前浜松市長VS元副知事の静岡県知事選

静岡県知事選(5月9日告示―26日投票)が熱を帯びている。新人県職員への訓示で職業差別発言をしたことなどで辞職願を提出した川勝平太知事の後継者を選出するもので、これまで静岡政財界を牛耳ってきた鈴木修スズキ相談役らが推す鈴木康友前浜松市長(立憲民主党・国民民主党推薦、元民主党衆院議員)と、県中部経済界や総務省関係者が支援する大村慎一元副知事(自民党推薦、元自治・総務官僚)の一騎打ちになる見通しだ。

JR東海が建設を進めているリニア中央新幹線の静岡工区をめぐってとかく難癖をつけてきた川勝氏が、その後ろ盾だった鈴木修氏のパペット(操り人形)として行動していた疑いが浮上したことで、後継知事選ではリニア建設工事がどういう方向に動くのかが最大の焦点の一つになる。結果的に与野党対決の様相になったため、次期衆院選や2025年参院選の前哨戦とも位置づけられるだろう。

「皆さま方は頭脳、知性の高い方たち」

「(菅義偉首相=当時=の)教養のレベルが図らずも露見した」「目立って顔のきれいな子は、あまり賢いことを言わないと」「御殿場市にはコシヒカリしかない」――。度重なる不適切発言などで静岡県のイメージを落とし、県議会と対立してきた知事が、ついに自爆した。

退職届を提出後、報道陣らに囲まれながら笑顔を見せる静岡県の川勝平太知事(中央)=2024年4月10日午前、静岡市
写真=時事通信フォト
退職届を提出後、報道陣らに囲まれながら笑顔を見せる静岡県の川勝平太知事(中央)=2024年4月10日午前、静岡市

川勝知事は4月1日、静岡県庁で新人県職員を前にこう訓示した、と報じられた。

 知事訓示「県庁は知性高い」「野菜を売るのとは違う」

 県庁でも1日、新規採用職員向けの訓示が行われ、川勝知事は「県庁はシンクタンク(政策研究機関)だ。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち。それを磨く必要がある」などと述べた。特定の職業を比較するような発言で、再び物議を醸しそうだ。

 知事は「うそ偽りを言わないことが大切。言葉遣いが大切です」「情理を尽くして自分が正しいと思う信念を貫くためには、勉強をしないといけない」などと心構えを述べた後、一連の発言をした。

 知事は先月、県内のサッカー強豪校に触れ、「ボールを蹴るのが一番重要なこと。勉強よりも何よりも」などと述べ、県議会から「不適切だ」と苦言を呈されていた。(以上、4月2日の読売新聞静岡版)