日本のアニメは海外でどのように見られているのか。エンタメ社会学者の中山淳雄さんは「キャラクターなどの知名度ではなく、作品の内容そのもので評価している。例えば、アニメ『マッシュル』は、主題歌が世界的にバズったものの、作品の人気はさほど伸びなかった」という――。
東京五輪閉会式で行われたパフォーマンスに登場したヒップホップユニット「Creepy Nuts」のDJ松永さん=2021年8月8日、東京・国立競技場
写真=時事通信フォト
「Bling-Bang-Bang-Born」を手掛けたCreepy NutsのDJ松永氏。BBBBで作曲を担当。画像は東京五輪閉会式での様子=2021年8月8日、東京・国立競技場

世界中で大バズりしたCreepy Nutsの新曲

世界中にいるアニメファン約2000万人が集う「My Anime List」は、アニメ好きのためのWikipediaのような存在だ。

3カ月ごとに60~70本放送される新作アニメのページが新設され、Members(アニメをリストインしている人)、Score(アニメ評価)、Popularity(Members数の歴代ランキング)、Ranked(Scoreの歴代ランキング)の4つがトップに表示される。当然海外のアニメファンのためのサイトであり、すべて英語。

ここはエンタメを研究する私のような立場の人間にとって宝の山だ。6~7割が10~20代の若者世代、5~6割が欧米ユーザー、あとはアジア・南米などで日本人はほんの1%未満、という純粋な「日本人以外のアニメファン」サイトだ。

ネットフリックスや海外における最大級のアニメ配信サイト・クランチロールによって世界中に配信されたアニメをどう受け止めているかのリアリティが、ここにある。

この3カ月、街角で聞かなかった日はないというほどだったのは、アニメ『マッシュル』第2期の主題歌だ。Creepy NutsのBling-Bang-Bang-Born(以後BBBB)は中毒性の強い音楽で、急激にバズった。

両手を目先に掲げて左右にうごかす「BBBBダンス」は、X(ツイッター)では1月14日のティザーPV公開から急激に話題を増やした。翌日にはその楽曲もSpotifyグローバルチャートで80位、公式YouTubeでは1月末までのたった2週間で、2000万回再生。

その間に非公式の動画がYouTubeで約500本生まれて合計8000万回再生され、Tiktokでは4.5万本の動画(『推しの子』「アイドル」の時は6万本)が作られて合計1億回再生に到達している。日本ではなく、世界レベルでのバズである。