアロー株式会社