夫婦関係に不満をもっている場合、どんな選択肢があるのか。医師の和田秀樹さんは「多くの家庭では女性が男性に尽くす構図になっているが、とりわけ定年退職後はそうはいかない。女性の場合、稼げる見込みのない定年後の夫に尽くすのは、ムダな投資になってしまう恐れがある」という――。

※本稿は、和田秀樹『60歳から女性はもっとやりたい放題』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

手を繋ぐカップルを模した人形の手を切ろうとするハサミ
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定年後の夫ほどやっかいなものはない

親の介護から自由になったとしても、結婚している女性には、別の「問題」があります。

それは、定年退職して、家でダラダラ過ごす夫の存在です。

やっと子どもが自立してくれたと思ったら、働きもしない夫が1日中家にいて、飯だの風呂だの言ってくる。タレントの上沼恵美子さんが告白したことで、夫の言動がストレスとなり妻の心身に不調をきたす「夫源病」が話題になりましたが、夫の定年前からすでにその兆候が見られた方は、ますます症状が深刻になるかもしれません。

もちろん、深い愛情が残っていればそんな夫の世話も苦にならないのでしょうが、多くの女性は「仕方ないからやっている」というのが本音でしょう。それでも多くの女性は、「誰かの世話をする」ということが長年の癖になっているのか、あまり深く考えることなく、その面倒なタスクをつい受け入れてしまうのです。

第2の人生は「自分の人生」であるべき

平均寿命からすれば夫のほうが先に旅立つ可能性は高いので、それが永遠に続くわけではないにしろ、その時、あなたは一体何歳になっていますか?

70代、80代になってから、さあ、やっとこれからは自分の人生だと思っても、そこで自分のやりたいことをゼロから始める体力や気力が残っているとは限りません。もしかすると、自分自身に介護が必要な状態になっている可能性だってゼロではないでしょう。

第2の人生は誰のものでもない「自分の人生」であって然るべきです。その人生の大半を誰かにせっせと尽くすことに費やすなんて、あまりにもったいないと思いませんか?