毎日出勤してくるものの、ため息ばかりで仕事に精を出さない同僚。

明らかに不機嫌な態度で周囲を不安におとしいれ、チームの和を乱す上司──。

もしもこのような事例に思い当たりがあるのなら、それは「Resenteeism(リゼンティーイズム)」に由来しているかもしれません。

「リゼンティーイズム」とは?

2023年1月にイギリスで使われはじめ、欧米諸国に広まってきているリゼンティーイズムという言葉。

「Resent」とは疎む、または不服に思うこと。それを「Presenteeism(プレゼンティーイズム)」という別の言葉とかけ合わせた混成語。

現在の仕事や職場が嫌いだが、より良い就労機会を見つけることができない、あるいは経済的な必要性にしばられているために離職できず、働き続けざるを得ない状況を意味します。

注目される背景

前出のプレゼンティーイズムは「疫病出勤」とも訳され、心身に不調をきたしながらも出社しているために、業務効率が落ちている状況を指します。

リゼンティーイズムとプレゼンティーイズムは、どちらも会社にとっては可視化しづらい損失であると言えるでしょう。

だからこそ、企業が従業員の健康を「自分ごと」として捉え、戦略的に健康づくりを目指していくうえでは、避けて通れない課題なのです。

リゼンティーイズムの起こり

2020年以降のコロナ禍は、人々の働き方に大きな変容をもたらしました。それと同時に、働くことに対する人々の価値観も変わり、多くの人が新たな選択肢を求めて職場を変えたり、リスキリングを追求するようになりました。

たとえば、コロナ禍のイギリスにおいては、あまりにも多くの人が離職や転職の道を選んだために、「The Great Resignation(大量退職時代)」の到来と揶揄されました。

問題は、その大量退職の波に乗れずに職場に残された人々が、リゼンティーイズムに陥りやすくなったことです。

人手が減って自分の仕事が増えたことで、職場環境が悪化したと感じるようになった人もいたでしょう。または、新たに採用された人材が優遇されるのを目の当たりにし、その差別を疎ましく感じるようになった人もいたはずです。

このような個人個人の苦しい状況が、リゼンティーイズムを作り出していると考えられるのです。

やっかいなのは、個人の不調がチームの不和を招き、ひいては職場内に伝染する可能性があること。そうならないように、兆候と対処法をお伝えします。

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いくつ当てはまる? リゼンティーイズムの特徴
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