Appleは過去数か月、苦難な時期を迎えています。
最初に、Appleは、世界で最も価値のある企業としての地位をMicrosoftに奪われました。
この称号は10年間Appleが保持していたものです(2018年と2021年の一時期を除く)。その後、欧州委員会の「デジタル市場法」が施行されました。
これにより、Appleは、iPhoneをサードパーティ-アプリストアとサイドローディングの両方に開放せざるを得なくなったのです。
さらに、その1週間前には、Appleは独占禁止法違反の疑いで司法省から訴えられています。他にもまだありますが、これだけでもかなりのことですね。
興味深いことに、スティーブ・ジョブズの最も有名な言葉の1つが、Appleが世界で最も価値のある企業であった理由と、今日Appleが訴えられている理由の両方を説明しています。
ジョブズが唱えた言葉とは?
確かに、ジョブズが何か新しい製品や機能を説明するたびに、彼が伝説的な決め台詞を口にしたことは何度もあります。それが「It just works(ちゃんと動きます)」です。
ジョブズがこのフレーズを最後に使用したのは、2011年のWWDC(Appleの開発者向けイベント)の基調講演でした。
当時、彼はiCloudというAppleの新しいクラウドサービスについて話していました。
「今やiCloudは、あなたのコンテンツをクラウド上に保存し、ワイヤレスであなたのすべてのデバイスにコンテンツを届けます」とジョブズは述べ、こう語りました。
iCloudは自動的にアップロードし、情報を保存し、ほかのデバイスにアップします。新たに学ぶべきことは何もありません。すべてちゃんと動きます。とにかくちゃんと動くんです。
Appleの強みが規制の論点になっている
この「ちゃんと動く」という言葉は、ユーザーがApple製品を愛用する理由を様々な形で表しています。それは、アップルがユーザーにとってシームレスな体験となるよう、ソフトウェアとハードウェアを連動させるよう絶妙に構築する方法です。
AirPodsがiPhoneに簡単に接続する方法や、iPadでテキストをコピーしてMacに貼り付ける方法、またはiMacの画面からカーソルをドラッグしてiPadに表示される方法などがこれにあたります。
その重要な点は、米国対Appleの訴訟を読み解くと、そのシームレスな統合が司法省の主な標的であるように見えるということです。
もちろん、司法省はAppleの市場力の真の源であるApp Storeに対して直接的な措置を取ることはできません。
Epic Gamesは既にこれを試みて敗北しています。この事実はApple Storeに挑戦することを、不可能ではないものの、さらに困難なものにしています。そして、そのため、Appleのハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの統合が標的にされているのです。
私が理解しがたいのは、Apple製品はサードパーティーデバイスとの互換性があまり良くないのだから、Appleがユーザーのために自社製品をよりよく連携させることは、競争阻害であると主張できる可能性がある、という点です。
これは本当です。
また、Appleがこの統合設計から非常に大きな利益を得ていることも事実です。それによって、ユーザーが別の製品に乗り換えることはより難しくなります。なぜなら、ユーザーはその体験を手放さなければならないからです。
そして、AirPodsが他のどのBluetoothイヤホンの機能よりも優れている場合、iPhoneユーザーはAppleにもっとお金を出して、単にAirPodsを購入するでしょう。
ハードウェアとユーザー体験を損なっている?
以前にも何度か述べたように、AppleはApp Storeの使い方を変える必要があります。
たとえば、Appleが直接競合するサービス(Netflix、Spotify、Kindleなど)に対しては手数料を一切取るべきではありません。
この事実は特に興味深いものです。
なぜなら、これが意味することは、ユーザーがはるかに悪い体験をすることになり、うまく動作しないということからです。スティーブ・ジョブズなら、このことついて何か言うでしょう。「何か」ではなく、彼のあの3つのワードかもしれません。
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