幸せになるお金の使い方は何か。昭和女子大学総長の坂東眞理子さんは「ハーバード大学ビジネススクール教授のマイケル・ノートンとブリティッシュコロンビア大学教授エリザベス・ダンはは、幸せになるためのお金の使い方として『経験を買う』『ご褒美にする』『時間を買う』『いま払ってあとで消費する』『他人のために使う』の5つの原則を挙げている。食欲や性欲や所有欲などの欲望を満足させる幸福は長続きしないが、『経験』にお金を使うことは思い出を豊かにする」という――。

※本稿は、坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

豚の貯金箱と並んだ1万円札
写真=iStock.com/catchlights_sg
※写真はイメージです

幸せな人生を築くための賢いお金の使い方

私は、お金は幸福にとってある程度は必要だけれど、どれだけ持っているかより、その使い方が重要ではないかと考えています。

しかしお金に関しては「どう稼ぐか、どう貯蓄するか(どう倹約するか)、どう増やすか」という助言や指導の本はたくさん書かれていますが、「幸せな人生を築くための賢いお金の使い方」について書かれたものは、ほとんど見られません。

お金をブランド品などの贅沢品に使っても満足感はすぐに薄れ、幸せにはつながらないのです。

どういうお金の使い方が幸せをもたらすのかを考えることは重要です。特に必要経費以上の収入や資産のある人にとっては、賢いお金の使い方を身につけるのは教養のひとつです。

人間には適応能力があり、同じように贅沢や恵まれた環境でもすぐに慣れて、ありがたみを感じなくなります。高額の宝くじに当たって有頂天になっても、一年後には幸福度がほかの人と変わらなくなるという研究もあります。